1 / 1
黒いリボン
しおりを挟む
僕は昔マンションに住んでいた。家賃は高いもののそれなりに部屋は広く綺麗で、人も多くみんな優しかった。
そしてそこで3、4年ほどだろうか。普通に生活していたある日、夜中に友人に「旅行に使うしおりを無くしてしまったからコピーする為に貸してほしい」と言われ急遽外に出なれけばいけなくなってしまった。
そのマンションはかなりの田舎にあり、周りに明かりなんて一つも無いような場所で、僕は正直家から出るのが怖かった。
だけど困ってる友人を見捨てるわけにもいかず、スマホのライトとマンションの廊下の明かりだけを頼りに外に出た。
外に出たらすぐ近くに友人が居て
「こんな時間にごめんね~」と謝ってきた。
僕は平常心を保ちながら
「大丈夫だよ、はいこれしおり」と言って自分のしおりを貸した。
友人は「ありがとう!すぐ返すから!」と言い車に乗って消えていった。
スマホの明かりがあるとはいえ周りは暗く、僕は怖くなり走ってマンションに戻った。
当時住んでたマンションはオートロック式で、僕はポケットか
ら鍵を出して入り口のドアを開け、急ぎ足で入った。
エレベーターを待ってる間、周りに何か居ないかと不安になり辺りをキョロキョロ見回したが、特に何も居なくホッとしたのをまだ覚えている。
そしてエレベーターが来て乗り、自分の住む階で降りた。
部屋一つ一つが広い分そのマンションの廊下は長く、自分の足音だけが「トン、トン」と響いているその空間を、僕は少し怯えながら歩いた。
そして周りを見ながら歩いていたら、ふとあるものが見えた。
黒いリボンのようなものだ
上の階からぶら下がっているようで、風のせいなのか少しモゾモゾと動いている。
(黒いリボン…だよな、なんでこんなものがぶら下がってるんだ?)僕はそう思いつつ、スタスタと自分の住む部屋まで戻った。
そして数十分後、友人からメールが来た。
「しおりのコピー、終わったから今からマンション行くね!」と
(あぁ、また外に出なければいけないのか)と思いつつスタンプを送り部屋で友人が来るのを待った。
友人からの「着いたよ!」というメールを見て、面倒くさいと思いつつ部屋を出て、友人を迎えに行った。
「さっきはごめんね、ありがとう!助かったよ」と言われしおりを返された。
「いやいや、全然大丈夫だよ。それよりもう外も凄く暗いから気をつけて帰ってね」と言い、友人と別れ家に帰った。
帰ってからふと(そういえばさっきのリボンはまだあるかな?)と思い廊下を歩く時にまた確認した。
でも、そこにリボンは無かった
(上の階の人が回収したのかな?)としか思わずそのまま部屋に戻った。
そして部屋に戻りスマホでしおりを貸した友人とは別の友人にその話をした。
「なにそれ、それ本当にリボンだったの?」と友人に言われたが
「暗かったから見えづらかっただけなのかもしれないけど、僕にはリボンに見えたかな」と言った。
そして友人と話終わり、自分の作業を始めたが友人に言われた言葉が引っかかり、その時の情景をしっかり思い出してみた。
そこで僕は気づいた、いや…気づかなければ良かったと今では思う。
あれはリボンなんかじゃない
あれは蜘蛛の足だ
僕がリボンだと思っていたものは、よく思い出してみればリボンにしては太く先が尖ったような見た目で、産毛のように細かい毛が生えていた。
僕が風のせいで動いていると思ってたのは違った。
だってあの時、風なんて吹いていなかったんだから。
そしてそこで3、4年ほどだろうか。普通に生活していたある日、夜中に友人に「旅行に使うしおりを無くしてしまったからコピーする為に貸してほしい」と言われ急遽外に出なれけばいけなくなってしまった。
そのマンションはかなりの田舎にあり、周りに明かりなんて一つも無いような場所で、僕は正直家から出るのが怖かった。
だけど困ってる友人を見捨てるわけにもいかず、スマホのライトとマンションの廊下の明かりだけを頼りに外に出た。
外に出たらすぐ近くに友人が居て
「こんな時間にごめんね~」と謝ってきた。
僕は平常心を保ちながら
「大丈夫だよ、はいこれしおり」と言って自分のしおりを貸した。
友人は「ありがとう!すぐ返すから!」と言い車に乗って消えていった。
スマホの明かりがあるとはいえ周りは暗く、僕は怖くなり走ってマンションに戻った。
当時住んでたマンションはオートロック式で、僕はポケットか
ら鍵を出して入り口のドアを開け、急ぎ足で入った。
エレベーターを待ってる間、周りに何か居ないかと不安になり辺りをキョロキョロ見回したが、特に何も居なくホッとしたのをまだ覚えている。
