榊原さんちの家庭の事情

矢の字

文字の大きさ
上 下
17 / 31
βだって愛されたい!②

もっともっと愛されたい

しおりを挟む
 肌を滑る掌が温かい、こちらの反応を窺うように丁寧に撫でてくれるのは嬉しいけど、少しばかりもどかしい。もっと激しく奪ってくれてもいいのに……
 俺の秘奥に伸びるてくる指、ゆるりと確認してそこを撫で、兄は「ん?」と首を傾げた。

「ずいぶんと柔らかいな?」
「だって、自分で準備してたから」

 男同士のあれやこれ、当然まったく知識がなかったから色々調べて事前準備はしていたさ。ただ兄ちゃんが、いつまで経っても手を出してこないものだから自慰ばかりが捗って、少し緩くなっちゃった?

「そこは俺にやらせて欲しかった」
「知らないよっ、いつまでも手を出してこない方が悪いんだろ?」
「まさか、よその男に触らせてなんか……」

 ぎらりと嫉妬の炎が垣間見えてぞくっとする、そういう顔も出来る癖に出し惜しみするからだよ。

「そこは自分で確かめ……はぅ!」

 ぐりっと指を突っ込まれて身体が跳ねた。そこはなんなく兄の指を受け入れたのだけど、兄はちっと舌打ちを打った。

「俺は存外嫉妬深い、迂闊な事は言わない方がいい」

 少し乱暴な指使い、普段の兄からは考えつかないその荒っぽさにぞくぞくする。

「もっと!」
「んん?」
「そういうのもっと見せて!」
「お前は……そういうのが好きなのか?」

 どうなんだろう? でもたぶんそう、優しくされるだけじゃ不安になるよ。そういう俺への執着を見せてくれたら俺は安心できる。けれど、兄ちゃんは少し戸惑い顔だ。そこで引かないでよ。

「お前はなかなか難しいな」

 急に兄の態度が軟化して元の兄に戻ってしまう、もう! 何で!?

「俺は少し乱暴に奪われるくらいがいい、優しくされると不安になる」
「不安になる……か、だったらそんな不安が吹き飛ぶくらい優しくしよう」

 足を割り開かれて持ち上げられて兄が俺の下肢に顔を埋める。え? やだ、そんな所舐めちゃダメ!
 ぐちゃぐちゃと下肢で水音が響く、いつの間に準備されていたのかローションが腹の上に垂らされてちょっと冷たい。そしてそのローションの滑りを借りて兄の指が既に3本俺の中を蠢いている。
 兄を受け入れる為に準備は色々していたし、そこに自分で指を入れた事もあったけど、やっぱり自分でやるのと他人にやられるのでは大違いだ。

「っあ……はぁ、くるし……」
「苦しいだけか? 気持ちの良い所はないか?」
「そんなの……分かんなぃ、あぅ!」

 兄ちゃんを煽る為に色々言ったけど、そもそも俺、経験値0だからな? 自慰でそこに触れた事はあるけど、正直後ろが気持ちいいなんて思った事は一度もない。だけど、俺が兄を受け入れる為にはそこを使うしかないのも分かってる。

「ねぇ、指……ヤダ、早く……ちょうだい」
「自分で弄っていたと言うだけあって、ずいぶん柔らかくなっているな。だが、そこをやらせてくれなかったのは俺だって少し腹立たしい」
「怒ってる?」
「怒りはしないさ、優しくすると言っただろ? でも、四季が自分でどうやっていたのかには興味がある」

 そう言って、兄はにこりと笑い「いつも自分でやっているようにやってごらん」と指を引き抜いてしまった。

「自分で……?」
「やっていたんだろ?」

 有無を言わせぬ口調、やはり少し怒ってる。顔を見られるのが恥ずかしくて俺はうつ伏せに、腰だけ少し上げてそこに指を這わせた。そこはもうたっぷり塗り込まれたローションでいつも以上に滑っている、そっと指を潜り込ませたらすぐに指を飲み込んだ。
 ゆるりゆるりと指を差し入れ広げるように動かしてみる。やっぱり既にいつも以上に緩んでいて苦しくない。

「っ、ふ……ん」
「すごいな、簡単に奥まで飲み込んで、ひくひく動いてる」
「ぃ、いわないでっ」

 兄に自慰を見られているかと思うとそれだけでとてつもなく恥ずかしい。

「なんで? とても綺麗な色だよ。ほらこっちも蜜が垂れてきた」

 そう言って兄は軽く俺自身を握り込む。まだ尻穴だけでは気持ちよくなれない俺だけど、見られているというそれだけで、そこは反応を返してしまったのだろう、兄はくすくすと笑みを零した。

