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再び朝チュンを迎えるホワイトタヌキ
しおりを挟むチュンチュン…チュンチュン…
あで…。朝…??
まだ目を閉じたまま、鳥の鳴き声に耳を傾ける。
オレ、昨日王子と…。
はっと目をガン開きにし、布団の中を見る。
はい、やっぱりタヌキ!!ホワイトタヌキだよ!
まったくもって裸んぼうじゃないから、昨日あの後どうなったのか分からない。
いつもいつも記憶が曖昧だ。
そして王子もどうせいないのだろう、と隣を見ると、すやすやと王子が穏やかに眠っている。
(王子…)
珍しい。考えてみればあまり王子の寝顔を見たことないな。なんか少しあどけなくて可愛い。
肉球で優しく唇に触れてみる。ムニムニ。
きゃあっ!王子可愛いようっ!と布団に顔を埋めて悶える。
そして再びはっとする。
ダラダラと嫌な汗をかく。まさか、まさか、オレってば嫌がる王子に無体な事をしてないよね?
血走った目に、鼻水をずびずび言わせながら再度布団の中に潜り、王子の様子を伺う。
ドッドッドッと、激しく心臓が踊り狂っているのが分かる。
っ…!!セーフ!!?
服は着てるけどシャツはいつもよりはだけているだと?!!
く、首は??なんか変なものついてないよね?主に痛々しい噛み跡とか!!
…セーフ??何もない。シミひとつない綺麗な肌だ。
オレはほっとしてベッドにコロンと転がる。
(ふぅ…自分が恐ろしい…)
「ん…ニナ…」
と眠たそうな王子の声が聞こえた。オレは立ち上がり、王子の顔に近づく。
(王子、珍しいね。まだ眠いでしょ?寝なよ)
布団をくわえて王子にかけてやる。隣にコテンと転がる。
うっすらと菫色の目がオレを見つめる。
「ニナ、身体は…?どこかおかしくない?」
身体??
(すこぶる元気だけど?ん?なんか魔力がめちゃくちゃみなぎってる気がする)
ファイヤー!とか攻撃魔法は出そうにないけどな。
王子はオレの身体を抱きよせ、ぎゅっとする。
(?)
「…良かった」
ふぅっ息をつき、オレの頭に額をあてる。
「ニナ、何も覚えてない?」
(えっ…あの…王子に気持ちよくして貰いました)
ゴニョゴニョと、照れるホワイトタヌキ。
「その後、記憶はある?」
そっその後?やっぱオレ何かしちゃったの?覚えてないとか最悪なヤツじゃん!
(オレ、王子に酷い事しちゃったのか?)
「…今までこんなに眠れて、こんなに身体が軽くて楽な事はなかったよ」
(…どういう事?)
ふわりふわりと背中を撫でられると、二度寝してしまいそうだ。
「あの後、ニナは俺の魔力を食べちゃったんだ」
(へ…?)
急に衝撃的な事を言われて固まるオレ。
「俺のこの身体には、人間には不釣り合いな程の莫大な魔力が溢れていて、それをコントロール出来ず時々体調を崩すんだ。
子供の頃は、それで何度も死にかけたしね」
(….そんな…オレ、知らなかった。…あ…だから森で静養してるの?)
「森は僅かだけど、魔力を放出出来る場所でもあるんだ。やはり王都にいるよりは体調が安定しているかな」
(それじゃあ城にいる時は、いつもしんどいの?)
「今は魔力をコントロール出来ているからしんどくないよ。ただコントロールする事にも疲れてしまう時があるからね」
そっか…でも、待って?オレが王子の魔力を食べたって何??
どゆこと???
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