29 / 48
キミとふたり、ときはの恋。【第三話】
Summer Breeze【3−4】
しおりを挟む「でもさ、土岐。首筋のそんな目立つところに印をつけてても、ここまで無自覚なんだろ? もうご愁傷様と言うよりないよ」
「ほっとけ。まぁ、ソッチは堂々と見せびらかしてくれてるわけだから、俺も少しは譲歩しないといけないわけだ」
「なるほど。どっちも隠そうとしないところが美点であり、悩ましいというわけか。つくづく、ご愁傷様」
「確かに悩ましいが、こうして頻繁に見せつけて虫除けするのも俺得だから、問題ない」
「だろうね。ふふっ」
うわーん。何の会話なのか、ついていけないわ。日焼け対策のお話でもないわよね?
ん? あ、でも高階くんは絶対日焼けしたくない派、だと思うから、あながち間違いでもないかも。
だって、ものすごくきっちりとラッシュガード着込んでるもん。綺麗系男子は、こういうところもソツがないのねぇ。さすがだわ。
あと、首筋がどうとかって言ってたのは、きっとネックレスのことよね。
奏人がプレゼントしてくれた、ふたつの星のネックレス。ホワイトゴールドとガーネットが陽射しに反射してとーっても綺麗で可愛いし、ものすごく目立ってるもんねっ。
「涼香? さっきからおとなしいけど大丈夫? もしかして、気分悪い?」
奏人の腕に囲われたまま考え事してたせいで、全身が火照って頭がぼうっとしてた。
でも、早口で聞いてきた奏人が身体をサッと離してくれて、呼吸がしやすくなったわ。
だから、笑って返した。
「ううん、大丈夫よ。ちょっとポーッとしてただけ」
「そう? 何か飲みに行こうか。日陰に……」
「おーい、土岐ー。コイツら、ちゃんと反省したっつーからさぁ。解放してやる前に謝罪聞いてやってくれよー」
司波くんの声に、奏人と揃って顔を向ければ。一色くんとふたり、AさんとBさんを間に挟んでこっちに歩いてくるところだった。
そういえば、奏人を止めた後、司波くんと一色くんは少し離れた場所にAさんとBさんを連れて移動していった。で、そこで四人でお話してたのが目に入ってたのよね。
「涼香、俺の後ろにいて」
奏人が私を隠すように前に進み、AさんとBさんとの間に立った。
あら、どうしよう。そんな場合じゃないのに、ドキドキしちゃう。程よい筋肉がついた奏人の背中に。
すごく綺麗で、目が離せなくて。離れてほしいって思ってたはずなのに、手を伸ばして触れたい気持ちが湧いてくる。
そんな自分に、また頬が火照ってきた。
10
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
彼氏と親友が思っていた以上に深い仲になっていたようなので縁を切ったら、彼らは別の縁を見つけたようです
珠宮さくら
青春
親の転勤で、引っ越しばかりをしていた佐久間凛。でも、高校の間は転校することはないと約束してくれていたこともあり、凛は友達を作って親友も作り、更には彼氏を作って青春を謳歌していた。
それが、再び転勤することになったと父に言われて現状を見つめるいいきっかけになるとは、凛自身も思ってもいなかった。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる