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第四章:夫婦の絆編
家庭の事情
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なんだかんだとお義父さんと色々な話をしていたら、気付けばすっかり日も暮れてライザックが帰宅し、驚いたような表情を見せた。
「父上、お久しぶりです」
「ライザック、大きくなったねぇ」
「いえ、さすがにここ数年はもう身長も伸びてないですよ」
苦笑するように言ったライザックは少しだけ複雑な表情を見せはしたが、そこに嫌悪や憎悪のようなものは見えなくて、自分達を捨てた父親に対して彼がどんな感情を持っているのか、その表情からは窺えない。そういえばお義父さんが愛人を作って家を出たというのも、教えてくれたのはハインツでライザックの口から一切何も聞いていないなと気が付いた。
「それにしても何故我が家へ?」
「だって僕がここに来なけりゃ孫の顔が見れないじゃないか! 君が結婚したのを聞いたのも他人の口からの風の噂だよ!? 報告くらいしてくれてもいいのに!」
「それはまぁ、生活が落ち着いてからと……」
「水臭い! 屋敷を出ての新生活なんて色々大変だったろうし、聞けばお嫁ちゃんよその国から来たんだって? こんな異国の地での妊娠出産なんて絶対心細かっただろうに、そんな時くらい頼ってくれればいいのに!」
「父上には新しい家庭もあるのですから、それはさすがに……」
ライザックの言葉にお義父さんは少しだけ眉間に皺を寄せて「それでも君は僕の息子だよ」と拗ねたようにそう言った。
「確かに僕は君に父親らしい事をなにもしてこなかった父親だけど、僕にとって君はずっと息子のままで、この縁が切れる事なんて一生ない。君だって僕の子なんだから頼れる時には頼ってよ……オーランドルフの家を出たなら尚更、僕にできる事もあるだろう?」
「本当に頼ってしまってもいいんですか?」
「任せなよ、僕、子育てには自信あるし、お嫁ちゃんとだって仲良くできるよ! ね?」
にこりと笑みを見せるお義父さん。何故か矛先がこっちに来た。別に頼るような事何もないんだけどな、俺達わりと普通に生活出来てるし。
「だったらこの先少しだけ、お世話になる事もあるかもしれません」
何故か神妙な表情でライザックがお義父さんに返事を返す。それにしても、お義父さんに頼らないといけないような事なんてなんかあったっけ? 確かに子育ては初めての事ばかりで大変だけど、あんまり知らない人が近くにいると逆に変な気を遣わなきゃいけないから嫌なんだけど……
「いいよ、いつでも頼っておいで」
お義父さんもお義父さんで、任せとけとばかりに自分の胸を叩くし、俺をのけ者にして親子二人だけで話進めるの止めてくれないかな? かといってここで「お気遣い無用です」なんて言ったら、それはそれで角が立ちそうだし、こういうとこ典型的な日本人な俺は何も言えない。
「また遊びに来るから!」と楽し気に帰って行ったお義父さんの背中を見送って、俺はライザックを見上げる。
「俺、お義父さんの事、今まで全然聞かされてなかったし、行方不明なのかと思ってた」
「すまない、我が家では父の話はしないのが暗黙の了解だったもので言いそびれていた。向こうには向こうの家庭があるし、関りもあまり持たずにいたんだが……」
「お義父さん、再婚してるんだ?」
「いや、母上が離婚を承諾しないから、向こうは完全な事実婚。それでいいと向こうのパートナーも言っているらしく、実は何人か弟もいる」
まさかの兄弟! いやでも、新しく家庭を築いてるって言うならそういう事もあるか。でも半分しか血の繋がらない兄弟って複雑そう。それにしても俺って、実はライザックの事あんまり知らないんだなと改めて考えさせられる。
まるで狐につままれたように異世界にやって来て、怒涛の展開で子供まで出来ちゃったからそこまで気が回ってなかったんだよな。俺が見てるのは現在の彼だけで、そういえば過去の話とか全然聞いた事がないし、考えた事もなかった。
「ん? どうかしたか?」
「俺、もっとライザックのこと知りたいな」
それは俺の本音だった。だって俺達はこれから家庭を築いていかなければならないというのに、あまりにもお互いの事を知らなさすぎる。
