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「噂…ですか…まあ毎日のようにコソコソと自然に耳に入って参りますので、どのような噂かは存じております」

私からしたら、ロクでもない噂話ばかりだけどね。

「えっと、責任取らせて無理矢理婚約させた女だとか、陰で取り巻きと一緒にマリローズ嬢を虐めてるだとか、兄上にストーカーのごとく纏わりついてるだとか、とにかくめちゃくちゃ性格悪くて冷たいお嬢様だってやつ?」

「………………」

 取り巻き?ストーカー?
ねえ、どうしてそうなるの?責任取らせて無理矢理婚約させた女はさて置いといて、取り巻きって何?見て分からないかな?

私、ぼっちなんですけど?

どちらかというと、マリローズを虐めてた子達を使いたくもない権力使って、成敗したつもりだったんだけど?

あとストーカー??なるべくランデルとは会わないように過ごしてるんだけどな?

もう一回言うけど、私、ぼっちなんですけど??!!


「お姉さま、めちゃくちゃやばいヤツじゃないですか」

「シャル!」

シャル、あんたまで!
思わずキッとシャルを睨み付けてしう。

「嘘ですよ、分かっています。お姉さまがとっても誤解されやすいって事だけは。
私も転入早々レオノールお姉さまの酷い噂を山程聞きましたが、一体誰の事を言っているのかと首を傾げる思いでした」

「シャル…!シャルだけだわ。私の事を理解してくれるのは!もうベリテの町に帰りたいっ(南部の領地)」

「それも良いですね。こちらには来たばかりですが、シャルと一緒にベリテに戻りましょう」

「ちょっとちょっと!レオノール嬢には兄上がいるんだから、これ以上王都から出ないでよ!卒業したら二人は結婚するんでしょう?
シャルティ、君もだ。ようやく僕を認識して口を利いてくれだしたというのに」

そっ、そうだ。本来の目的を忘れてしまいそうだった!

「あの、フレント殿下…そのシャルとはどういった…」

ランデルのキリッとした目付きとは違い、柔らかに目尻を緩めニコニコとシャルを見つめるフレント殿下。

ランデルとは違い表情豊かだなぁ。


「ああ、僕がシャルティに一目惚れしたんだ」

「ずーっとストーカーのごとく纏わりつかれていたので、何故だろうと不思議に思っていたのですが、そういう事だったみたいです」


そういう事って、ここにもストーカー??!って私はストーカーじゃないけどもっ。

というかシャル、王族にそんな失礼な事を言って…不敬になるわよ!


「ほら、この媚びない所もいいよね」


あ、そうなんですね。シャルの後頭部を掴んで謝罪させようとしたけど不要だったみたい。

私もシャルの媚びない所が、一緒にいて楽だったから分かる。でも相手が相手なら危険なので、シャルの為にも教育しなきゃね。

今はそれより、フレント殿下!あなたは幼い頃から優しいマリローズが大好きだったはず!姉のように慕いながらも、いつしか自分の恋心に気付いちゃうんだよね。


なのに何でシャル?



「あの、マリローズは…」


「?マリローズ嬢?僕はあまり関わった事がないんだけど、それがどうかした?」

え?姉のように慕う以前に、関わりさえもないの?

「いっ…いえ…」

「まあ会えば挨拶程度には話すけど、あの人兄上しか見えてない感じだよね…それこそストーカーのごとく纏わりついてるって感じがするけど」


「え…」


「本当、噂ってあてにならないね」


と、マリローズなんてどうでも良いように鼻で笑った。



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