「も、やだぁ……恥ずかしぃ」
「何を恥ずかしがる必要がある? 四季は可愛いな」

 ずいっと兄が俺に覆いかぶさり耳朶を食む。俺の手を覆うように兄の指も俺の中に侵入してきて少しだけ苦しくなった。そのまま律動をくわえられ、零れる声が止まらない。

「あ、んっ……強くこすっちゃ、だめぇぇ」
「だったら、そろそろ……」

 そう言って兄は俺の手を掴み引きずり出して布団の上に押し付けた。そして腰に押し付けられたモノは俺の想像より遥かに大きい。

「え……うそっ」

 そんなサイズ想定外、そんな大きいの入んないっ! けれど問答無用で押し付けられたそれがぐっと俺の尻穴を押し広げる。そんなの無理ぃぃぃ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夢見がちオメガ姫の理想のアルファ王子

葉薊【ハアザミ】
BL
四方木 聖(よもぎ ひじり)はちょっぴり夢見がちな乙女男子。 幼少の頃は父母のような理想の家庭を築くのが夢だったが、自分が理想のオメガから程遠いと知って断念する。 一方で、かつてはオメガだと信じて疑わなかった幼馴染の嘉瀬 冬治(かせ とうじ)は聖理想のアルファへと成長を遂げていた。 やがて冬治への恋心を自覚する聖だが、理想のオメガからは程遠い自分ではふさわしくないという思い込みに苛まれる。 ※ちょっぴりサブカプあり。全てアルファ×オメガです。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

その溺愛は伝わりづらい!気弱なスパダリ御曹司にノンケの僕は落とされました

海野幻創
BL
人好きのする端正な顔立ちを持ち、文武両道でなんでも無難にこなせることのできた生田雅紀(いくたまさき)は、小さい頃から多くの友人に囲まれていた。 しかし他人との付き合いは広く浅くの最小限に留めるタイプで、女性とも身体だけの付き合いしかしてこなかった。 偶然出会った久世透(くぜとおる)は、嫉妬を覚えるほどのスタイルと美貌をもち、引け目を感じるほどの高学歴で、議員の孫であり大企業役員の息子だった。 御曹司であることにふさわしく、スマートに大金を使ってみせるところがありながら、生田の前では捨てられた子犬のようにおどおどして気弱な様子を見せ、そのギャップを生田は面白がっていたのだが……。 これまで他人と深くは関わってこなかったはずなのに、会うたびに違う一面を見せる久世は、いつしか生田にとって離れがたい存在となっていく。 【7/27完結しました。読んでいただいてありがとうございました。】 【続編も8/17完結しました。】 「その溺愛は行き場を彷徨う……気弱なスパダリ御曹司は政略結婚を回避したい」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/962473946/911896785 ↑この続編は、R18の過激描写がありますので、苦手な方はご注意ください。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

運命の番はこの世に3人いるらしい

さねうずる
BL
  運命の番は誰でも三人いるらしい。 地球上にたった三人なのに、僕の彼氏はなんでみんな出会っちゃうの!? 運命の番と付き合いたい商社マン (α)× 運命の番に彼氏を取られまくる社食勤務(Ω) 毎日定期更新です。 完結まで予約済み。 稚拙な文章力で申し訳ありませんが、よかったら読んでください。

ある日、人気俳優の弟になりました。

樹 ゆき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。 「俺の命は、君のものだよ」 初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……? 平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

【BL】齢1200の龍王と精を吸わないオタ淫魔

三崎こはく
BL
人間と魔族が共存する国ドラキス王国。その国の頂に立つは、世にも珍しいドラゴンの血を引く王。そしてその王の一番の友人は…本と魔法に目がないオタク淫魔(男)! 友人関係の2人が、もどかしいくらいにゆっくりと距離を縮めていくお話。 【第1章 緋糸たぐる御伽姫】「俺は縁談など御免!」王様のワガママにより2週間限りの婚約者を演じることとなったオタ淫魔ゼータ。王様の傍でにこにこ笑っているだけの簡単なお仕事かと思いきや、どうも無視できない陰謀が渦巻いている様子…? 【第2章 無垢と笑えよサイコパス】 監禁有、流血有のドキドキ新婚旅行編 【第3章 埋もれるほどの花びらを君に】 ほのぼの短編 【第4章 十字架、銀弾、濡羽のはおり】 ゼータの貞操を狙う危険な男、登場 【第5章 荒城の夜半に龍が啼く】 悪意の渦巻く隣国の城へ 【第6章 安らかに眠れ、恐ろしくも美しい緋色の龍よ】 貴方の骸を探して旅に出る 【第7章 はないちもんめ】 あなたが欲しい 【第8章 終章】 短編詰め合わせ ※表紙イラストは岡保佐優様に描いていただきました♪

処理中です...