そしてエレベーターが来て乗り、自分の住む階で降りた。
部屋一つ一つが広い分そのマンションの廊下は長く、自分の足音だけが「トン、トン」と響いているその空間を、僕は少し怯えながら歩いた。
そして周りを見ながら歩いていたら、ふとあるものが見えた。
黒いリボンのようなものだ
上の階からぶら下がっているようで、風のせいなのか少しモゾモゾと動いている。
(黒いリボン…だよな、なんでこんなものがぶら下がってるんだ?)僕はそう思いつつ、スタスタと自分の住む部屋まで戻った。
そして数十分後、友人からメールが来た。
「しおりのコピー、終わったから今からマンション行くね!」と
(あぁ、また外に出なければいけないのか)と思いつつスタンプを送り部屋で友人が来るのを待った。
友人からの「着いたよ!」というメールを見て、面倒くさいと思いつつ部屋を出て、友人を迎えに行った。
「さっきはごめんね、ありがとう!助かったよ」と言われしおりを返された。
「いやいや、全然大丈夫だよ。それよりもう外も凄く暗いから気をつけて帰ってね」と言い、友人と別れ家に帰った。
帰ってからふと(そういえばさっきのリボンはまだあるかな?)と思い廊下を歩く時にまた確認した。
でも、そこにリボンは無かった
(上の階の人が回収したのかな?)としか思わずそのまま部屋に戻った。
そして部屋に戻りスマホでしおりを貸した友人とは別の友人にその話をした。
「なにそれ、それ本当にリボンだったの?」と友人に言われたが
「暗かったから見えづらかっただけなのかもしれないけど、僕にはリボンに見えたかな」と言った。
そして友人と話終わり、自分の作業を始めたが友人に言われた言葉が引っかかり、その時の情景をしっかり思い出してみた。
そこで僕は気づいた、いや…気づかなければ良かったと今では思う。
あれはリボンなんかじゃない
あれは蜘蛛の足だ
僕がリボンだと思っていたものは、よく思い出してみればリボンにしては太く先が尖ったような見た目で、産毛のように細かい毛が生えていた。
僕が風のせいで動いていると思ってたのは違った。
だってあの時、風なんて吹いていなかったんだから。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
短な恐怖(怖い話 短編集)
邪神 白猫
ホラー
怪談・怖い話・不思議な話のオムニバス。
ゾクッと怖い話から、ちょっぴり切ない話まで。
なかには意味怖的なお話も。
※追加次第更新中※
YouTubeにて、怪談・怖い話の朗読公開中📕
https://youtube.com/@yuachanRio
【完結済】昼と夜〜闇に生きる住人〜
野花マリオ
ホラー
この世の中の人間は昼と夜に分けられる。
昼は我々のことである。
では、夜とは闇に生きる住人達のことであり、彼らは闇社会に生きるモノではなく、異界に棲むモノとして生きる住人達のことだ。
彼らは善悪関係なく夜の時間帯を基本として活動するので、とある街には24時間眠らない街であり、それを可能としてるのは我々昼の住人と闇に溶けこむ夜の住人と分けられて活動するからだ。そりゃあ彼らにも同じムジナ生きる住人だから、生きるためヒト社会に溶け込むのだから……。
ホラーハウス
七味春五郎
ホラー
姫楠市の高蔵町に建ついわくつきの物件。地元の子どもたちはその家をお化け屋敷だとか、ホラーハウスだとかよんでいた。
金山祥輔は、その家にとりこまれてしまう。
そこでは、六人の子どもたちが最後の一人の到来を待ち構えていた。七人目の子どもを。
狂った看護婦長と、恐怖のドクターに追い回されながら、七人は、ホラーハウスの秘密へと迫っていく。
クマの短編ホラー小説
クマミー
ホラー
ふと思いついたミステリー、ホラー系の内容を書いています。出来るだけ短編ものを目指して書きたいと思っていますが、たまに長くなっているものもありますので、ご容赦ください。もし来てくださったら、楽しんでいってくださいね!
たまにほっこりホラーも書いてます!
この世には人智の及ばない超常現象が存在する…
それを信じるか…
信じないかは…
読んだあなた次第…
【短編】怖い話のけいじばん【体験談】
松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で読める、様々な怖い体験談が書き込まれていく掲示板です。全て1話で完結するように書き込むので、どこから読み始めても大丈夫。
スキマ時間にも読める、シンプルなプチホラーとしてどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる