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それでも俺が好きだと言ってみろ.02
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「仕事内容は単純作業の繰り返しだ」
「・・・はい」
「何度も言わないから一度で覚えろ」
「えっ・・・、じゃあメモ取らせてください」
「そんなもん、暗記しろ」
「でも、間違いがあったら大変ですから・・・」
「駄目だ、今ここで覚えるんだ」
「・・・はい」
ええ~、そんなの無理だよ・・・。
もちろんDNA解析の知識はある。
だけど、会社によって使用する機器や成分分析に使用するソフトが違うのだ。
それを一度言われただけで覚えるのは至難の業だ。
桜庭はそれぞれの作業を行う部屋を次々回り、一方的に説明を行った。
「ほとんどが自動化されてるから、俺たちがやるのは、送られてきたキットをラックにセットして、機械にかけてDNA抽出作業をする。そのあとスキャナーにかけて、読み取ったデータを専用のソフトで解析して終了だ」
「・・・」
「送られてくるキットは一人一セットだ。間違いは許されないから気を引き締めて取り掛かれよ」
「は、・・・はい」
それなら、尚更ちゃんとしたマニュアルが欲しい。
桜庭はそのまま自分の仕事があるからと、和香を置いて行ってしまった。
「私はどうすれば・・・」
和香は仕方なくスタッフルームの自分のデスクに戻った。
「ああ、竹内君、桜庭君から説明は受けたかな?」
三村が所長室から出て来た。
「はい、一応・・・」
「じゃあこれ、今日一日で読めるかな?」
若の手に渡されたのは、ちゃんとしたマニュアルだった。
「え、これ・・・」
「あれ?桜庭君から聞いてない?マニュアルどおりにやってもらえば、明日からでも一緒に働いてもらえると思うから」
「そ、そうなんですか・・・」
さっきまで感じていた緊張感は何だったのだろう。
こんなちゃんとしたマニュアルがあるのなら、最初から言ってくれればよかったのに。
文句を言っても仕方ない。
和香はマニュアルを広げると熱心に読み始めるのだった。
終業時刻の六時少し前にはみな自分のデスクの上を片付け始める。
そして、六時きっかりにオフィスを出て行った。
残ったのは桜庭と和香、そして三村の三人だけだ。
「おい、二流。飯に付き合え」
「えっ・・・」
あんないじわるなことを言っておいて、一緒に食事って・・・、この人何を考えてるんだろう。
しかし、上司の誘いを断るわけにもいかない。
「・・・はい」
「何度も言わないから一度で覚えろ」
「えっ・・・、じゃあメモ取らせてください」
「そんなもん、暗記しろ」
「でも、間違いがあったら大変ですから・・・」
「駄目だ、今ここで覚えるんだ」
「・・・はい」
ええ~、そんなの無理だよ・・・。
もちろんDNA解析の知識はある。
だけど、会社によって使用する機器や成分分析に使用するソフトが違うのだ。
それを一度言われただけで覚えるのは至難の業だ。
桜庭はそれぞれの作業を行う部屋を次々回り、一方的に説明を行った。
「ほとんどが自動化されてるから、俺たちがやるのは、送られてきたキットをラックにセットして、機械にかけてDNA抽出作業をする。そのあとスキャナーにかけて、読み取ったデータを専用のソフトで解析して終了だ」
「・・・」
「送られてくるキットは一人一セットだ。間違いは許されないから気を引き締めて取り掛かれよ」
「は、・・・はい」
それなら、尚更ちゃんとしたマニュアルが欲しい。
桜庭はそのまま自分の仕事があるからと、和香を置いて行ってしまった。
「私はどうすれば・・・」
和香は仕方なくスタッフルームの自分のデスクに戻った。
「ああ、竹内君、桜庭君から説明は受けたかな?」
三村が所長室から出て来た。
「はい、一応・・・」
「じゃあこれ、今日一日で読めるかな?」
若の手に渡されたのは、ちゃんとしたマニュアルだった。
「え、これ・・・」
「あれ?桜庭君から聞いてない?マニュアルどおりにやってもらえば、明日からでも一緒に働いてもらえると思うから」
「そ、そうなんですか・・・」
さっきまで感じていた緊張感は何だったのだろう。
こんなちゃんとしたマニュアルがあるのなら、最初から言ってくれればよかったのに。
文句を言っても仕方ない。
和香はマニュアルを広げると熱心に読み始めるのだった。
終業時刻の六時少し前にはみな自分のデスクの上を片付け始める。
そして、六時きっかりにオフィスを出て行った。
残ったのは桜庭と和香、そして三村の三人だけだ。
「おい、二流。飯に付き合え」
「えっ・・・」
あんないじわるなことを言っておいて、一緒に食事って・・・、この人何を考えてるんだろう。
しかし、上司の誘いを断るわけにもいかない。
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