6 / 20
第6話 結婚してくれんの?
しおりを挟む
「はーい」
それから数分後、愛は隣の家のインターフォンを鳴らした。
インターフォンからは少し低めの女性の声が聞こえた。
「あ、愛です」
「愛ちゃん! ちょっと待ってね!」
その直後、玄関のドアが開いた。
「いらっしゃい。楓夏(フウカ)から聞いてるわ。お夕飯食べていくのよね」
現れたのは目元が翔にそっくりな美人な女性。
「はい。すいません、急に押しかけちゃって」
「いいのよ! 気にしないで! 愛ちゃんは私の娘みたいなもんだから。翔のやつどう? お嫁に来る?」
翔の母である冬空は嬉しそうに問いかける。
冗談だと分かってはいるが、愛は戸惑い顔を真っ赤に染めた。
「なっ! あ、いや……えっと……」
「母さん……愛が困ってんだろ? やめろよ」
そんな愛に助け舟を出すかのように現れたのが翔だった。
翔の姿に愛はさらに顔を赤くした。
「翔。愛ちゃんごめんなさいね。さっきのは忘れてちょうだい」
「は、はい」
「(翔に告白されたばっかりだから……そんなこと言われると気になっちゃうじゃん)」
愛は冬空の隣に立つ翔に恐る恐る視線を移す。
「……っ!」
その瞬間、翔と目が合い思わず逸らす愛。
「(思いっきり逸らしちゃったよ……変な風に思われたかな?)」
「愛ちゃん、どうぞ上がって」
翔の顔が怖くてなかなか顔を上げられない愛に冬空が声をかけた。
「はい、お邪魔します」
リビングに入ると食欲のそそる匂いが辺りに漂う。
「ただいまー」
すると、玄関から男性の声が聞こえた。
「あなたおかえりなさい」
「なあ、夕飯ってもう作った?」
駆け寄る冬空に男性は問いかける。
「ええ」
「そうか……」
「何かあったの?」
「いや、そこで春哉(ハルヤ)達に会って一緒に飯食わないかって話になったんだよ」
「そうだったの……」
「行ってくれば」
難しそうな顔をする冬空に翔が口を開いた。
「翔……あ、愛ちゃんも来てたんだ。いらっしゃい」
「お邪魔してます」
愛はぺこりと頭を下げた。
「翔行ってくればって2人で大丈夫?」
心配そうな顔を浮かべる冬空。
「あのなー、俺ら大学生。飯ぐらい食えっから行ってこいよ。久々なんだろ?」
「そうなんだよ。翔ありがとうな」
「ああ」
冬空と翔の父親、秋翔(アキト)は足早に家を出ていった。
そんなこんなで、この家には翔と愛の2人だけに──
「め、飯でも食うか」
「そ、うだね」
若干ぎこちない2人は玄関からリビングに戻り、夕飯の支度を始めた。
支度といっても、ほとんど済ませてあるので、料理をテーブルに並べたり、ご飯とスープをよそうだけの簡単な作業だ。
「いただきます」
「いただきます……」
ダイニングテーブルの対面に腰掛けた2人は両手を合わせると食べ始めた。
「ん! 美味しい」
「よかった。家来るの久々だよな」
「久々! 翔ママのご飯好きだな」
「母さんの料理も美味いけど、愛のお母さんの料理もめちゃくちゃ美味いかんな」
「ありがとう。さっきね、翔ママに娘みたいなもんだって言われて嬉しかったの!」
「は!? そ、それって……意味わかって言ってんのか?」
翔は驚き、箸で挟んでいた肉じゃがのじゃがいもを皿に落とした。
「へ? 意味って?」
「はぁー、母さんの娘みたいなもんってことは……なに? 俺と結婚してくれんの?」
翔はため息を付くと、しっかりと愛の瞳を見つめながら告げた。
それから数分後、愛は隣の家のインターフォンを鳴らした。
インターフォンからは少し低めの女性の声が聞こえた。
「あ、愛です」
「愛ちゃん! ちょっと待ってね!」
その直後、玄関のドアが開いた。
「いらっしゃい。楓夏(フウカ)から聞いてるわ。お夕飯食べていくのよね」
現れたのは目元が翔にそっくりな美人な女性。
「はい。すいません、急に押しかけちゃって」
「いいのよ! 気にしないで! 愛ちゃんは私の娘みたいなもんだから。翔のやつどう? お嫁に来る?」
翔の母である冬空は嬉しそうに問いかける。
冗談だと分かってはいるが、愛は戸惑い顔を真っ赤に染めた。
「なっ! あ、いや……えっと……」
「母さん……愛が困ってんだろ? やめろよ」
そんな愛に助け舟を出すかのように現れたのが翔だった。
翔の姿に愛はさらに顔を赤くした。
「翔。愛ちゃんごめんなさいね。さっきのは忘れてちょうだい」
「は、はい」
「(翔に告白されたばっかりだから……そんなこと言われると気になっちゃうじゃん)」
愛は冬空の隣に立つ翔に恐る恐る視線を移す。
「……っ!」
その瞬間、翔と目が合い思わず逸らす愛。
「(思いっきり逸らしちゃったよ……変な風に思われたかな?)」
「愛ちゃん、どうぞ上がって」
翔の顔が怖くてなかなか顔を上げられない愛に冬空が声をかけた。
「はい、お邪魔します」
リビングに入ると食欲のそそる匂いが辺りに漂う。
「ただいまー」
すると、玄関から男性の声が聞こえた。
「あなたおかえりなさい」
「なあ、夕飯ってもう作った?」
駆け寄る冬空に男性は問いかける。
「ええ」
「そうか……」
「何かあったの?」
「いや、そこで春哉(ハルヤ)達に会って一緒に飯食わないかって話になったんだよ」
「そうだったの……」
「行ってくれば」
難しそうな顔をする冬空に翔が口を開いた。
「翔……あ、愛ちゃんも来てたんだ。いらっしゃい」
「お邪魔してます」
愛はぺこりと頭を下げた。
「翔行ってくればって2人で大丈夫?」
心配そうな顔を浮かべる冬空。
「あのなー、俺ら大学生。飯ぐらい食えっから行ってこいよ。久々なんだろ?」
「そうなんだよ。翔ありがとうな」
「ああ」
冬空と翔の父親、秋翔(アキト)は足早に家を出ていった。
そんなこんなで、この家には翔と愛の2人だけに──
「め、飯でも食うか」
「そ、うだね」
若干ぎこちない2人は玄関からリビングに戻り、夕飯の支度を始めた。
支度といっても、ほとんど済ませてあるので、料理をテーブルに並べたり、ご飯とスープをよそうだけの簡単な作業だ。
「いただきます」
「いただきます……」
ダイニングテーブルの対面に腰掛けた2人は両手を合わせると食べ始めた。
「ん! 美味しい」
「よかった。家来るの久々だよな」
「久々! 翔ママのご飯好きだな」
「母さんの料理も美味いけど、愛のお母さんの料理もめちゃくちゃ美味いかんな」
「ありがとう。さっきね、翔ママに娘みたいなもんだって言われて嬉しかったの!」
「は!? そ、それって……意味わかって言ってんのか?」
翔は驚き、箸で挟んでいた肉じゃがのじゃがいもを皿に落とした。
「へ? 意味って?」
「はぁー、母さんの娘みたいなもんってことは……なに? 俺と結婚してくれんの?」
翔はため息を付くと、しっかりと愛の瞳を見つめながら告げた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。
記憶がないなら私は……
しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。 *全4話
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる