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御曹司のやんごとなき恋愛事情.105
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「桑原商事、そして副社長、そのどちらにも必要不可欠な人物が佐竹さんでした」
「佐竹さんは桑原商事のためならどんな犠牲も厭いませんでした。しかし、副社長の求愛に対しては断固として受け入れを拒否されてきました・・・。そのどちらもが必要なのにです」
栗本はキッと優子に強い視線を投げかけた。
「ですから、ここはひとつ大芝居を打つしかないという考えに思い至りました」
優子にも栗本の言っていることが徐々に理解出来てきた。
「佐竹さんには、どうしてもご自分の本心に気づいてもらう必要がありました。私はこの計画を進めてもよいかと、社長と副社長に尋ねましたところ、ぜひやってくれとのお墨付きをいただきました」
「わ、私に自分の気持ちに気づかせるために、そこまで・・・」
あまりに大掛かりな計画に、優子は腰が抜けそうになる。
「それくらい、佐竹さんはこの会社にとっても、副社長にとっても大切な人だということです。いい加減に気づいていただけませんか」
栗本は最後は少しキレ気味に言葉を発した。
「・・・すみません」
何と言うのが正解なのか、もはや分からない。
「優子、そこはすみませんじゃなくて、ありがとうございますって言わなくちゃ。だって、そうだろ?栗本君は俺と優子の愛のキューピットなんだぜ」
そんなこと言われたって、はいそうですかと、すぐに受け入れられるような簡単な話ではない。
「ほ、本当に私なんかでよろしいんですか」
これは社長である行成と、俊介二人に向けての質問だった。
「私なんかで、じゃないんです!佐竹さん以外ありえないんです!何度も言わせないでください!!」
口を開いたのは栗本だった。
「・・・は、はい・・・」
いつから立場が逆転してしまったのだろう・・・。
栗本は元々優子に憧れて、この会社に秘書として入社したはずなのに・・・。
これではどちらが上司でどちらが部下なのかわからない。
「す、すみません・・・。つい興奮してしまいました」
栗本は我に返ると優子に謝った。
しかし、思いは変わらない様で、じっと優子の答えを待っている。
「桑原商事のお役に立てるなら、そして、副社長が私を選んでくださるのなら、喜んでお受けいたします」
優子は長らく待たせてしまった俊介の手を取った。
「おめでとう」
行成が温かい声を掛けてくれた。
「おめでとうございます」
栗本は心からの祝福を述べてくれた。
「ありがとう、優子。俺たち最高のパートナーになれるぜ。仕事でも家庭でもな」
そう言って人目もはばからず、優子のことを抱きしめた。
「ぼ、坊ちゃん・・・」
優子は少し抵抗したが、今は俊介の望むようにしてあげたかった。
「仕事もいいが、私はやはり孫の顔が早く見たいな」
「親父も普通の親だな」
「当たり前だ。人には色んな顔があるのは当然だ」
「その心配はあまりなさる必要なないかと・・・。なにしろ副社長はそちらのほうはご盛んですから」
「ははっ、そうだったな」
「そうだぞ、親父。俺に任せてくれ」
「俊介、佐竹君、そして栗本君がいる我が社の将来は安泰だな!」
みなが声をあげて笑う中、優子はひとり真っ赤になって俊介の胸に抱かれていた。
「佐竹さんは桑原商事のためならどんな犠牲も厭いませんでした。しかし、副社長の求愛に対しては断固として受け入れを拒否されてきました・・・。そのどちらもが必要なのにです」
栗本はキッと優子に強い視線を投げかけた。
「ですから、ここはひとつ大芝居を打つしかないという考えに思い至りました」
優子にも栗本の言っていることが徐々に理解出来てきた。
「佐竹さんには、どうしてもご自分の本心に気づいてもらう必要がありました。私はこの計画を進めてもよいかと、社長と副社長に尋ねましたところ、ぜひやってくれとのお墨付きをいただきました」
「わ、私に自分の気持ちに気づかせるために、そこまで・・・」
あまりに大掛かりな計画に、優子は腰が抜けそうになる。
「それくらい、佐竹さんはこの会社にとっても、副社長にとっても大切な人だということです。いい加減に気づいていただけませんか」
栗本は最後は少しキレ気味に言葉を発した。
「・・・すみません」
何と言うのが正解なのか、もはや分からない。
「優子、そこはすみませんじゃなくて、ありがとうございますって言わなくちゃ。だって、そうだろ?栗本君は俺と優子の愛のキューピットなんだぜ」
そんなこと言われたって、はいそうですかと、すぐに受け入れられるような簡単な話ではない。
「ほ、本当に私なんかでよろしいんですか」
これは社長である行成と、俊介二人に向けての質問だった。
「私なんかで、じゃないんです!佐竹さん以外ありえないんです!何度も言わせないでください!!」
口を開いたのは栗本だった。
「・・・は、はい・・・」
いつから立場が逆転してしまったのだろう・・・。
栗本は元々優子に憧れて、この会社に秘書として入社したはずなのに・・・。
これではどちらが上司でどちらが部下なのかわからない。
「す、すみません・・・。つい興奮してしまいました」
栗本は我に返ると優子に謝った。
しかし、思いは変わらない様で、じっと優子の答えを待っている。
「桑原商事のお役に立てるなら、そして、副社長が私を選んでくださるのなら、喜んでお受けいたします」
優子は長らく待たせてしまった俊介の手を取った。
「おめでとう」
行成が温かい声を掛けてくれた。
「おめでとうございます」
栗本は心からの祝福を述べてくれた。
「ありがとう、優子。俺たち最高のパートナーになれるぜ。仕事でも家庭でもな」
そう言って人目もはばからず、優子のことを抱きしめた。
「ぼ、坊ちゃん・・・」
優子は少し抵抗したが、今は俊介の望むようにしてあげたかった。
「仕事もいいが、私はやはり孫の顔が早く見たいな」
「親父も普通の親だな」
「当たり前だ。人には色んな顔があるのは当然だ」
「その心配はあまりなさる必要なないかと・・・。なにしろ副社長はそちらのほうはご盛んですから」
「ははっ、そうだったな」
「そうだぞ、親父。俺に任せてくれ」
「俊介、佐竹君、そして栗本君がいる我が社の将来は安泰だな!」
みなが声をあげて笑う中、優子はひとり真っ赤になって俊介の胸に抱かれていた。
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