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3章 学園生活
学園迷宮2
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こんにちは。
表記のしかたを変えました。念話で会話する場合は(( ))にします。この話からです。
_______________________
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
晴れてクラスのみんなと仲良くなれた俺たちは全員で迷宮での訓練を再開したのだが、
「俺たちは遊撃なんだな………」
ライが苦笑しながら俺を諫める。
「まあまあ、お前は強すぎるんだからしょうがないだろう?寧ろお前一人で全部何とかできるだろ?」
「いや、そうだけどさ…………ほら、みんなで連携とかしたいじゃん?俺たちだけ自由行動とかハブられてるみたいじゃん?」
「そうは言ってもな、結構連携できてると思うぞ?誰かがミスしてもすぐカバーしてるだろ。」
ペイル先生にまでフォローされた。
「そうですね、頑張りますよ。」
~数時間後~
「そっち行ったぞ!C隊援護を!A隊はもう少し耐えてくれ!」
ほんの数時間で結構進んだ俺たちは今…………
「クソ、こいつら数が多すぎる!」
そう、大量の骨に囲まれていた。見渡す限り骨骨骨骨…………
迷宮でよくある魔物の大量発生だ。その場に誰もいないとその魔物は四方八方に散り散りになるのだが、近く生徒がいると、今のように押し寄せてくる。いわゆるモンスターハウスと言うやつだ。
その数なんと、3桁に達する。
ずっと傍観してたまにはアイズを出していただけのペイルも初めての迷宮訓練でモンスターハウスは酷だと思ったのか、スケルトン的な魔物と戦っている。だが、それでも数が多すぎる。初の迷宮の攻略で20層まで潜っていたため、一体一体が強い。
「ペイル先生、俺らでこいつらを全部対処しようか?」
「っ、良いのか?」
「ああ、元はと言えば俺がサポートしすぎて深くまで来ちゃったんだからな。」
一見傲慢ともとれる発言だが、実際間違っていない。蓮は正しく状況を把握できていた。
「わかった、頼んで良いか?もちろん無理そうだったら全力で撤退する。」
「大丈夫だ、絶対に全部倒す。アクア、ティア、行けるか?」
俺は二人に問う。
「もちろん!」
「はい、主様。」
即答だった。
「よし、じゃあ行くか。」
「「うん(はい)!」」
そういうなり、俺たちはそれぞれの方向へ飛び出した。
((アクアは左、ティアは右を頼む。好きなように暴れろ!昨晩話した通りだ!))
((うん!))
((はい!))
~昨日の夜~
「さてと、明日から迷宮の訓練が始まるわけだが、一つだけやることがある。」
「何でしょう、主様?」
「ペイルに力を見せつけることだ。実力主義である学園の関係者に直接俺たちの力を見せつける。」
「見せつけると何か良いことがあるの?」
「それについては、イリア。」
俺はイリアを呼んだ。
【はいはい。あの学園はクラスで迷宮に潜って訓練するのは20層まで、そこから先はチームでの攻略よ。】
「訓練じゃなくて、攻略?」
【そう、重要なところはそこ。迷宮の攻略だから、死ぬ可能性があるの。まあ、きちんと先生の話を聞いてその通りに攻略すれば死ぬことはないんだけどね、表では。】
