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第4話 翔の後悔
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「はぁぁ……言うつもりなかったんだけどな……」
家に入った翔は玄関先で頭を抱えしゃがみこんでいた。
「翔何やってんだ?」
「親父……なんでもねぇ」
「……そんな所にいないで早く入れよ」
「ああ」
翔は父親の姿が見えなくなると立ち上がり、部屋に向かった。
「(あんな泣いてる所見たら気持ち抑えらんねぇだろ……。絶対好きにさせるからってどんな根拠があんだよ。実際、愛は高2の終わりに先輩と付き合っちまったし……)」
部屋に入るなり、ベットに腰掛け項垂れる翔。
高校2年生の終わり頃、愛は同じ部活だった先輩と付き合い始めた。
その先輩が先程、愛が別れを告げられた颯太だ。
「(あいつが別の奴と付き合う前に言っときゃよかったな。なんの為に告白断ってきたかわかんねぇじゃん。しかも、愛が付き合ってからは手当り次第に付き合ってたし、俺……信用ねぇよな……)」
翔は愛のことを好きだと自覚してからは全ての告白を断ってきた。
いつかは愛に告白をしようと決意を決めていた──
だが、万が一断られて"幼なじみ"という関係が壊れるのが怖くてなかなか告白出来ないでいた。
今の関係でもいいのではないかと──
そんな矢先、翔が大好きな愛から告げられたのは同じ部活の先輩から告白されて付き合ったという報告。
「……悩んでもしょうがねぇ。いつかは言うつもりだったし、それが……たまたま今日だっただけだ」
翔は目を見開き気合いを入れると立ち上がりそのままお風呂へと向かった。
***
翔からの告白から数日たったある日、
大学の講義が終わると校門あたりがなぜか騒がしかった。
「(なんだろ? 誰か来てるのかな?)」
愛はあまり気にも止めず帰り支度をしていた。
「愛、帰りましょ」
「優菜(ユウナ)! うん、帰ろ!」
優菜は高校からの友達だ。
学校を出て人集りのある校門へ向かう2人。
「あっ!愛!」
人集りの中から呼ばれ足を止める愛。
それは聞き覚えのある声だった。
「翔……?」
「あ、香月(コウヅキ)くん」
そこに居たのは、先日愛に告白をした翔だった。
「……よっ!」
翔が満面の笑みを浮かべれば周りにいた女子生徒から悲鳴が上がる。
「え、どうしたの?」
「いや、たまたま通りかかったから」
「たまたまって……翔の大学と逆方向じゃない?」
「まぁ、その辺は気にすんな。帰るぞ」
翔はそう言うと2人に背を向け歩きだした。
「うん……」
「もしかして私、お邪魔?」
優菜は翔に聞こえないよう小声で愛に問いかける。
「そ、そんなことない!」
「ふぅん、ならいいけど」
優菜はさりげなく愛の右隣に移動し、翔と愛が隣同士になるようにした。
「斉藤さんに会うの久々だよな」
「高校卒業して以来だから1年振りぐらいかしら」
「もうそんなに経つのか」
「早いわね。ところで、香月くんはなんの用事だったのかしら?」
「いや……色々と……」
優菜の問に翔は言葉を濁し、その目は視点がまるで定まっていなかった。
「そう。私はてっきり会いに来たのかと思ったけど、気のせいだったのね」
「あ、えっと……そう。気のせい」
「そう……。あ、じゃあ私バスだからここで、さようなら」
「優菜バイバイ」
「じゃーな……じゃ、俺達も行くか」
バス停で優菜と別れた2人は再び歩きだす。
「うん。翔が大学来たの初めてだよね」
「ああ。まさか、あんな人集まって来るとは思わなかったな」
「あたしも教室から見てたんだけど、あの人集りの原因が翔とは思わなかったよ」
「見られてたのか」
翔は恥ずかしそうに右手で頭をかいた。
「うん。でも、誰がいるのかまでは分からなかったよ」
「さっきさ……大学で俺に会った時、どうしたのって聞いたじゃん?」
駅に到着し、改札を通り抜けると翔が問いかかる。
「え? うん、聞いたね」
「俺、たまたま通りかかったって言ったけど、あれ嘘。本当は──」
「……なに? ごめん、電車の音で聞こえない!」
