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第37話 日向の過去①出会い
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***
今から3年前──
日向が中学1年生の頃。
「あのっ! 好きです。僕と付き合ってください!」
木枯らしが吹き付ける寒い冬、校舎裏には男女の姿があった。
日向と2つ年上の女子生徒だ。
日向は入学式の時、校舎内で迷い助けてもらったことをきっかけに好意を抱くようになる。
先輩が卒業する前に勇気をもって告白した日向。
日向の身長は今よりも低く、女の子の様に可愛らしい姿だ。
「私でよければよろしくね」
彼女はそう言うと軽く頭を下げると、ショートカットに切りそろえられた髪の毛が揺れる。
「え、ほんと……ですか?」
顔を上げた日向は驚き目を開く。
「よろしくね。えっとまずは自己紹介しよっか。私は福田エリカ(フクダ エリカ)。エリカでいいよ」
「じゃあ、エリカさんで。僕は北原日向です」
「日向ね。これからよろしく」
そして、2人は付き合うことに──
だが、付き合い初めて2ヶ月経つも遊びに行ったのは3回ほど。
メールの返事もまばらで遊びに誘うも断られることが大半だ。
そんなある日のこと。
日向が街を歩いていると見覚えのある姿を目にする。
辺りは暗く見間違えかと思い後をつける日向。
「(え、嘘だ……。そんなはず……)」
だが、それは見間違えではなかった。
衝撃的な瞬間を目にし、受け入れない日向。
それは、エリカが他の男と腕を組み仲睦まじく歩く姿だ。
「エリカさんっ!」
日向は慌てて追いかける。
走ればすぐに追いつくことができた。
「日向……」
「誰こいつ?」
驚いた表情をするエリカとその隣には黒髪短髪のイカつい顔をした男。
「あ……えっと、友達」
エリカは一瞬顔を曇らせるとそう答える。
「友達だぁ? なら邪魔するんじゃねぇよ」
男はエリカの肩を組むと日向に背を向け歩き出す。
「じゃ、邪魔ってなんですかっ! 友達ってなにっ? 僕達……付き合ってるよね?」
「……はぁ。遊び断ってるんだから察してよね。ほんと空気読めないんだから。あたしと別れてくれる?」
エリカはため息をつくと口を開く。
顔から色が消えたエリカの声は中学生の日向には恐怖を与えるものだった。
「……な、なんで。僕のこと……好きじゃなかったの?」
頑張って振り絞った日向の声は震えていた。
「好き? いつあたしがあんたのこと好きって言った? 最初から好きじゃないわよ。それに優しすぎるのよ。まあ、友達ならよかったかもね」
エリカの言葉を聞いた日向は俯き拳を握りしめる。
「(た、確かに……僕好きって言われてなかった。じゃあ、エリカさんは好きでもないのに付き合ったってこと。好きだったのは僕だけ……)」
「じゃ、じゃあ……なんで付き合ってくれたの?」
恐る恐る顔を上げた日向は口を開く。
今から3年前──
日向が中学1年生の頃。
「あのっ! 好きです。僕と付き合ってください!」
木枯らしが吹き付ける寒い冬、校舎裏には男女の姿があった。
日向と2つ年上の女子生徒だ。
日向は入学式の時、校舎内で迷い助けてもらったことをきっかけに好意を抱くようになる。
先輩が卒業する前に勇気をもって告白した日向。
日向の身長は今よりも低く、女の子の様に可愛らしい姿だ。
「私でよければよろしくね」
彼女はそう言うと軽く頭を下げると、ショートカットに切りそろえられた髪の毛が揺れる。
「え、ほんと……ですか?」
顔を上げた日向は驚き目を開く。
「よろしくね。えっとまずは自己紹介しよっか。私は福田エリカ(フクダ エリカ)。エリカでいいよ」
「じゃあ、エリカさんで。僕は北原日向です」
「日向ね。これからよろしく」
そして、2人は付き合うことに──
だが、付き合い初めて2ヶ月経つも遊びに行ったのは3回ほど。
メールの返事もまばらで遊びに誘うも断られることが大半だ。
そんなある日のこと。
日向が街を歩いていると見覚えのある姿を目にする。
辺りは暗く見間違えかと思い後をつける日向。
「(え、嘘だ……。そんなはず……)」
だが、それは見間違えではなかった。
衝撃的な瞬間を目にし、受け入れない日向。
それは、エリカが他の男と腕を組み仲睦まじく歩く姿だ。
「エリカさんっ!」
日向は慌てて追いかける。
走ればすぐに追いつくことができた。
「日向……」
「誰こいつ?」
驚いた表情をするエリカとその隣には黒髪短髪のイカつい顔をした男。
「あ……えっと、友達」
エリカは一瞬顔を曇らせるとそう答える。
「友達だぁ? なら邪魔するんじゃねぇよ」
男はエリカの肩を組むと日向に背を向け歩き出す。
「じゃ、邪魔ってなんですかっ! 友達ってなにっ? 僕達……付き合ってるよね?」
「……はぁ。遊び断ってるんだから察してよね。ほんと空気読めないんだから。あたしと別れてくれる?」
エリカはため息をつくと口を開く。
顔から色が消えたエリカの声は中学生の日向には恐怖を与えるものだった。
「……な、なんで。僕のこと……好きじゃなかったの?」
頑張って振り絞った日向の声は震えていた。
「好き? いつあたしがあんたのこと好きって言った? 最初から好きじゃないわよ。それに優しすぎるのよ。まあ、友達ならよかったかもね」
エリカの言葉を聞いた日向は俯き拳を握りしめる。
「(た、確かに……僕好きって言われてなかった。じゃあ、エリカさんは好きでもないのに付き合ったってこと。好きだったのは僕だけ……)」
「じゃ、じゃあ……なんで付き合ってくれたの?」
恐る恐る顔を上げた日向は口を開く。
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