上 下
37 / 37

初恋がこじれにこじれて困ってます.37

しおりを挟む
 目覚めると、となりで瞬ちゃんが寝息を立てている。

 未だに信じられない。

 目を閉じていても分かる目鼻立ちの美しさ。

 まつ毛だって女の子の沙耶よりも長いし、形の良い薄めの唇もセクシーだ。

 おまけに登山で鍛えた肉体は程よく筋肉がついていて逞しい。

 そんな素敵な人に抱かれてしまった。


 沙耶は昨晩のことを思い出し、一人顔を赤らめる。

 瞬ちゃんはそれなりに経験があったと思う。

 だけど、沙耶はキスさえも瞬ちゃん以外としたことがないほど奥手な女の子だ。

 当然、男性経験はなく、昨晩が初めてだった。


 そんな沙耶の事を怖がらせないよう、瞬ちゃんはうんと優しく愛してくれた。

 恥しいからと寝室を真っ暗にしてスタンドライトの灯りの中で抱き合った。

 それがかえっていやらしくて、瞬ちゃんは燃えると言っていたが、沙耶にはその違いはよく分からなかった。
 
 瞬ちゃんはベッドに入る前にサッサと着ているものをすべて脱いでしまった。

 沙耶はそういうものなのかどうかも分からず、どこを見ていればいいのか視線を泳がせるしかなかった。
 
 瞬ちゃんは布団の中に入ると、ゆっくりと沙耶の服を脱がせていった。

 沙耶は恥ずかしくて目をつむって体をこわばらせながら、されるがままになっていた。

 
 瞬ちゃんは、露わになった沙耶の全身にキスを落とした。

 それこそ頭の先から、足の先まで。そんなところ汚いと沙耶がいくら止めても瞬ちゃんは聞く耳を持たなかった。

 最初は汚いからということばかりが気になっていた沙耶だったが、しだいに唇が触れる場所から生まれるおかしな疼きに体が支配されるのを感じていた。

 唇での愛撫に満足した瞬ちゃんは、今度はその大きな手で沙耶の身体を攻め始めた。

 すでにキスで敏感になった体は、手で愛撫されると恥ずかしいくらいに反応してしまう。
 
 成長して豊かに膨らんだ沙耶の胸を、瞬ちゃんは綺麗だと何度も褒めては、揉みしだいた。

 そこに舌が加わり、沙耶は感じすぎ泣きだしてしまった。

 中学の時に初めて瞬ちゃんに胸に触れられたけれど、ここまで時間をかけてじっくり愛撫されたのは初めてだ。

 当然それ以上の経験はない。

 怖がらないで、と瞬ちゃんに言われたけれど、もう感じすぎて怖いという気持ちはどこかへ行ってしまっていた。
 
 しかし、胸からお腹そしてその下へと瞬ちゃんの唇が移動していくのを感じて、沙耶は「そこはダメ」と必死に止めようとした。

 しかし、そんなことで瞬ちゃんが止まるはずもなく、「俺がどれだけ待ったか考えたことある?」と言われれば、沙耶は瞬ちゃんを受け入れるしかなかった。

 恥ずかしいというのに、瞬ちゃんはおかまいなく、沙耶の両足をグッと開いて恥しい場所を露わにした。

 そして、優しくももやお尻を撫でながら、その熱い舌を秘部に這わせた。
 
 「あ、ああっ!」自分のものとは思えないような声が出てしまって恥しくて死にそうなのに、瞬ちゃんは「エロい声」と言って喜んでいた。
 
 さらに何度も何度も繰り返し舐め回されるうちに、沙耶は感じたことのない高まりを覚え登りつめた。

 ヒクヒクとなる体に戸惑う沙耶を、「かわいい」と瞬ちゃんは強く抱きしめてくちづけた。

 
 そして、優しくするからと言って沙耶の中に入ろうとする。

 沙耶は薄灯りに照らされた瞬ちゃんのそれを見たとき、そんな大きなものは絶対無理だと言いたかった。

 だけど、瞬ちゃんの余裕の無い表情を見たらそんなことも言えなくて、怖かったけれどそれを受け入れた。

 恥しいほどに濡れたその場所を瞬ちゃんは慣らすように少しずつ入ってきた。それでもやっぱり痛くて、沙耶は少し泣いてしまった。

 だけど、瞬ちゃんの荒い息使いが聞こえて、それに時折混ざる鼻にかかった声がセクシーで、瞬ちゃんが感じてるんだと思ったらそんな痛みなんてどうでもよくなって。

「瞬ちゃん、好き。」って何度も言っていた。


 瞬ちゃんが、「沙耶、もうイキそう」と言った瞬間、自分の中で瞬ちゃんのが一段と大きくなって、そのあと瞬ちゃんは沙耶の身体から出て行った。

 そして、ベッドに横たわると胸で息をしながら、沙耶のことを抱きしめた。

「俺の方はまだおさまらないけど、最初からあんまりすると、沙耶の身体がこわれちゃうもんな」などと恥ずかしいことを平気で言ったりするので、沙耶は何といっていいか言葉に詰まった。

 確かに、普段体を鍛えているのだから、そっちの方も旺盛であるのは普通のことなのだけれど。

 沙耶はそう言う意味でも自分は体を鍛えなければならないなと、恥ずかしい動機が加わることになった。

「そんなに見つめられると恥ずかしいな。」

 いつから起きていたのだろう。じいっと見ていたのを逆に見られていたなんて、こっちの方が恥ずかしい。

