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キミとふたり、ときはの恋。【第三話】

Summer Breeze【3−4】

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「でもさ、土岐。首筋のそんな目立つところに印をつけてても、ここまで無自覚なんだろ? もうご愁傷様と言うよりないよ」
「ほっとけ。まぁ、ソッチは堂々と見せびらかしてくれてるわけだから、俺も少しは譲歩しないといけないわけだ」
「なるほど。どっちも隠そうとしないところが美点であり、悩ましいというわけか。つくづく、ご愁傷様」
「確かに悩ましいが、こうして頻繁に見せつけて虫除けするのも俺得だから、問題ない」
「だろうね。ふふっ」
 うわーん。何の会話なのか、ついていけないわ。日焼け対策のお話でもないわよね?

 ん? あ、でも高階くんは絶対日焼けしたくない派、だと思うから、あながち間違いでもないかも。
 だって、ものすごくきっちりとラッシュガード着込んでるもん。綺麗系男子は、こういうところもソツがないのねぇ。さすがだわ。
 あと、首筋がどうとかって言ってたのは、きっとネックレスのことよね。
 奏人がプレゼントしてくれた、ふたつの星のネックレス。ホワイトゴールドとガーネットが陽射しに反射してとーっても綺麗で可愛いし、ものすごく目立ってるもんねっ。
「涼香? さっきからおとなしいけど大丈夫? もしかして、気分悪い?」
 奏人の腕に囲われたまま考え事してたせいで、全身が火照って頭がぼうっとしてた。
 でも、早口で聞いてきた奏人が身体をサッと離してくれて、呼吸がしやすくなったわ。

 だから、笑って返した。
「ううん、大丈夫よ。ちょっとポーッとしてただけ」
「そう? 何か飲みに行こうか。日陰に……」
「おーい、土岐ー。コイツら、ちゃんと反省したっつーからさぁ。解放してやる前に謝罪聞いてやってくれよー」
 司波くんの声に、奏人と揃って顔を向ければ。一色くんとふたり、AさんとBさんを間に挟んでこっちに歩いてくるところだった。
 そういえば、奏人を止めた後、司波くんと一色くんは少し離れた場所にAさんとBさんを連れて移動していった。で、そこで四人でお話してたのが目に入ってたのよね。
「涼香、俺の後ろにいて」
 奏人が私を隠すように前に進み、AさんとBさんとの間に立った。
 あら、どうしよう。そんな場合じゃないのに、ドキドキしちゃう。程よい筋肉がついた奏人の背中に。
 すごく綺麗で、目が離せなくて。離れてほしいって思ってたはずなのに、手を伸ばして触れたい気持ちが湧いてくる。
 そんな自分に、また頬が火照ってきた。


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