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第20話 再会 [完]
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***
数ヶ月後──
優菜の結婚式で再会した愛と翔。
二次会の帰り道、必然的に同じ方向となる2人。
「こうして2人で帰るのも久しぶりだな」
「……そうだね。あ、翔の結婚式よかったね。かっこよかったよ」
愛はそう言うと貼り付けた笑顔を見せた。
「……は? 本当にそれ言ってる?」
「え?」
「俺があいつと"結婚してよかった"って本当に思ってる?」
「あ、えっと……ほ、本当は辛かった……」
ジワジワと愛の瞳には光るものが見えてきた。
「ご、ごめん。強く言い過ぎた。俺、離婚したんだ」
「へ? だ、だってこの前──」
「俺との子が出来たって言われたから結婚したんだよ。けど、違かった……」
「え!? 翔の子じゃなかったの? じゃあ、あたし達別れなくてもよかった……の?」
翔の隣を歩いていた愛は突然膝から崩れ落ちる。
「だ、大丈夫か? あいつに別れるよう言われたんだろ? 辛い思いさせてごめん」
翔は振り返ると愛を優しく抱きしめる。
「ううん。あたしこそちゃんと相談すればよかったね」
「なあ、今更……俺がこんなこと言うのもなんなんだけど、俺たちやり直さないか?」
夜空一面に星がきらめく中、翔は愛の肩に両手を添え口を開いた。
その眼差しは真剣そのものだった。
「え……本当に? いいの?」
突然の告白にも関わらず、愛は嬉しさに頬を緩める。
「ああ。バツは付いちまってるけど、結婚を前提に俺と付き合ってください」
「バツなんて気にしないよ。はい! 喜んで」
愛はそう言うと目の前にしゃがむ翔な抱きついた。
その頬は真っ赤に染まっていた。
2人は立ち上がると満月を背に再び歩き出した。
その手はしっかりと握られていた。
「あ、そのネックレス付けてくれてたんだな」
嬉しそうに笑みを零す愛に目を奪われる翔。
少し視線を下にずらすと見覚えのあるものに目が止まった。
それは翔が愛の誕生日プレゼントとして購入したネックレスだ。
直接は渡せなかったが、誕生日当日、翔は愛が留守の日を狙って部屋の机にプレゼントを置いていた。
愛の母、楓夏に許可は得ていた。
「別れてからも、ずっと翔のことが大好きで、忘れられなかったから……ずっと付けてたんだ。あたしから別れ切り出して何言ってるんだって感じだけどさ」
愛おしそうに首元に揺れるネックレスを触る愛。
ピンクゴールドの変形型のネックレスには数個のダイヤが輝いていた。
「そんなことない。どうせ、あいつに脅されたんだろ? 俺と子供どっちを取るのかとか」
まるでその場にいたかのような翔の言葉に愛は驚きを隠せなかった。
「そう! 翔を返してくれなかったら子供は諦めるって言われたの。でも、無事に生まれてよかったね」
「あいつの言いそうなことだな。なんか、俺のせいであいつとの仲が悪くなっちまってごめんな」
「いいの、いいの。なんか今回のこと抜きでもあーやんはあたしのこと嫌いだったみたいだから」
申し訳なさそうに言う翔に対し、愛は笑顔を見せた。
その表情はどこか吹っ切れたようだった。
「そんな風には見えなかったけどな」
「まあ、あたしは翔とずっと一生に居られればそれで十分」
「愛……愛してるよ」
「あたしも……」
愛と翔の2人以外誰もいない路地裏で、足を止めると静かに唇を重ねた。
end
数ヶ月後──
優菜の結婚式で再会した愛と翔。
二次会の帰り道、必然的に同じ方向となる2人。
「こうして2人で帰るのも久しぶりだな」
「……そうだね。あ、翔の結婚式よかったね。かっこよかったよ」
愛はそう言うと貼り付けた笑顔を見せた。
「……は? 本当にそれ言ってる?」
「え?」
「俺があいつと"結婚してよかった"って本当に思ってる?」
「あ、えっと……ほ、本当は辛かった……」
ジワジワと愛の瞳には光るものが見えてきた。
「ご、ごめん。強く言い過ぎた。俺、離婚したんだ」
「へ? だ、だってこの前──」
「俺との子が出来たって言われたから結婚したんだよ。けど、違かった……」
「え!? 翔の子じゃなかったの? じゃあ、あたし達別れなくてもよかった……の?」
翔の隣を歩いていた愛は突然膝から崩れ落ちる。
「だ、大丈夫か? あいつに別れるよう言われたんだろ? 辛い思いさせてごめん」
翔は振り返ると愛を優しく抱きしめる。
「ううん。あたしこそちゃんと相談すればよかったね」
「なあ、今更……俺がこんなこと言うのもなんなんだけど、俺たちやり直さないか?」
夜空一面に星がきらめく中、翔は愛の肩に両手を添え口を開いた。
その眼差しは真剣そのものだった。
「え……本当に? いいの?」
突然の告白にも関わらず、愛は嬉しさに頬を緩める。
「ああ。バツは付いちまってるけど、結婚を前提に俺と付き合ってください」
「バツなんて気にしないよ。はい! 喜んで」
愛はそう言うと目の前にしゃがむ翔な抱きついた。
その頬は真っ赤に染まっていた。
2人は立ち上がると満月を背に再び歩き出した。
その手はしっかりと握られていた。
「あ、そのネックレス付けてくれてたんだな」
嬉しそうに笑みを零す愛に目を奪われる翔。
少し視線を下にずらすと見覚えのあるものに目が止まった。
それは翔が愛の誕生日プレゼントとして購入したネックレスだ。
直接は渡せなかったが、誕生日当日、翔は愛が留守の日を狙って部屋の机にプレゼントを置いていた。
愛の母、楓夏に許可は得ていた。
「別れてからも、ずっと翔のことが大好きで、忘れられなかったから……ずっと付けてたんだ。あたしから別れ切り出して何言ってるんだって感じだけどさ」
愛おしそうに首元に揺れるネックレスを触る愛。
ピンクゴールドの変形型のネックレスには数個のダイヤが輝いていた。
「そんなことない。どうせ、あいつに脅されたんだろ? 俺と子供どっちを取るのかとか」
まるでその場にいたかのような翔の言葉に愛は驚きを隠せなかった。
「そう! 翔を返してくれなかったら子供は諦めるって言われたの。でも、無事に生まれてよかったね」
「あいつの言いそうなことだな。なんか、俺のせいであいつとの仲が悪くなっちまってごめんな」
「いいの、いいの。なんか今回のこと抜きでもあーやんはあたしのこと嫌いだったみたいだから」
申し訳なさそうに言う翔に対し、愛は笑顔を見せた。
その表情はどこか吹っ切れたようだった。
「そんな風には見えなかったけどな」
「まあ、あたしは翔とずっと一生に居られればそれで十分」
「愛……愛してるよ」
「あたしも……」
愛と翔の2人以外誰もいない路地裏で、足を止めると静かに唇を重ねた。
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