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私の小説を評価していただきたい

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こんにちは。私は作家志望の〇〇と申します。前回に引き続き、今回は2通の手紙を先生に送りました。ちゃんと届いたでしょうか?もし、届いていないならばこちらから再送するのでご安心ください。


1通目の手紙には原稿用紙が入っています。私が先生の書いている小説を参考に、自分で書いた作品でございます。お願いがあります。私の書いた小説を是非、評価していただきたいです。


評価、そして批評を2通目の原稿用紙に書いていただきたいのです。先生は普段から辛口の批評ばかりなので私はとうに覚悟を決めております(笑)それでは早速、お読みになってください。



「えー!?怪談話ぃ?!」

「うん。今度の部活で開催する怖い話を語る回で、部長が欠席するから」

「それで代わりに私がその怪談に出ろってことね?」

「うん。無理強いはしないけど」

「ううん。〇〇ちゃんからのお願いは断らないわよ!」

「ありがとう。優しいね」


怖い話を語る会、当日


「〇〇さん、今日は部長の代わりに来ていただいてありがとう」

「い、いえ!」

「(そんなに人数は多くないんだね)」

「(うん。私達を入れて5人だね)」

「では早速始めましょうか。一番最初に誰が話したいですか?」

「…僕からよろしいでしょうか」

「あ、是非お願いします」

「ある日の夜のことです。友達と一緒に歩いていたら、見知らぬ女の人が立っていました。その人は髪が長く、顔が見えませんでした。友達が驚き、つい声をあげると次の瞬間」

「友達はその女の人に刺されてしまいました」

「え…」

「僕の話は以上です」

「ありがとう、〇〇〇さん」

「(ちょ、ちょっと!!怖い話というか、事件じゃないの!?この話!) 」

「(本人が怖いと思ったら怖い話になるんだよ)」

「(ふ、ふーん。そうなの)」

「ではお次は…」

「はい。俺が話すぜ」

「よろしくお願いします」

「俺から話すのはある女性作家の話だ。もう10年も前になる。その女性は過去に人を殺したという事実を隠して小説家をやっているんだ。あるとき、その人のもとに2通の手紙が届いたんだ。送り主は作家志望の男性で、1通目は自分が書いた小説、2通目はその小説の批評を書くための原稿が入っていたそうだ」

「それで、自作小説を読んでいる途中で亡くなったんだってよ」

「…俺の話は以上だ」

「ありがとう。…ところで、どうしてその人は亡くなったんだい?」

「俺も考えてみたんだけどよ、もしかしたら犯人がいて、ずっと後ろから見ていたんじゃないかな。女性作家さんが人を殺めたその日からずっと後ろで」

「ひぃ…!」

「〇〇ちゃん」

「ひゃ、ひゃい!!」

「ご、ごめんなさい。驚かせるつもりは」

「ははは!まぁ、怖い話を語る回はこういうもんだ。結局、幽霊よりも人が怖いってオチなんだよ」

こうして、副部長が語り、次に私が話し、最後に〇〇ちゃんが語って幕を閉じた。


この自作小説を読み、作家は絵柄にもなく冷や汗をかいていた。しばらくしてこの小説の批評文を原稿用紙に書き、慌ててポストに投函した。


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