「表………………つまり裏に迷宮もあって、私の目的はそっち?」
【そうよ。そこであなたたちにしてほしいことが力を見せつけることよ。まだ発表されてないみたいだけど、近々学園順位順位というものが出るわ。その中で上の方にいればいる程学園内でのいろいろな融通が利くということね。入試の時だけじゃ効果は薄いようだしね。】
「だ、そうだ。」
「わかりました。」
「わかったよ。」
~現在・蓮side~
「まずは……『空間壁』」
俺は魔物を三分割するように空間を隔絶した絶対の壁を作った。アクアとティアが魔物を狩りやすくするためだ。一応退路は塞いでいないが、もちろん逃げる暇など与えない。
「『魔斬波・広』!」
魔法学の授業で、「魔力はその性質も変えることができる」と習い、魔力の粘性を上げて半円形上に飛ばせないかと考えた結果、スピードは落ちたが威力は変わらない状態で50m程まで放てるようになった。名前は例によって適当だ。
遅いと言ってもこの学園の生徒が放つ雷の矢程は速い魔力の斬撃派が俺の前方にいる敵をまとめて音も無く両断する。
「「「ギィァァァァァーーーーッッ!!!!」」」
数十体もの魔物の断末魔が迷宮内に響く。
「残りは直接倒すか。」
俺は誰ともなしに呟くと、魔斬波の射程外にいた魔物にを見据えた。
「紅桜、黒百合、久しぶりの出番だ。力を貸してくれ。」
そう言った途端、俺の周りに凄まじい力の奔流が発生し、一気に両手に凝縮した。
【マスター、お久しぶりです。】
【力があり余ってる。】
紅桜と黒百合がどことなく不機嫌そうに脳内に話しかけてくる。
((悪い悪い、2人を使う場面が無かったんだ。そして早速だがあいつらを蹴散らすのを手伝ってくれ。))
【かしこまりました。】
【そういうことなら、まあ、わかった。】
((よし、行くぞ!))
俺は剣を両手に走り出した。
「ふっ」
一瞬で魔物の群れに到達すると、紅桜で前の一体の首を撥ね、そのままの勢いで斜め後ろにいたもう一体の頭を串刺しにする。
余談だが、体が骨でできている人型の魔物、所謂スケルトンは、その生命の核が頭部にあるため、首を撥ねるか頭部を破壊すると完全に活動が停止する。
次々と剣のみで敵を屠っていく蓮。その数は5秒で約40体、1秒で8体倒していることになる。1分も経たずに前方にいる殆ど全ての魔物を倒した俺は、
「今までに使ったことのないやつやってみるか。」
と言い紅桜と黒百合をしまった。すまんな、2人とも。
(【ベクトル操作】!)
スキル名を聞かれたらまずいと思い心の中で叫んだ途端、体が前へ砲弾の如く飛び出した。少し驚きはしたが、一瞬でコツを掴んだ。速度はかなり速いが、全力を出した時のスピードよりもかなり落ちるが、慣性などは全く感じない。ただ、直線的にしか移動することができない。いや、できるにはできるのだが、難しい。それでも、閉じられた空間で壁や天井を使った立体的な戦闘はこの能力の独壇場だろう。迷宮ではありがたいスキルだ。更に、魔物に触れるだけで頭部を粉々にできる。すごく簡単に。ゴバッ!と絶対に骨からは鳴らないような音が響く。しばらく俺は恐らく対物ライフルの弾丸よりも速い人間砲弾と化した。
「よし、これで終わりだな。」
残りの魔物を速攻で片づけた俺は、クラスの皆の元へ歩いて行った。
~アクアside~
「うわぁ、いっぱいいるなぁ。」
私は独り言ちたけれど状況は変わらない。よし、頑張ろう!
