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本編(表)
03 サポートキャラの私
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私は乙女ゲームのサポートキャラ―六勝愛である。
ヒロインに対象攻略者の好感度や誕生日などを教えるのがその役目。
そう、ここは『乙女ゲーム』の世界……しかも『ヤンデレ』しか攻略対象者がいないというマニアが泣いて喜ぶ『ヤンデレ乙女ゲーム』の世界である。
いや、そんな事、今は問題ではない。
私の右手にはどういう原理か“攻略対象者”たちの好感度などが判る端末(タブレット)がある。その端末が最近おかしいのだ。この由々しき事件を解決する為、登校した足でヒロインを捜していた。
「葵!」
そして、このゲームの世界のヒロイン―桃園葵を見つけ思わず声をあげた。
彼女は廊下で誰かと話していている最中だったが、私に気付き満面の笑をこぼした。
「愛ちゃん、おはよー」
「おはよー! あのね! 葵……!」
ゲッ。
朝から最悪な奴と葵が話をしている。
柱の影に隠れて見えなかったが、葵の隣に居るのは攻略対象者であり教師でもある――赤松純也(二十六歳 古典担当)
私はこの赤松が大っキライなのだ。
◇
この世界が『乙女ゲーム』の世界と知っているのには理由がある。私はこのゲームの世界で二度目の人生を送っている転生者なのだ。
一度目の人生で娘がやっていたこのゲームが気になり、内緒で(娘のデーターで)やってみた。娘はその時、丁度“赤松ルート”を攻略最中だった。ゲームの劇中、赤松は馴れ馴れしく(エロい声で)娘の名前で呼び、身体を(エロい仕草で)触り(エロい音を出して)キスをして、最後には娘を(エロい表情で)刺して殺したのだ。
娘に何をしてくれる! 衝動的にゲーム機を放り投げた私は悪くないはず。
なーにが、キャッチコピーが『君と俺。これが真実の愛の形』だ。お前はロリコンだ! ヒロイン(十七歳)を狙うただのロリコンだ! いくら無駄に色気があって、ホスト系で細身のスーツが似合って、たまに見せる笑顔が可愛いイケメンでも! お前は聖職者じゃなくて、性職者だ!
天敵の赤松に対して、酷い態度をとってしまうのはもはや条件反射になっている。
こっそりゲームをやっていた事が娘にバレて(放り投げたので、ゲーム本体に傷をつけた)しばらく口を聞いてくれなかったのも! 娘の機嫌を取るために、駅前のケーキを買いに行った帰り、私がバスの事故で呆気なく死んだのも! 娘に怒られたのも私がバス事故で死んだのも! 全部目の前の赤松のせいだ! 逆恨み? それで結構! 相手はヤンデレ教師なのだ。こっちもネジの一つや二つ落としておかないと対抗できない。
前世の名前とか生い立ちとか旦那の名前すら覚えていないけれど、赤石への恨みつらみは魂が記憶している。
最後の記憶の娘も今の私たちと同じ年だったから前世の娘と葵(ヒロイン)を重ねてみてしまう。
「先生、葵になんの用ですか?」
だから、冷たい声を出して葵を庇うように立ってしまうのも許してもらいたい。。
転生して葵の『サポートキャラ』になったのも、天が私に与えてくださった使命。
葵は私が守るのだ。
「愛は、俺が嫌いだよなー」
「そうです? それと先生、名前呼びはやめて下さいと何度も言っていますよね? …………このロリコン」
「おいおい。最後の聞こえているっつーの。ちょっとはオブラートに包もうぜ。先生だって傷付くんだぞー。まったく俺に反抗的な生徒って愛くらいだよな、な? 桃園」
赤松は肩をすくめて(エロい顔で)ニヒルに笑って、葵に同意を求めた。
(悪ぅーございましたね! なーにが傷付くだ。お前はすぐにヒロインを刺す人種のくせに! 葵に近づくな!)