「ご、ごめんなさい。」

「いいよ、俺も夕べいっぱい見せてもらったから。」

 初めてのことばかりで、余裕などなかった沙耶とは違い、瞬ちゃんはそんな余裕があったということだ。

 悔しいけれど、今はそれより恥しさの方が勝っている。

 いったい自分はどんな醜態をさらしてしまったのか。もし見ることができたなら死んでしまいたくなるだろう。


「瞬ちゃん、イジワルなこと言わないで。」

 沙耶が涙目で言うと、瞬ちゃんは困った顔になって沙耶を抱きしめた。

「まいったな、どこまでいっても俺の方が沙耶にメロメロだ。」
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

大嫌いな幼馴染の皇太子殿下と婚姻させられたので、白い結婚をお願いいたしました

柴野
恋愛
「これは白い結婚ということにいたしましょう」  結婚初夜、そうお願いしたジェシカに、夫となる人は眉を顰めて答えた。 「……ああ、お前の好きにしろ」  婚約者だった隣国の王弟に別れを切り出され嫁ぎ先を失った公爵令嬢ジェシカ・スタンナードは、幼馴染でありながら、たいへん仲の悪かった皇太子ヒューパートと王命で婚姻させられた。  ヒューパート皇太子には陰ながら想っていた令嬢がいたのに、彼女は第二王子の婚約者になってしまったので長年婚約者を作っていなかったという噂がある。それだというのに王命で大嫌いなジェシカを娶ることになったのだ。  いくら政略結婚とはいえ、ヒューパートに抱かれるのは嫌だ。子供ができないという理由があれば離縁できると考えたジェシカは白い結婚を望み、ヒューパートもそれを受け入れた。  そのはず、だったのだが……?  離縁を望みながらも徐々に絆されていく公爵令嬢と、実は彼女のことが大好きで仕方ないツンデレ皇太子によるじれじれラブストーリー。 ※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。

【完結】美しい人。

❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」 「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」 「ねえ、返事は。」 「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」 彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

冷徹義兄の密やかな熱愛

橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。 普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。 ※王道ヒーローではありません

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

貴妃エレーナ

無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」 後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。 「急に、どうされたのですか?」 「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」 「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」 そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。 どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。 けれど、もう安心してほしい。 私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。 だから… 「陛下…!大変です、内乱が…」 え…? ーーーーーーーーーーーーー ここは、どこ? さっきまで内乱が… 「エレーナ?」 陛下…? でも若いわ。 バッと自分の顔を触る。 するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。 懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

伝える前に振られてしまった私の恋

メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。 そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。

処理中です...