私はレンが作ってくれた剣を構えると、最初から無拍子を使い、魔物の群れへ突っ込んだ。反応できていない内に5体ほど狩ってすぐ離脱する。
洞窟迷宮深層の魔物ですら反応できなかったのだ。この程度の魔物ではその影すら捉えることはできない。
私は群れの周りを無拍子で不規則に移動し続けながら魔物を倒し続けた。魔物に感情があったとすれば恐らくわけもわからず大量に仲間を殺されて恐怖するだろう。
(それにしても、弱いなぁ)
アクアはそう思った。だが、いくら訓練用に用いられている20層と言っても、敵は弱いわけではない。授業をしっかりと受けた学園の生徒生徒一人対魔物一体で戦えば生徒が勝ちを収めるだろうが、もちろん単独で行動してる魔物は少ないし、仮に単独で行動していたらそれは己の身のみでその迷宮を生き残れるということ。油断は全くできない。現に魔物が大量発生したことで教師であるペイルですら撤退を考えていたのだ。まあ生徒たちがいるということもあるろうが。
そんな魔物の群れ相手に圧倒しているアクアは紛れもなく強い。
そんなことを解説してる間にもアクアはただひたすら斬って斬って斬ってたまに魔法で焼いて斬って斬って………………
「おーわりっ」
ものの5分でアクアの周りの全ての魔物を倒した。
アクアが剣を片手に着地した。途中から縮地と無拍子を組み合わせ、蓮がやろうとしていた壁を使った立体的な戦闘もアクアはやって見せたのだ。
「これで終わり、で良いんだよね?」
アクアは周りを確認して一体もいないことを確認すると、一つ頷いてクラスメイトが固まっている場所へ歩いて行った。
~ティアside~
「さて、主様の早く倒さないと主様を待たせてしまいますね。」
魔物がティアの方へ走り出す。
ティアは右手に剣を構え、左手に魔力を集中させ始めた。
「ッ!」
ティアが左手を前に突き出した途端、手の前に紅蓮の炎が3つ出現した。ティアが左手を左から右へと振るうと、その動きに合わせて炎が形を変え────
3振りの炎の剣がその姿を現した。ティアはそれを自分の周りに浮遊させると、もう一度左手に魔力を込め、4つの水の円盤を作り出した。
「では、行きます。」
ティアは誰ともなしに呟くと、魔物の群れのの先頭集団に向けて炎の剣を放った。そしてそれを一瞥もせず縮地で群れの端ギリギリを狙って飛び出した。そして魔法で作られた剣が先頭のスケルトンの頭を焼き貫くとほとんど同時にティアが端にいた魔物の元へ到達し、その首を切り飛ばした。
「ふっ」
ティアが斬った勢いそのままに魔物の群れを通り過ぎたかと思うと、タンッと音をたて、先回りしていた水を固めた円盤を足場にして、再び魔物の群れの中へ突っ込む。スケルトンたちが対応しようとするが………
─ゴオッ!─
3振りの炎の剣が大量の熱を振りまきながら暴れまわる。そして同時にティアが2体の頭部を破壊し、即座に床を蹴って離脱する。
そう、これがティアの編み出した戦法だ。殲滅、または大型の敵相手用の最強のヒット・アンド・ラン。炎の剣で相手を錯乱し、時には倒し、自分は縮地を利用して立体的に動き回りながら敵を倒す。
内側と外側から徐々に殲滅されていくスケルトンたち。その数は急激に減っていき、
「これで最後です。」
アクアと同じく5分程度で魔物を全滅させた。
アクアとティアが同じように立体的な戦闘をしたのには理由がある。それは、蓮だ。蓮が夜に森で訓練するときに、木を使って瞬足のスピードで飛び回っているところを見たのだ。さらに、彼に対しての上方補正がかかっている二人は「か、かっこいい………」と思って自分もできる様それぞれ練習した結果がこれである。二人とも天才と呼んでいいセンスである。
「お、二人とも終わったのか、おつかれ。」
「うん!」
「ただいま戻りました、主様。」
三人が合流し談話していると、クラスメイト達が集まってきた。
「レン、すげえじゃねえか!」
「アクアちゃんとティアちゃんも強い!」
「どうやったらそんなに強くなれるの?」
「あ、それ俺も気になる!」
さっきはアクアとティアにだけ集まっていた人だかりが、今度は俺のところにも集まってきた。
「待ってくれ、取り敢えず学園に帰ろう。今日はこれで終わりで良いんだろ?」
「ああ、明日はもう1度講義だ。まったく、初めての迷宮訓練で訓練領域の殆ど最下層まで来るとはな………」
ペイル先生が独り言ちる。
「まあ全員無事だったんだから良いか。ほら、お前らとっとと帰るぞ!話すなら学園に戻ってからにしろ!」
こうして俺たちの初の迷宮での訓練は終わった。
今後どうするんだ、これ?