赤松という攻略キャラは、暴力性ばっちりのヤンデレである。ヒロインの全てを支配し、思い通りにならないとヒロインを傷つけ、最終的には殺してしまう。監禁するよりも先に殺(ヤ)っちゃうのだ。教師でありながら凶暴で獰猛で最悪な性質を持つ。危ない性格の奴で顔以外は良いところ無しな奴。
「あーいー? あんまり反抗的な態度をとっちゃってくれているとー。ヒドイ事するよ?」
ゾゾゾゾゾッ。その声色に背筋が凍りそうになる。
(え? なんで? 私、サポートキャラよ?)
「赤松先生、ダメですよ! 愛ちゃんをいじめたら!」
「俺はいじめてる? むしろ、可愛がっていると思うけど?」
葵と赤松が仲良く話しているのを見て、我に返った。
(あれ? この二人仲良くない? もしかして赤石ルートに入った?)
慌てて、二人に隠れて端末で好感度をチェックする。
「……えっと」
ここ数日間。おかしな事が起こっている。
このゲームはヒロインが二年生になった時点でスタートするのだが、スタート時、一番好感度が高かったのは、生徒会長である白兼聡だった。
このままでは白兼ルートにはいってしまうと思った矢先、白兼が自身のファンクラブ会長と付き合い出した。そして端末の白兼の欄には赤字で『攻略不可』と書かれたのだ。
次に清流の三つ子ルートに入りそうになった途端、別のクラスの……橙野さんの周りを三つ子がウロウロしだし、彼女はある日、突然、学園に来なくなった。
端末の清流三人の欄にも赤字で『攻略不可』という文字。
後は、同級生キャラの―緑川(みどりかわ)拓(たく)海(み)もいつの間にか彼女を作って『攻略不可』になっていた。
そして、最後の攻略対象者―赤松純也。
(確か、前に見た時はゲージが半分弱位、埋まっていたはず……)
「え?」
赤松の欄には
――『攻略不可』の文字。
ガタガタガタ。なぜか足元から身体中に震えがくる。悪寒が走る。いや、深く考えるのはやめよう。おめでたいことじゃないか。これで上手くいけば葵は私との『友情ルート』にはいる。そして、彼女を傷つけずに高校生活を送れるのだ。気持ち的には好感度はマックスだけど……私の好感度はどうなっているのかな? なぜか震えが止まらない指で端末を操作した。
そして、そこには……
六勝愛
――『攻略不可』
ガシャンッ
私が、端末を落とした音にびっくりして、二人が私の方を見る。
「大丈夫か?」
赤松に肩を支えられても、呆然としている私は振り払える元気はない。
「愛ちゃん、顔が真っ青だよ! 保健室に行かなきゃ!」
私の落とした端末を拾い、葵が心配そうに顔を覗き込んだ。
「俺が連れて行くから、桃園は教室に戻りなさい」
「……はい。愛ちゃん……頑張ってね」
……『頑張って』?
『お大事にじゃなくて?
