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しおりを挟む「あの方がランデル殿下の婚約者のレオノール様?」
「綺麗なお方だけれど…何だか冷たそうね。それにあの噂は本当なのかしら?」
「噂?何ですの?」
「あらアナタ知らなくて?過去に、ランデル殿下とレオノール様の婚約話が進められていたのだけど、ランデル殿下が一度それを拒否されたそうよ」
「まあ、そのような事が?以前レオノール様は危機一髪の所で、ランデル殿下のお命を狙った者から、ランデル殿下をお守りになったとか…犯人にはだいぶ重い刑が下ったと聞くわ」
「それは一度目の婚約話が解消された後の話しよ。
その件で、レオノール様は傷ものになってしまわれたでしょう?だからその責任をとる為のご婚約になったとか」
「つまりは仕方なくご婚約されたという事?…一度お断りする位のお相手と…ランデル殿下がお可哀想だわ」
「それをいうならマリローズ様が一番お可哀想よ。幼なじみとはいえ、お二人は本当の恋人同士のようにお似合いだもの」
「本当ね…レオノール様もなぜ今頃学園にご入学されたのかしら?」
「きっと、マリローズ様にランデル殿下を取られまいと必死なのですわ」
クスクス…ヒソヒソ。
あの、全っ部聞こえてるんですけど!!!
転校生という形で入学して一日目。今の所、ランデルとマリローズには会わずにすんではいる。
入学の手続きが終わり、広くて綺麗なカフェテリアでのんびりお茶をしていたら、さっそく噂をされる私ことレオノール。
というか一体何がどうなって、あんな噂が流れてるの?
確かに、責任を負うための婚約についての噂は想定内だったけど…それに傷ものって…。
そもそも一度目の婚約話は、あまり外に漏れてない筈だよね?婚約を解消してもらったのもランデルではなく私の方からだし…。
これじゃあまるで、無理やりレオノールがランデルと結婚しようとしてるみたいじゃん。
波風立てず、目立たずいたかったのに。さっそくネガティブなイメージからのスタートね。
私が入学した事で、さらに噂は良くない方へ向かうだろう…。
ちょっとマズイかな。
ひとつだけ良い情報があるとしたら、学園内でのランデルとマリローズの事だ。
本当の恋人同士のようにお似合いだと言っていた。
きっとふたりはだいぶ進展してるって事よね。
「はあっ…やっぱりこの顔のせいかな?第一印象からして意地悪そうだもの。もうっほんっとに、嫌い!嫌いっ」
「僕は好きだけど?」
「はい?!どこが?!あなたこの顔に騙され…」
え?
「少し日に焼けた?
でも、あまり僕の婚約者の顔を嫌いだなんて言わないで欲しいな。
ね?レオノール」
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