_______________________
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
更新が大幅に遅れてしまい、申し訳ありません。
蓮はまだまだ使っていない能力が多いので取り敢えず一通り試してみようと思います。
よろしければ感想・質問も遠慮なくください!
表記のしかたを変えました。念話で会話する場合は(( ))にします。この話からです。
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晴れてクラスのみんなと仲良くなれた俺たちは全員で迷宮での訓練を再開したのだが、
「俺たちは遊撃なんだな………」
ライが苦笑しながら俺を諫める。
「まあまあ、お前は強すぎるんだからしょうがないだろう?寧ろお前一人で全部何とかできるだろ?」
「いや、そうだけどさ…………ほら、みんなで連携とかしたいじゃん?俺たちだけ自由行動とかハブられてるみたいじゃん?」
「そうは言ってもな、結構連携できてると思うぞ?誰かがミスしてもすぐカバーしてるだろ。」
ペイル先生にまでフォローされた。
「そうですね、頑張りますよ。」
~数時間後~
「そっち行ったぞ!C隊援護を!A隊はもう少し耐えてくれ!」
ほんの数時間で結構進んだ俺たちは今…………
「クソ、こいつら数が多すぎる!」
そう、大量の骨に囲まれていた。見渡す限り骨骨骨骨…………
迷宮でよくある魔物の大量発生だ。その場に誰もいないとその魔物は四方八方に散り散りになるのだが、近く生徒がいると、今のように押し寄せてくる。いわゆるモンスターハウスと言うやつだ。
その数なんと、3桁に達する。
ずっと傍観してたまにはアイズを出していただけのペイルも初めての迷宮訓練でモンスターハウスは酷だと思ったのか、スケルトン的な魔物と戦っている。だが、それでも数が多すぎる。初の迷宮の攻略で20層まで潜っていたため、一体一体が強い。
「ペイル先生、俺らでこいつらを全部対処しようか?」
「っ、良いのか?」
「ああ、元はと言えば俺がサポートしすぎて深くまで来ちゃったんだからな。」
一見傲慢ともとれる発言だが、実際間違っていない。蓮は正しく状況を把握できていた。
「わかった、頼んで良いか?もちろん無理そうだったら全力で撤退する。」
「大丈夫だ、絶対に全部倒す。アクア、ティア、行けるか?」
俺は二人に問う。
「もちろん!」
「はい、主様。」
即答だった。
「よし、じゃあ行くか。」
「「うん(はい)!」」
そういうなり、俺たちはそれぞれの方向へ飛び出した。
((アクアは左、ティアは右を頼む。好きなように暴れろ!昨晩話した通りだ!))
((うん!))
((はい!))
~昨日の夜~
「さてと、明日から迷宮の訓練が始まるわけだが、一つだけやることがある。」
「何でしょう、主様?」
「ペイルに力を見せつけることだ。実力主義である学園の関係者に直接俺たちの力を見せつける。」
「見せつけると何か良いことがあるの?」
「それについては、イリア。」
俺はイリアを呼んだ。
【はいはい。あの学園はクラスで迷宮に潜って訓練するのは20層まで、そこから先はチームでの攻略よ。】
「訓練じゃなくて、攻略?」
【そう、重要なところはそこ。迷宮の攻略だから、死ぬ可能性があるの。まあ、きちんと先生の話を聞いてその通りに攻略すれば死ぬことはないんだけどね、表では。】
