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第一章:出会い編

プロローグ①

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 その日はやたらと蝉がうるさく鳴く日で、俺は行きたくもない学校に足を向けていた。長い夏休みももう半ば過ぎ、登校日なんてかったるいとは思いつつも根が真面目な俺には学校をサボるという選択肢はない。
 だらだらと日差しを恨みながら通学路を歩いていると、前方から少しふらふらとした乗用車が走ってきた。昨今、老人による自動車事故が後を絶たない。そんな車だったら危ないな……と、頭を掠めたのは一瞬で、気が付いたら俺はその車に跳ね飛ばされていた。
 嘘だろ? マジか? なんて思った直後には俺の意識は完全に飛んでいて、次に俺が目を覚ましたのは、何処か見知らぬ森の中だった。



 ここは何処だ……? 俺はなんでこんな場所にいる? 確か俺は車に跳ねられたはずなのだ、なのに何故目覚めた場所が病院ではなく森の中なのかが分からない。
 もっと状況を確認しようと身を起こそうとして、身体の違和感に首を傾げる。まるで手足が拘束されているかのように動かない。指先に感覚はある、けれど腕が持ち上がらないのだ。足も同じくのありさまで俺は焦る。

「おいおい、これどうなってんだ?」

 声は普通に出て、少しだけほっとした。けれど両手両足共に動かないまま森の中で放置なんてされたら、どんな虫やら獣やら寄って来るかも分からない。

「んん~!」

 もう一度利き手に力を入れて持ち上げると、何かが腕に絡みついているのが見て取れた。

「何だこれ? 樹の……蔓?」

 俺の腕に絡みついていたのは見た目には少しごつごつとした樹の蔓で、俺はますます意味が分からない。

「マジ、これホントなんなの……?」

 どうにか、その腕を口元まで持ってきてその蔓に噛みつくと、それは少しぬるりとしていて気持ちが悪い。けれど、今はそんな事に構っている場合ではない。両手両足を拘束されているのだ、周りには人の気配もしないし、その拘束を解こうと思ったら、その蔓を歯で噛み千切るしか術はない。

「んぅ~っ」

 更に力を入れて噛みつくと、蔓から何か汁のような物が垂れてきて口の中に入る。それはどこか甘酸っぱく不味くはないのだが、こんな得体の知れないものを口の中に入れるのには抵抗があって、俺は一度その蔓から口を放した。
 噛みついた蔓には俺の歯形が付いて、そこからは先程口の中に入ったと思われる樹液がぬるりと滴り落ちている。俺は気味が悪くて眉をしかめた。それと同時に辺りには甘い香りが広がって、これも樹液の薫りなのだろうか? 匂いが甘すぎて頭がくらくらする。
 こんな場所に長居をしていたら頭がおかしくなる……と、俺はもう一度蔓を口元に持ってきてその蔓に噛みつこうとしたら、何故か蔓がぐにゃりとうねり、唐突に口の中にその蔓が遠慮もなく入り込んできた。

「んぅ、ん……ぐぅ」

 口内がとても甘い。それは先程の樹液を無理やりに嚥下させられているようで、口の中で蔓が蠢く。俺はそれを樹の蔓だと思い込んでいたが、それはまるで意思を持って俺の口の中を暴れまわっていて、その時初めて俺はそれが樹の蔓などではなかったのだと気が付いた。
 けれど、樹の蔓ではないとして、それが何なのか分からない俺は恐怖で竦みあがる。もしかして、これは蛇のような生き物で、俺は今食べられようとしているのではないか? 相手は現在逆に俺の口の中にいる訳だが、もしかして内蔵を狙われているのかと思ったら総毛立ち、俺はそれを渾身の力で噛み千切ると、口の中から吐き出した。

「もう、やだやだやだ、これ、なんなんだよっ!!」

 口内が甘い。まるで蜂蜜をじかに流し込まれたかのように甘く、そして粘ついている。俺は気持ちが悪くて身動きが取れないなりに、何度もそれを吐き出した。
 気が付けば利き腕の拘束が解けている。逃げなければ……と、俺は反対の腕に絡みつくそれに手を伸ばすと、その蔓はまたずるりと動いて、腕どころか俺の胴体をぐるりと一周巻き上げた。そしてその蔦から滴り落ちる樹液で何故か服が溶けていく。飲み込んでも体内が溶けるという事はなかったが、それは少しずつ少しずつ俺の服を溶かし、俺の着ていた制服はあっという間に襤褸クズに姿を変えた。
  少しばかりの布が身体を覆う、ほぼ全裸の状態の俺の身体を蔓は遠慮もなく撫で上げていく。

「ひぃぃぃ! これ誰得だよっ! 意味分かんねぇ!!」

 これはエロゲーなんかでよく見るシチュエーション! と俺は思うのだが、あれは剥かれるのが可愛い、もしくはわがままボディな女性だから萌えるのであって、俺なんか剥いても誰も喜ばねぇだろう!?
 細い蔓がぬるりと尻穴を撫でた。嘘だろ? 止めてくれよっ、触手の意図が何処にあるのか分からないけれど、そんな所まさぐった所で何も良い事ないからな!?
 ぬるりとした樹液が身体に擦り付けられる、蔓の数は今となっては太い物細い物入り乱れて俺の身体を撫でまわす。気持ちが悪いと思うのに、何故か絡め取られた俺の息子は完勃ちで、蔓はそれもやわやわと締め付ける。ってか、細い蔓が興味深げに亀頭を突くのだけど、止めろ! 尿道プレイは絶対嫌だっ!

「ひぐっ!」

 おもむろに尻穴に蔓が潜り込んだ。それは何かを確認するようにずるりずるりと俺の体内に潜り込んできて、俺は上げたくもないのに嬌声を上げてしまう。というか、なんだこれ? 頭では気持ちが悪いと思うのに、その思考を覆い隠す勢いで身体は痺れるように気持ちがいい。
 身体がびくん! と跳ねた。触手にイかされるなんて、屈辱以外の何物でもないのに何故か射精が止まらない。俺の精液に触手がわらわらと集まってきてそれを貪るように絡め取っていく。これはアレか? 淫獣的な奴なのか? 死ぬまで精液搾り取られる……?
 頭が朦朧とする、なにか何もかもがどうでもいいような気分になってきた。だってこれとても気持ちがいい。尻穴をずるりずるりと出入りする、それが気持ちいいだなんてどうかしていると思うけれど、この触手確実に的確に俺の感じるポイントを狙い撃ちしてくる。

「ひぁん……あ、あっ……いぁぁぁ」

 射精が止まらない、触手が俺の身体を覆い尽くす。あぁ……もうこれ駄目だ……そう思った刹那「待ってろ、今助ける!」と声が聞こえた気がした。
 誰……? 視界は触手に覆われて、何だか前もよく見えない。
  触手の隙間から見える光、そこを引き裂くような腕が見えた。光が広がる。

「大丈夫か!? まだ、死んでないな!?」
「うぇぇぇ、助けてぇぇぇ」

 俺は情けなくも泣き出した。こんな身も世もなく人前で泣くのなんて何年ぶりだろう。俺のその声を確認したのであろう、その男は蔓をナイフで切り裂き始め、更にまた光が広がった。

「もう大丈夫だからな」

 男が蔓の中から俺を引っ張り出した。けれど、俺の意識はそこまでで、俺はそこで意識を失った。
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