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望とアズサ ゆるふわ可愛い系女子×真面目で賢い美人系女子

* 乙女ゲームを全てクリアするまで出れない部屋

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「今度は何?」
「乙女ゲーム全クリしろとさ」

 これまた面倒なものが。
 ホラゲよりはマシだがそれでも嫌なものは嫌だ。

「まぁやってみよ?」

 アズサと二人並んでソファーに座る。

「まずは名前を決めるんだってさ。何にする?」

 こういう名前を考えるのは結構苦手だ。
 望とアズサ、のぞみとあずさ、頭文字をとって、あ。

「ノアとかどう?」
「方舟はこぶね?」
「違うよ! 二人の頭文字をとってノア」
「なるほどね。良いじゃない」

 方舟が何かはわからないがアズサに良いと言ってもらえた。
 アズサが名前を打ち込み終わると、ゲームが始まった。

 内容はよくある学園もの、といった感じだった。
 ノアは幼馴染の秋君と高校で再会。なんやかんや喧嘩するがそれでもお互いが気になる。
「もしかして、これは恋? いや、そんなわけない! あいつなんか……」
 みたいな話である。
 もくもくとプレイしていたが、ふとアズサに聞かれた。

「こんなイメケンにこんなふうに口説かれたらどうする?」
「別にイケメンに興味ないから無難に断る」
「めっちゃ美人のお姉さんだったら?」
「それも興味ない。私が口説かれて嬉しい相手はアズサだけだよ」

 いってからなんだか恥ずかしくなる。顔が熱い。

「ふーん、そうなんだ。ああ、『何照れてんだよ。顔真っ赤だぞ。可愛い』」

 アズサが画面の中にいる秋君と全く同じセリフをいった。
 しかも至近距離で。これでは私の心臓が何個あってもたりない。

「もう、からかわないで!」
「だって可愛いんだもの」

 そうやって画面の中の二人に負けないくらい甘い会話をしながらゲームをクリアし、部屋を出た。
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