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しおりを挟む「メイサッ!!」
「えっ?お嬢様?!」
目一杯腕を広げた私は、メイサにがばりと、抱きついた。
「うぅぅっ」
「レオノールお嬢様…マリローズお嬢様に誤解がとけて宜しかったですね」
あやすように背中をさすりながら、メイサが言う。
「あ…うん。本当に良かったわ」
「ハーブティーでも御入れしましょうか?リラックスされると思いますわ」
「ううん、大丈夫。少し疲れたから休んでもいい?」
「もちろんでございます。何かあればお呼びください」
「うん…ありがとう」
もう一度だけメイサにハグして、一人になる。
思い切りダイブしたい気持ちを抑え、パタリとふわふわなベッドに倒れこむ。
「はぁ…」
メイサ、確かにマリローズとの事は誤解がとけて安心したんだけどね、今はそれどころじゃないんだよ。
ランデル…。
『君は誰?』
あれはどういう事?
私が、レオノールじゃないって事に気付いちゃった??
確かに私はレオノールの性格を無視して、ほぼ素のままの自分でいる。そりゃあんた誰だよ?となるのも分かる。
でも外見は疑うまでもなくレオノールのままだし、初めは皆戸惑いつつも、寝込んで記憶も曖昧な私にそこまで 不審がらなかった。まだ幼いし、人格形成の途中だし…?そう言う事もあるか、みたいな。
でも、さすが…私の推し…!鋭い!!
可愛いお顔でハルトとじゃれついているかと思えば、あんなに怪しく優艶に笑う事が出来るなんて!…素敵!
正直そこを楽しめる余裕があれば良かったんだけど、言われた事に驚きすぎて、あの後ただただビクついていた。
様子のおかしい私を心配してか、マリローズが今日は帰るからゆっくり休んでと気遣ってくれて、ランデルと一緒に帰っていった。
帰る間際、ランデルがこちらを振り返り、
「またね。レオノール」
と呟いた。
早鐘を打つ心臓をぎゅっと押さえた。
あの神秘的な目に真っ直ぐ見つめられると、全て見透かされているように思えて不安になる。
実際、私がレオノールじゃないと知られた場合どうなる?
…。よく分からないけど、良い事はないと思う。
本物のレオノールはどこに行ったんだって話しになると思うし、私なんて嘘付いてこうしてレオノールとして過ごしちゃってる訳で…。
しかも、今後レオノールはランデルの婚約者となる。
バレれば…ただじゃ済まないよね。
ん?婚約者?
………………………………。
そういえば!!
レオノールって、ただの悪役令嬢ってだけじゃなくて、ランデルの初めの婚約者だった!
「もっ… もぉぉおっ!!!!レオノール!!っっっとに面倒臭い!!!!!」
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