ホームに到着した2人。
翔の声は愛の耳には届かなかった。
「はぁぁ……言うつもりなかったんだけどな……」
家に入った翔は玄関先で頭を抱えしゃがみこんでいた。
「翔何やってんだ?」
「親父……なんでもねぇ」
「……そんな所にいないで早く入れよ」
「ああ」
翔は父親の姿が見えなくなると立ち上がり、部屋に向かった。
「(あんな泣いてる所見たら気持ち抑えらんねぇだろ……。絶対好きにさせるからってどんな根拠があんだよ。実際、愛は高2の終わりに先輩と付き合っちまったし……)」
部屋に入るなり、ベットに腰掛け項垂れる翔。
高校2年生の終わり頃、愛は同じ部活だった先輩と付き合い始めた。
その先輩が先程、愛が別れを告げられた颯太だ。
「(あいつが別の奴と付き合う前に言っときゃよかったな。なんの為に告白断ってきたかわかんねぇじゃん。しかも、愛が付き合ってからは手当り次第に付き合ってたし、俺……信用ねぇよな……)」
翔は愛のことを好きだと自覚してからは全ての告白を断ってきた。
いつかは愛に告白をしようと決意を決めていた──
だが、万が一断られて"幼なじみ"という関係が壊れるのが怖くてなかなか告白出来ないでいた。
今の関係でもいいのではないかと──
そんな矢先、翔が大好きな愛から告げられたのは同じ部活の先輩から告白されて付き合ったという報告。
「……悩んでもしょうがねぇ。いつかは言うつもりだったし、それが……たまたま今日だっただけだ」
翔は目を見開き気合いを入れると立ち上がりそのままお風呂へと向かった。
***
翔からの告白から数日たったある日、
大学の講義が終わると校門あたりがなぜか騒がしかった。
「(なんだろ? 誰か来てるのかな?)」
愛はあまり気にも止めず帰り支度をしていた。
「愛、帰りましょ」
「優菜(ユウナ)! うん、帰ろ!」
優菜は高校からの友達だ。
学校を出て人集りのある校門へ向かう2人。
「あっ!愛!」
人集りの中から呼ばれ足を止める愛。
それは聞き覚えのある声だった。
「翔……?」
「あ、香月(コウヅキ)くん」
そこに居たのは、先日愛に告白をした翔だった。
「……よっ!」
翔が満面の笑みを浮かべれば周りにいた女子生徒から悲鳴が上がる。
「え、どうしたの?」
「いや、たまたま通りかかったから」
「たまたまって……翔の大学と逆方向じゃない?」
「まぁ、その辺は気にすんな。帰るぞ」
翔はそう言うと2人に背を向け歩きだした。
「うん……」
「もしかして私、お邪魔?」
優菜は翔に聞こえないよう小声で愛に問いかける。
「そ、そんなことない!」
「ふぅん、ならいいけど」
優菜はさりげなく愛の右隣に移動し、翔と愛が隣同士になるようにした。
「斉藤さんに会うの久々だよな」
「高校卒業して以来だから1年振りぐらいかしら」
「もうそんなに経つのか」
「早いわね。ところで、香月くんはなんの用事だったのかしら?」
「いや……色々と……」
優菜の問に翔は言葉を濁し、その目は視点がまるで定まっていなかった。
「そう。私はてっきり会いに来たのかと思ったけど、気のせいだったのね」
「あ、えっと……そう。気のせい」
「そう……。あ、じゃあ私バスだからここで、さようなら」
「優菜バイバイ」
「じゃーな……じゃ、俺達も行くか」
バス停で優菜と別れた2人は再び歩きだす。
「うん。翔が大学来たの初めてだよね」
「ああ。まさか、あんな人集まって来るとは思わなかったな」
「あたしも教室から見てたんだけど、あの人集りの原因が翔とは思わなかったよ」
「見られてたのか」
翔は恥ずかしそうに右手で頭をかいた。
「うん。でも、誰がいるのかまでは分からなかったよ」
「さっきさ……大学で俺に会った時、どうしたのって聞いたじゃん?」
駅に到着し、改札を通り抜けると翔が問いかかる。
「え? うん、聞いたね」
「俺、たまたま通りかかったって言ったけど、あれ嘘。本当は──」
「……なに? ごめん、電車の音で聞こえない!」
ホームに到着した2人。
翔の声は愛の耳には届かなかった。
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