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ホワイトタヌキの一大決心
しおりを挟む(それで…オレが魔力を食べたっていうのは…)
魔力を食べたって、思いもよらない事を言われ頭の中は混乱中である。
オレ、てっきり違う意味で王子の事を食べちゃったのかと思ったけど、魔力??魔力食べちゃうの?オレ!
こうしちゃおられんと、王子の腕の中からごめんねと這い出て、お座りポーズになる。
ぬくもりを失い、何か言いたげな顔をしている王子の事は今は無視だ!!
「…まあ…どういった仕組みかは分からないんだけど、ニナが発情する度にまるでニナじゃないニナが、俺を食べたい食べたいと激しいアレヤコレヤをしてくるんだ…」
「みゃっ!!!」
ひいっ!!!!
物憂げな表情で長い睫毛を伏せ、少し悲しげに話す王子に卒倒しそうになる。
やっぱり魔力だけじゃなく、王子の事も食べちゃったの??!
確かに、この間の発情の時のは何となく覚えている。
オレのキステクで、王子をめちゃくちゃにした事はな。
けど、昨日は自分が気持ち良くなっちゃった事しか思い出せない。
おっ…俺が王子にアレヤコレヤを?魔力を食った事よりヤバくない?この国の大事な王子様よ?
ごめん!ごめんね王子!
それに!恐る恐ると聞いてみる。
(オレ…王子の魔力全部食べちゃったの?王都の結界は…?!)
「ああ、食べたと言っても溢れて暴れまわっていた無駄な魔力だけ綺麗に食べてくれたよ。
お陰でコントロールしなくても良いみたいだし、もともとの魔力はちゃんと維持されてるよ。凄いねニナは」
な、なんだ良かった…。
オレは一度目を閉じ、覚悟を決めた。
カッと目を開き、いつもは愛らしいと言われるウルウルアイズをキリッと男らしく変化させた!(つもり)
(王子…、この国は同性婚、いや魔獣との結婚は許されているのか?)
「どうしたの?急に」
(いいから教えて欲しい)
「同性婚は許されているけど、魔獣は前例がないな」
そうか、それもそうだ。
なに、同性婚が許されるのならこっちのモノよ。
人化出来るオレには何て事ない。
ちょっと面倒そうな王族問題は横に置いておいて、オレは王子の手に自分の前足を重ねた。
きゅっと握られて、よしよしされる。
王子、それじゃお手が成功したワンコみたいだからやめてくれ。
ちなみに王子はまだ寝転んだまま起きてはくれない。
まだまだ眠れそうな感じで、ぼんやりしている可愛い。
まあ睡眠負債は身体に良くないからな。
だがこの男の一大決心を醸し出す空気を、少しだけ読んでみて欲しい。
「どうしたの?一緒に寝る?おいで」
ふわぁ…とあくびをしながら布団をめくる王子可愛い。
可愛さに溶けそうになるオレは、再び顔をキメ直す。
(…いや、寝ない。聞いてくれ王子、オレは王子にアレヤコレヤをしてしまったが、きっと軽い気持ちでしちゃった訳じゃないと思うんだ)
「…?うん」
(だけど責任を取らせてほしい。愛している、王子。
こんなホワイトタヌキですが結婚してください!!)
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