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番外編:その後のある幸せな家庭
ハクア草とギルライの鍋
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「お義父さ~ん、教えてくださ~い」
聞いた事もない食材の鍋をミレニアさんに所望された俺はライザックの父親アルフレッドに泣きついた。お義父さんは俺の知っている人物の中で一番のパーフェクト主夫なので、きっと「ハクア草とギルライの鍋」を知っているに違いない。ついでに作り方も教えて貰うのだ!
すぐにでも材料を買いに行かねばとシズクを抱えて何処で買えるかと家の玄関先で出迎えてくれたお義父さんに問うと「知らない」と一言で返されて俺は呆然とする。
「マジですか!? 詰んだ……!」
「それどうするの?」
小首を傾げるお義父さん。パーフェクト主夫のアルフレッドさんに瞬殺で知らないと返されては俺はもうどうしていいか分からない。
これはもしや蓬莱の玉枝とか燕の子安貝とかそういうお伽噺的な無茶ぶりだったか!? だとしたら安請け合いした事をまた笑いものにされると俺ががくりと肩を落とすと「ハクア草もギルライも獣人国周辺の産物だよ、なんでそんな物を……」と、呆れたような表情で家の奥から姿を現したのはライザックの母親ハロルド様だ。
「あ、お義母さんも来てたんですね」
「僕達仲良しだからね~それにしてもそれって獣人国の食材なんだ、ハロルドよく知ってたね」
「少し前に教えて貰った」
「あ、もしかしてシノックさん?」
お義母さんが何故か少しだけ頬を赤く染めてそっぽを向いた。こんな表情のお義母さん珍しすぎる、そんでもってシノックさんって誰?
「その方、獣人なんですか?」
「いや、半獣人だ」
「シノックさんはハロルドの婚約者だよ♡」
語尾にハートマークを浮かべながらにこにこ笑顔で教えてくれたのはお義父さん。おっと! シノックさんってお義母さんの再婚相手の名前か! 半獣人なんだ、ビックリだよ!
「シノックさんは獣人類学者でね、博識でめちゃくちゃ格好いい人なんだよ~ハロルド、上玉捕まえたよね、やっぱり僕の目に狂いはなかったよ!」
「お前は何を言っている! そんな話、こいつの前でする話じゃ……」
「こいつじゃなくて、カズ君! だろ?」
真っ赤になって狼狽えるお義母さんがレアすぎる! 珍しいもの見た! あ、暴言はいつもの事なんで気にしてないです!
「お義母さん、それって何処で買えますか!」
「知らないよ、私だって実物は見た事がない。シノックだったら知っているかもしれないけど」
「じゃあシノックさんに教えて貰っても……」
思い切りお義母さんに嫌そうな顔をされた。俺はお義母さんの暴言には慣れてるけど傷付かない訳じゃないんだからな!
「ハロルド、そういう顔しない! カズ君は君のシノックさんを盗ったりしないよ」
「べ……別にそんな事を心配してる訳では……」
戸惑ったように下を向くお義母さん。お義母さんは愛する事も愛される事も下手くそで、婚約したのにまだそんなに不安なのか。
「それは絶対ないですから! 俺はライザック一筋なんで!」
「そ、そこは心配してないって言ってるだろ! そもそも理由も言わずに不躾だろう! まずは何故その食材が必要なのか、その理由が分からなければシノックには会わせられないよ」
ああ、確かにその通りだ。俺、まだ理由言ってなかった!
「実は今ミレニアさんが体調崩してうちに居るんです。それで食べたい物食べてもらいたくて、何が食べたいかって尋ねたらハクア草とギルライの鍋って言われて――」
瞬間お義母さんの顔が青ざめて「ミレニアは大丈夫なのか!」と詰め寄られた。
「え、えっと……命に別状はないですよ、たぶん。ただ頑なに医者には診てもらいたくないって言って我が家で臥せってます。そういえばお義父さんとお義母さんは半獣人の人を診てくれるお医者さんって分かります? どうせ病院に行っても診てはもらえないって、ミレニアさんが言うんですけど……」
「ああ……」と、お義父さんが眉を下げた。そういう表情、困ってる時のライザックによく似てる。
「半獣人は少し生態が特殊だからね、そういう事もあるのか……」
「シノックを呼んでくる!」
お義母さんが血相を変えて上着を羽織った。またしてもレアなハロルド様だ、そんなに機敏に動いてるお義母さん初めて見た!
「うん、そうだね。専門ではなくても彼なら分かる事もあるかもしれない、ハロルドはシノックさんを連れて来て、僕達は滋養のある物でも準備して待ってるから」
バタバタとお義母さんが出て行って、お義父さんが家の中に駆けて行く。あれ? 俺、これどうすればいいの……?
聞いた事もない食材の鍋をミレニアさんに所望された俺はライザックの父親アルフレッドに泣きついた。お義父さんは俺の知っている人物の中で一番のパーフェクト主夫なので、きっと「ハクア草とギルライの鍋」を知っているに違いない。ついでに作り方も教えて貰うのだ!
すぐにでも材料を買いに行かねばとシズクを抱えて何処で買えるかと家の玄関先で出迎えてくれたお義父さんに問うと「知らない」と一言で返されて俺は呆然とする。
「マジですか!? 詰んだ……!」
「それどうするの?」
小首を傾げるお義父さん。パーフェクト主夫のアルフレッドさんに瞬殺で知らないと返されては俺はもうどうしていいか分からない。
これはもしや蓬莱の玉枝とか燕の子安貝とかそういうお伽噺的な無茶ぶりだったか!? だとしたら安請け合いした事をまた笑いものにされると俺ががくりと肩を落とすと「ハクア草もギルライも獣人国周辺の産物だよ、なんでそんな物を……」と、呆れたような表情で家の奥から姿を現したのはライザックの母親ハロルド様だ。
「あ、お義母さんも来てたんですね」
「僕達仲良しだからね~それにしてもそれって獣人国の食材なんだ、ハロルドよく知ってたね」
「少し前に教えて貰った」
「あ、もしかしてシノックさん?」
お義母さんが何故か少しだけ頬を赤く染めてそっぽを向いた。こんな表情のお義母さん珍しすぎる、そんでもってシノックさんって誰?
「その方、獣人なんですか?」
「いや、半獣人だ」
「シノックさんはハロルドの婚約者だよ♡」
語尾にハートマークを浮かべながらにこにこ笑顔で教えてくれたのはお義父さん。おっと! シノックさんってお義母さんの再婚相手の名前か! 半獣人なんだ、ビックリだよ!
「シノックさんは獣人類学者でね、博識でめちゃくちゃ格好いい人なんだよ~ハロルド、上玉捕まえたよね、やっぱり僕の目に狂いはなかったよ!」
「お前は何を言っている! そんな話、こいつの前でする話じゃ……」
「こいつじゃなくて、カズ君! だろ?」
真っ赤になって狼狽えるお義母さんがレアすぎる! 珍しいもの見た! あ、暴言はいつもの事なんで気にしてないです!
「お義母さん、それって何処で買えますか!」
「知らないよ、私だって実物は見た事がない。シノックだったら知っているかもしれないけど」
「じゃあシノックさんに教えて貰っても……」
思い切りお義母さんに嫌そうな顔をされた。俺はお義母さんの暴言には慣れてるけど傷付かない訳じゃないんだからな!
「ハロルド、そういう顔しない! カズ君は君のシノックさんを盗ったりしないよ」
「べ……別にそんな事を心配してる訳では……」
戸惑ったように下を向くお義母さん。お義母さんは愛する事も愛される事も下手くそで、婚約したのにまだそんなに不安なのか。
「それは絶対ないですから! 俺はライザック一筋なんで!」
「そ、そこは心配してないって言ってるだろ! そもそも理由も言わずに不躾だろう! まずは何故その食材が必要なのか、その理由が分からなければシノックには会わせられないよ」
ああ、確かにその通りだ。俺、まだ理由言ってなかった!
「実は今ミレニアさんが体調崩してうちに居るんです。それで食べたい物食べてもらいたくて、何が食べたいかって尋ねたらハクア草とギルライの鍋って言われて――」
瞬間お義母さんの顔が青ざめて「ミレニアは大丈夫なのか!」と詰め寄られた。
「え、えっと……命に別状はないですよ、たぶん。ただ頑なに医者には診てもらいたくないって言って我が家で臥せってます。そういえばお義父さんとお義母さんは半獣人の人を診てくれるお医者さんって分かります? どうせ病院に行っても診てはもらえないって、ミレニアさんが言うんですけど……」
「ああ……」と、お義父さんが眉を下げた。そういう表情、困ってる時のライザックによく似てる。
「半獣人は少し生態が特殊だからね、そういう事もあるのか……」
「シノックを呼んでくる!」
お義母さんが血相を変えて上着を羽織った。またしてもレアなハロルド様だ、そんなに機敏に動いてるお義母さん初めて見た!
「うん、そうだね。専門ではなくても彼なら分かる事もあるかもしれない、ハロルドはシノックさんを連れて来て、僕達は滋養のある物でも準備して待ってるから」
バタバタとお義母さんが出て行って、お義父さんが家の中に駆けて行く。あれ? 俺、これどうすればいいの……?
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