「表………………つまり裏に迷宮もあって、私の目的はそっち?」
【そうよ。そこであなたたちにしてほしいことが力を見せつけることよ。まだ発表されてないみたいだけど、近々学園順位順位というものが出るわ。その中で上の方にいればいる程学園内でのいろいろな融通が利くということね。入試の時だけじゃ効果は薄いようだしね。】
「だ、そうだ。」
「わかりました。」
「わかったよ。」
~現在・蓮side~
「まずは……『空間壁』」
俺は魔物を三分割するように空間を隔絶した絶対の壁を作った。アクアとティアが魔物を狩りやすくするためだ。一応退路は塞いでいないが、もちろん逃げる暇など与えない。
「『魔斬波・広』!」
魔法学の授業で、「魔力はその性質も変えることができる」と習い、魔力の粘性を上げて半円形上に飛ばせないかと考えた結果、スピードは落ちたが威力は変わらない状態で50m程まで放てるようになった。名前は例によって適当だ。
遅いと言ってもこの学園の生徒が放つ雷の矢程は速い魔力の斬撃派が俺の前方にいる敵をまとめて音も無く両断する。
「「「ギィァァァァァーーーーッッ!!!!」」」
数十体もの魔物の断末魔が迷宮内に響く。
「残りは直接倒すか。」
俺は誰ともなしに呟くと、魔斬波の射程外にいた魔物にを見据えた。
「紅桜、黒百合、久しぶりの出番だ。力を貸してくれ。」
そう言った途端、俺の周りに凄まじい力の奔流が発生し、一気に両手に凝縮した。
【マスター、お久しぶりです。】
【力があり余ってる。】
紅桜と黒百合がどことなく不機嫌そうに脳内に話しかけてくる。
((悪い悪い、2人を使う場面が無かったんだ。そして早速だがあいつらを蹴散らすのを手伝ってくれ。))
【かしこまりました。】
【そういうことなら、まあ、わかった。】
((よし、行くぞ!))
俺は剣を両手に走り出した。
「ふっ」
一瞬で魔物の群れに到達すると、紅桜で前の一体の首を撥ね、そのままの勢いで斜め後ろにいたもう一体の頭を串刺しにする。
余談だが、体が骨でできている人型の魔物、所謂スケルトンは、その生命の核が頭部にあるため、首を撥ねるか頭部を破壊すると完全に活動が停止する。
次々と剣のみで敵を屠っていく蓮。その数は5秒で約40体、1秒で8体倒していることになる。1分も経たずに前方にいる殆ど全ての魔物を倒した俺は、
「今までに使ったことのないやつやってみるか。」
と言い紅桜と黒百合をしまった。すまんな、2人とも。
(【ベクトル操作】!)
スキル名を聞かれたらまずいと思い心の中で叫んだ途端、体が前へ砲弾の如く飛び出した。少し驚きはしたが、一瞬でコツを掴んだ。速度はかなり速いが、全力を出した時のスピードよりもかなり落ちるが、慣性などは全く感じない。ただ、直線的にしか移動することができない。いや、できるにはできるのだが、難しい。それでも、閉じられた空間で壁や天井を使った立体的な戦闘はこの能力の独壇場だろう。迷宮ではありがたいスキルだ。更に、魔物に触れるだけで頭部を粉々にできる。すごく簡単に。ゴバッ!と絶対に骨からは鳴らないような音が響く。しばらく俺は恐らく対物ライフルの弾丸よりも速い人間砲弾と化した。
「よし、これで終わりだな。」
残りの魔物を速攻で片づけた俺は、クラスの皆の元へ歩いて行った。
~アクアside~
「うわぁ、いっぱいいるなぁ。」
私は独り言ちたけれど状況は変わらない。よし、頑張ろう!
