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キミとふたり、ときはの恋。【第二話】
立葵に、想いをのせて【6.5−3】side奏人
しおりを挟む「え……バイト?」
「ん、急なんだけど。昨日、面接を受けて、即採用してもらってね。それで、さっき学年主任に保護者の同意書を提出してきたから、たぶん許可されると思うんだ」
今日は、まずこの話を涼香にしなければと思っていた。バイトの許可がおりるまではと黙っていたが、さっきの橘先生の様子なら、もう話してもいいだろう。
面接を受けた職場がバーだと聞いた涼香の反応は俺の予想を遥かに上回る驚きっぷりだったが、その姿も可愛らしく、たっぷりと愛でさせてもらった。
そして、これも予想していたことだが、俺がバイトをしたい理由を聞かれた。
その疑問もわかる。バイトが禁止されてる祥徳学園で、親の同意書や申請書を提出してまで許可を求めるんだから。
だが、今はまだ言えない。だから、この話もしようと決めていた。
「……七月七日」
「え?」
「高階に教えてもらったって言ってたパワースポットの神社なんだけど。そこの夏祭りが、七夕の日なんだよ。知ってた?」
「え……知らない」
ウォーキングラリーで高階が涼香に教えたという恋愛のパワースポット。涼香に聞かされてすぐに調べたところ、七月に夏祭りが開催されると知った。しかも、七夕に。
「その日は、俺、バイト休むから。夏祭り、ふたりで行こう?」
「うん! うん、行くっ!」
「ふっ、約束だよ?」
「うん! 約束ねっ」
七夕の夜。その日を思い描いて交わした、約束。俺の誕生日でもあるその日に涼香と過ごすひと時を思えば、それだけで甘い疼きが胸を走り抜けていく。
ねぇ? 俺、柄にもなく、そわそわと浮き足立ってるんだよ。その日を思って。
これも、君には教えてあげないけどね。
涼香を夏祭りに誘った。
二つ返事でオッケーしてくれたし、『楽しみにしてる』とも返してくれた。その後、俺にも『奏人も楽しみにしててね』と屈託のない笑顔で伝えてくれた。
夏祭り当日は俺の誕生日でもあるから、何かしらのプレゼントを贈ってくれるつもりなんだろうと、それでわかる。
涼香は、そんなところも可愛い。俺のために、何かを計画していることを隠さないところが。ちゃんと想われていると、実感させてくれるところが。
本当に、堪らなく可愛いんだ。
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