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それでも俺が好きだと言ってみろ.86
しおりを挟む「えっ・・・」
「何だあいつ・・・、これじゃ伊沢さんに行けって言われて、せっかく俺が来てやったのに意味ないじゃ
ないか・・・」
「こんな時間まで伊沢さんと一緒にいたんですか・・・」
「そうだよ・・・、それがお前に何か関係あるのかよ・・・」
「か、関係は・・・ないです。いや、あります!ああもう、やっぱりないです!」
「何言ってるんだ、大丈夫かお前?」
「もういいです、どうせ大丈夫じゃないんですから。思ってること言わせてもらいます!」
「な、何だよ・・・」
「桜庭さんは伊沢さんのことどう思ってるんですか?」
和香は勇気を振り絞って、一番聞きたかったことを尋ねた。
「何でお前にそんなこと聞かれなきゃならないんだよ。わけ分かんねぇ、俺は帰る」
「ダメ!もうこれが最後ですから、全部話させてください」
「何だよ最後って・・・、元カレといい、お前といい、マジでイカレてんな」
「もう考えすぎて、イカレました。だから、質問に答えてください」
「嫌だね!」
「伊沢さんとはセックスしたいですか?」
「はあ?お前ほんとに大丈夫か?」
「私は伊沢さんの代わりなんですよね?だったら、本物の伊沢さんとしたらいいじゃないですか?」
「何でお前にそんなこと言われなきゃいけないんだよ」
「伊沢さんを失ったショックが大きすぎて、その代わりは一人じゃ足りないくらいだったんでしょ?だから、私だけじゃなくて、植松さんや、それ以外にもセフレが沢山必要だったんでしょ?」
「誰がそんなこと言ったんだよ・・・」
「全部、三村さんから聞きました」
早乙女からもいろいろと聞いたが、彼と桜庭の関係のためにもそれを言うわけにはいかない。
「それは・・・、伊沢さんを失ったからってのはよく分かんねえけど、荒れてた時期も確かにあった・・・。だけど、もうそんなんじゃない」
「・・・?そんなんじゃないってどういうことですか」
「いいだろ別に・・・」
「よくないです!それじゃあ何も答えになってない」
「だから、何でお前にそんなこと言わなきゃいけないんだよ」
「私は、三村さんに頼まれて、桜庭さんがセックス依存だから、その相手ができないなら会社を辞めてもらうって言われました」
「まさか・・・、三村さんがそんなこと言うはずないだろ。何かの間違いじゃないのか?」
「ええっ!!」
「ホントに辞めさせるって言われたのか?だいたい会社にそんな権限ないだろう」
「そ、そんな・・・」
「それに、その・・・俺は、セフレもいないし、植松とも今はそういう関係じゃない。確かに一時的にそういう時期はあったけど・・・、お前とそういう関係になってからは・・・お前だけだ」
「えっ・・・」
私だけ?
セックス依存なのに、それこそこの一ヶ月はまるっきりそういうことはしていない。
「どこでどうなったらそういう話になるんだ?」
当の桜庭も首をひねっている。
「それは本当なんですか・・・」
「俺のこと疑うならもう何も話さない」
「ご、ごめんなさい・・・」
だけど、みんなから聞いていた話と、桜庭の発言とはあまりに食い違っていて、今すぐ信じろといわれても、これまでずっと信じてきたことをスッパリ捨てるのは難しいことだった。
「伊沢さんとは・・・、その・・・、桜庭さんから話しかけたりしなかったのに、今日はどうして急に自分から声をかけたんですか?」
「はあ?何でそんな細かいこといちいち・・・、ただ単純に自分の将来のことを相談したかったからだよ」
桜庭は真面目に答えるのに抵抗があるようで、面倒くさそうに、そして気恥しそうに答える。
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