俺の言葉に瞬間驚いたような表情を見せた後、ライザックは嬉しそうに破顔一笑「私も同じことを考えていたよ」と顔をほころばせた。
「父上、お久しぶりです」
「ライザック、大きくなったねぇ」
「いえ、さすがにここ数年はもう身長も伸びてないですよ」
苦笑するように言ったライザックは少しだけ複雑な表情を見せはしたが、そこに嫌悪や憎悪のようなものは見えなくて、自分達を捨てた父親に対して彼がどんな感情を持っているのか、その表情からは窺えない。そういえばお義父さんが愛人を作って家を出たというのも、教えてくれたのはハインツでライザックの口から一切何も聞いていないなと気が付いた。
「それにしても何故我が家へ?」
「だって僕がここに来なけりゃ孫の顔が見れないじゃないか! 君が結婚したのを聞いたのも他人の口からの風の噂だよ!? 報告くらいしてくれてもいいのに!」
「それはまぁ、生活が落ち着いてからと……」
「水臭い! 屋敷を出ての新生活なんて色々大変だったろうし、聞けばお嫁ちゃんよその国から来たんだって? こんな異国の地での妊娠出産なんて絶対心細かっただろうに、そんな時くらい頼ってくれればいいのに!」
「父上には新しい家庭もあるのですから、それはさすがに……」
ライザックの言葉にお義父さんは少しだけ眉間に皺を寄せて「それでも君は僕の息子だよ」と拗ねたようにそう言った。
「確かに僕は君に父親らしい事をなにもしてこなかった父親だけど、僕にとって君はずっと息子のままで、この縁が切れる事なんて一生ない。君だって僕の子なんだから頼れる時には頼ってよ……オーランドルフの家を出たなら尚更、僕にできる事もあるだろう?」
「本当に頼ってしまってもいいんですか?」
「任せなよ、僕、子育てには自信あるし、お嫁ちゃんとだって仲良くできるよ! ね?」
にこりと笑みを見せるお義父さん。何故か矛先がこっちに来た。別に頼るような事何もないんだけどな、俺達わりと普通に生活出来てるし。
「だったらこの先少しだけ、お世話になる事もあるかもしれません」
何故か神妙な表情でライザックがお義父さんに返事を返す。それにしても、お義父さんに頼らないといけないような事なんてなんかあったっけ? 確かに子育ては初めての事ばかりで大変だけど、あんまり知らない人が近くにいると逆に変な気を遣わなきゃいけないから嫌なんだけど……
「いいよ、いつでも頼っておいで」
お義父さんもお義父さんで、任せとけとばかりに自分の胸を叩くし、俺をのけ者にして親子二人だけで話進めるの止めてくれないかな? かといってここで「お気遣い無用です」なんて言ったら、それはそれで角が立ちそうだし、こういうとこ典型的な日本人な俺は何も言えない。
「また遊びに来るから!」と楽し気に帰って行ったお義父さんの背中を見送って、俺はライザックを見上げる。
「俺、お義父さんの事、今まで全然聞かされてなかったし、行方不明なのかと思ってた」
「すまない、我が家では父の話はしないのが暗黙の了解だったもので言いそびれていた。向こうには向こうの家庭があるし、関りもあまり持たずにいたんだが……」
「お義父さん、再婚してるんだ?」
「いや、母上が離婚を承諾しないから、向こうは完全な事実婚。それでいいと向こうのパートナーも言っているらしく、実は何人か弟もいる」
まさかの兄弟! いやでも、新しく家庭を築いてるって言うならそういう事もあるか。でも半分しか血の繋がらない兄弟って複雑そう。それにしても俺って、実はライザックの事あんまり知らないんだなと改めて考えさせられる。
まるで狐につままれたように異世界にやって来て、怒涛の展開で子供まで出来ちゃったからそこまで気が回ってなかったんだよな。俺が見てるのは現在の彼だけで、そういえば過去の話とか全然聞いた事がないし、考えた事もなかった。
「ん? どうかしたか?」
「俺、もっとライザックのこと知りたいな」
それは俺の本音だった。だって俺達はこれから家庭を築いていかなければならないというのに、あまりにもお互いの事を知らなさすぎる。
俺の言葉に瞬間驚いたような表情を見せた後、ライザックは嬉しそうに破顔一笑「私も同じことを考えていたよ」と顔をほころばせた。
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