私はレンが作ってくれた剣を構えると、最初から無拍子を使い、魔物の群れへ突っ込んだ。反応できていない内に5体ほど狩ってすぐ離脱する。
洞窟迷宮深層の魔物ですら反応できなかったのだ。この程度の魔物ではその影すら捉えることはできない。
私は群れの周りを無拍子で不規則に移動し続けながら魔物を倒し続けた。魔物に感情があったとすれば恐らくわけもわからず大量に仲間を殺されて恐怖するだろう。
(それにしても、弱いなぁ)
アクアはそう思った。だが、いくら訓練用に用いられている20層と言っても、敵は弱いわけではない。授業をしっかりと受けた学園の生徒生徒一人対魔物一体で戦えば生徒が勝ちを収めるだろうが、もちろん単独で行動してる魔物は少ないし、仮に単独で行動していたらそれは己の身のみでその迷宮を生き残れるということ。油断は全くできない。現に魔物が大量発生したことで教師であるペイルですら撤退を考えていたのだ。まあ生徒たちがいるということもあるろうが。
そんな魔物の群れ相手に圧倒しているアクアは紛れもなく強い。
そんなことを解説してる間にもアクアはただひたすら斬って斬って斬ってたまに魔法で焼いて斬って斬って………………
「おーわりっ」
ものの5分でアクアの周りの全ての魔物を倒した。
アクアが剣を片手に着地した。途中から縮地と無拍子を組み合わせ、蓮がやろうとしていた壁を使った立体的な戦闘もアクアはやって見せたのだ。
「これで終わり、で良いんだよね?」
アクアは周りを確認して一体もいないことを確認すると、一つ頷いてクラスメイトが固まっている場所へ歩いて行った。
~ティアside~
「さて、主様の早く倒さないと主様を待たせてしまいますね。」
魔物がティアの方へ走り出す。
ティアは右手に剣を構え、左手に魔力を集中させ始めた。
「ッ!」
ティアが左手を前に突き出した途端、手の前に紅蓮の炎が3つ出現した。ティアが左手を左から右へと振るうと、その動きに合わせて炎が形を変え────
3振りの炎の剣がその姿を現した。ティアはそれを自分の周りに浮遊させると、もう一度左手に魔力を込め、4つの水の円盤を作り出した。
「では、行きます。」
ティアは誰ともなしに呟くと、魔物の群れのの先頭集団に向けて炎の剣を放った。そしてそれを一瞥もせず縮地で群れの端ギリギリを狙って飛び出した。そして魔法で作られた剣が先頭のスケルトンの頭を焼き貫くとほとんど同時にティアが端にいた魔物の元へ到達し、その首を切り飛ばした。
「ふっ」
ティアが斬った勢いそのままに魔物の群れを通り過ぎたかと思うと、タンッと音をたて、先回りしていた水を固めた円盤を足場にして、再び魔物の群れの中へ突っ込む。スケルトンたちが対応しようとするが………
─ゴオッ!─
3振りの炎の剣が大量の熱を振りまきながら暴れまわる。そして同時にティアが2体の頭部を破壊し、即座に床を蹴って離脱する。
そう、これがティアの編み出した戦法だ。殲滅、または大型の敵相手用の最強のヒット・アンド・ラン。炎の剣で相手を錯乱し、時には倒し、自分は縮地を利用して立体的に動き回りながら敵を倒す。
内側と外側から徐々に殲滅されていくスケルトンたち。その数は急激に減っていき、
「これで最後です。」
アクアと同じく5分程度で魔物を全滅させた。
アクアとティアが同じように立体的な戦闘をしたのには理由がある。それは、蓮だ。蓮が夜に森で訓練するときに、木を使って瞬足のスピードで飛び回っているところを見たのだ。さらに、彼に対しての上方補正がかかっている二人は「か、かっこいい………」と思って自分もできる様それぞれ練習した結果がこれである。二人とも天才と呼んでいいセンスである。
「お、二人とも終わったのか、おつかれ。」
「うん!」
「ただいま戻りました、主様。」
三人が合流し談話していると、クラスメイト達が集まってきた。
「レン、すげえじゃねえか!」
「アクアちゃんとティアちゃんも強い!」
「どうやったらそんなに強くなれるの?」
「あ、それ俺も気になる!」
さっきはアクアとティアにだけ集まっていた人だかりが、今度は俺のところにも集まってきた。
「待ってくれ、取り敢えず学園に帰ろう。今日はこれで終わりで良いんだろ?」
「ああ、明日はもう1度講義だ。まったく、初めての迷宮訓練で訓練領域の殆ど最下層まで来るとはな………」
ペイル先生が独り言ちる。
「まあ全員無事だったんだから良いか。ほら、お前らとっとと帰るぞ!話すなら学園に戻ってからにしろ!」
こうして俺たちの初の迷宮での訓練は終わった。
今後どうするんだ、これ?
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