赤松に引きずられるように、保健室に連れて行かれる私には、幻聴の様に聞こえたその言葉の意味を考える余裕はなかった。
そして、保健室には養護教諭の姿はなく、赤松が後ろ手で鍵を締め……その顔は怪しく微笑んでいたのを
―私は見ていない。
◆
赤松と愛の姿が見えなくなった後、葵は愛が持っていた端末を開いて、ある項目をチェックした。
各キャラクターのイラストが灰色になり、その上には『攻略不可』の烙印が赤く刻まれている。
そして画面に浮かぶ……
『ノーマルエンド』
つまり、誰とも結ばれずにゲーム終了を意味する。
(みんなゴメンネ? だって私の好きな男の子は別にいるんだもん)
葵のスマホの待ち受け画面には、三つ年上の義兄の写真。
そして、誰にきかせるでもなく、桃園葵(ヒロイン)は呟く。
「三次元で、ヤンデレとかないわー」
ヒロインに対象攻略者の好感度や誕生日などを教えるのがその役目。
そう、ここは『乙女ゲーム』の世界……しかも『ヤンデレ』しか攻略対象者がいないというマニアが泣いて喜ぶ『ヤンデレ乙女ゲーム』の世界である。
いや、そんな事、今は問題ではない。
私の右手にはどういう原理か“攻略対象者”たちの好感度などが判る端末(タブレット)がある。その端末が最近おかしいのだ。この由々しき事件を解決する為、登校した足でヒロインを捜していた。
「葵!」
そして、このゲームの世界のヒロイン―桃園葵を見つけ思わず声をあげた。
彼女は廊下で誰かと話していている最中だったが、私に気付き満面の笑をこぼした。
「愛ちゃん、おはよー」
「おはよー! あのね! 葵……!」
ゲッ。
朝から最悪な奴と葵が話をしている。
柱の影に隠れて見えなかったが、葵の隣に居るのは攻略対象者であり教師でもある――赤松純也(二十六歳 古典担当)
私はこの赤松が大っキライなのだ。
◇
この世界が『乙女ゲーム』の世界と知っているのには理由がある。私はこのゲームの世界で二度目の人生を送っている転生者なのだ。
一度目の人生で娘がやっていたこのゲームが気になり、内緒で(娘のデーターで)やってみた。娘はその時、丁度“赤松ルート”を攻略最中だった。ゲームの劇中、赤松は馴れ馴れしく(エロい声で)娘の名前で呼び、身体を(エロい仕草で)触り(エロい音を出して)キスをして、最後には娘を(エロい表情で)刺して殺したのだ。
娘に何をしてくれる! 衝動的にゲーム機を放り投げた私は悪くないはず。
なーにが、キャッチコピーが『君と俺。これが真実の愛の形』だ。お前はロリコンだ! ヒロイン(十七歳)を狙うただのロリコンだ! いくら無駄に色気があって、ホスト系で細身のスーツが似合って、たまに見せる笑顔が可愛いイケメンでも! お前は聖職者じゃなくて、性職者だ!
天敵の赤松に対して、酷い態度をとってしまうのはもはや条件反射になっている。
こっそりゲームをやっていた事が娘にバレて(放り投げたので、ゲーム本体に傷をつけた)しばらく口を聞いてくれなかったのも! 娘の機嫌を取るために、駅前のケーキを買いに行った帰り、私がバスの事故で呆気なく死んだのも! 娘に怒られたのも私がバス事故で死んだのも! 全部目の前の赤松のせいだ! 逆恨み? それで結構! 相手はヤンデレ教師なのだ。こっちもネジの一つや二つ落としておかないと対抗できない。
前世の名前とか生い立ちとか旦那の名前すら覚えていないけれど、赤石への恨みつらみは魂が記憶している。
最後の記憶の娘も今の私たちと同じ年だったから前世の娘と葵(ヒロイン)を重ねてみてしまう。
「先生、葵になんの用ですか?」
だから、冷たい声を出して葵を庇うように立ってしまうのも許してもらいたい。。
転生して葵の『サポートキャラ』になったのも、天が私に与えてくださった使命。
葵は私が守るのだ。
「愛は、俺が嫌いだよなー」
「そうです? それと先生、名前呼びはやめて下さいと何度も言っていますよね? …………このロリコン」
「おいおい。最後の聞こえているっつーの。ちょっとはオブラートに包もうぜ。先生だって傷付くんだぞー。まったく俺に反抗的な生徒って愛くらいだよな、な? 桃園」
赤松は肩をすくめて(エロい顔で)ニヒルに笑って、葵に同意を求めた。
(悪ぅーございましたね! なーにが傷付くだ。お前はすぐにヒロインを刺す人種のくせに! 葵に近づくな!)
赤松という攻略キャラは、暴力性ばっちりのヤンデレである。ヒロインの全てを支配し、思い通りにならないとヒロインを傷つけ、最終的には殺してしまう。監禁するよりも先に殺(ヤ)っちゃうのだ。教師でありながら凶暴で獰猛で最悪な性質を持つ。危ない性格の奴で顔以外は良いところ無しな奴。
「あーいー? あんまり反抗的な態度をとっちゃってくれているとー。ヒドイ事するよ?」
ゾゾゾゾゾッ。その声色に背筋が凍りそうになる。
(え? なんで? 私、サポートキャラよ?)
「赤松先生、ダメですよ! 愛ちゃんをいじめたら!」
「俺はいじめてる? むしろ、可愛がっていると思うけど?」
葵と赤松が仲良く話しているのを見て、我に返った。
(あれ? この二人仲良くない? もしかして赤石ルートに入った?)
慌てて、二人に隠れて端末で好感度をチェックする。
「……えっと」
ここ数日間。おかしな事が起こっている。
このゲームはヒロインが二年生になった時点でスタートするのだが、スタート時、一番好感度が高かったのは、生徒会長である白兼聡だった。
このままでは白兼ルートにはいってしまうと思った矢先、白兼が自身のファンクラブ会長と付き合い出した。そして端末の白兼の欄には赤字で『攻略不可』と書かれたのだ。
次に清流の三つ子ルートに入りそうになった途端、別のクラスの……橙野さんの周りを三つ子がウロウロしだし、彼女はある日、突然、学園に来なくなった。
端末の清流三人の欄にも赤字で『攻略不可』という文字。
後は、同級生キャラの―緑川(みどりかわ)拓(たく)海(み)もいつの間にか彼女を作って『攻略不可』になっていた。
そして、最後の攻略対象者―赤松純也。
(確か、前に見た時はゲージが半分弱位、埋まっていたはず……)
「え?」
赤松の欄には
――『攻略不可』の文字。
ガタガタガタ。なぜか足元から身体中に震えがくる。悪寒が走る。いや、深く考えるのはやめよう。おめでたいことじゃないか。これで上手くいけば葵は私との『友情ルート』にはいる。そして、彼女を傷つけずに高校生活を送れるのだ。気持ち的には好感度はマックスだけど……私の好感度はどうなっているのかな? なぜか震えが止まらない指で端末を操作した。
そして、そこには……
六勝愛
――『攻略不可』
ガシャンッ
私が、端末を落とした音にびっくりして、二人が私の方を見る。
「大丈夫か?」
赤松に肩を支えられても、呆然としている私は振り払える元気はない。
「愛ちゃん、顔が真っ青だよ! 保健室に行かなきゃ!」
私の落とした端末を拾い、葵が心配そうに顔を覗き込んだ。
「俺が連れて行くから、桃園は教室に戻りなさい」
「……はい。愛ちゃん……頑張ってね」
……『頑張って』?
『お大事にじゃなくて?
赤松に引きずられるように、保健室に連れて行かれる私には、幻聴の様に聞こえたその言葉の意味を考える余裕はなかった。
そして、保健室には養護教諭の姿はなく、赤松が後ろ手で鍵を締め……その顔は怪しく微笑んでいたのを
―私は見ていない。
◆
赤松と愛の姿が見えなくなった後、葵は愛が持っていた端末を開いて、ある項目をチェックした。
各キャラクターのイラストが灰色になり、その上には『攻略不可』の烙印が赤く刻まれている。
そして画面に浮かぶ……
『ノーマルエンド』
つまり、誰とも結ばれずにゲーム終了を意味する。
(みんなゴメンネ? だって私の好きな男の子は別にいるんだもん)
葵のスマホの待ち受け画面には、三つ年上の義兄の写真。
そして、誰にきかせるでもなく、桃園葵(ヒロイン)は呟く。
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