上 下
45 / 106

御曹司のやんごとなき恋愛事情.45

しおりを挟む
「リラックスしてた方がいいぜ。何しろ、七時間もこの狭い座席に縛りつけられるんだから」

「言われなくても、そうさせていただきます」

 優子は両手の指を膝の上で組んでしまった。



「ブランケットお願いします」

 俊介は客室乗務員を呼びつけた。

 手渡されたブランケットを広げると優子の膝の上にかける。

「あ、ありがとうございます・・・」

 優子は少し怪訝そうな表情で礼を言った。

 しかし、俊介がただでそんなことをするはずがない。

 ブランケットの端から手を忍ばせると、優子の腿をゆっくりと撫で始めた。



「・・・っ!!」

 優子はキッと俊介のことを睨みつけたが、俊介は知らぬ顔をして、行為を続けた。

 こうして徐々に心の準備をしてもらう・・・。

 優子と一緒にシンガポールに行くと行成から知らされた時から、俊介は栗本に色々と指示を出して準備をしてきたのだから。



 スカートの上からでも、俊介の熱が伝わってくる。

 優しく撫でたと思えば、スッと両足の間に軽く手を滑り込ませる。

 そのたびに、優子の体はビクッと反応する。

 しかし、表情は必死で平静を保とうとしている。

 俊介は、スカートの上から優子の大事な部分をそっと撫でた。



「ふ、副社長・・・」

 優子はさらに強く俊介のことを睨みつけた。

 しかし、その頬は若干赤みを帯び、薄っすら汗ばんでいる。

 あまり激しくしてはならない・・・。

 これはあくまでも助走なのだから。



 そんなことを一時間ほど続けていただろうか。

 機内食が運ばれてきた。

 夜の便が日本を発ったのは二十三時近くだったから、今はもう二十四時をとっくに回っている。

 ご婦人たちの多くは眠りに就いているようだ。



「優子、飯は?」

「・・・食べてきましたから」

「そうか。俺も飲み物だけでいいな」



 二人は深夜の機内食を断った。

 機内食をとった乗客の空いた器を客室乗務員が回収し終えると、機内の照明も暗くなり、ほとんどの乗客は眠る態勢に入る。

 俊介も配られたブランケットを体に掛けた。

 優子も身体を少し窓側に向けて眠る態勢に入る。



 しかし、周りが暗くなり、みなが眠りに就いたということは、これまでよりも人目を気にする必要がなくなったということだ。

 しかも、互いの体にはブランケットが掛けられている。

 優子は俊介の行動がきっとエスカレートするであろうことを予測し、身を固くした。



 果たして優子の予想通り、俊介はブランケットとブランケットが重なり合っているのをいいことに、自由に手を伸ばしてきた。

 俊介の方に向けていた優子の背中を上から下へとっゆっくり撫でる。

 優子はますます身を縮こめた。
 
 いい反応だ・・・。
 
 俊介は、まだ布越しではあるものの、久しぶりに触れる優子の肉体を堪能していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません

和泉杏咲
恋愛
両片思いの2人。「年下上司なんてありえない!」 「できない年上部下なんてまっぴらだ」そんな2人は、どうやって結ばれる? 「年下上司なんてありえない!」 「こっちこそ、できない年上の部下なんてまっぴらだ」 思えば、私とあいつは初対面から相性最悪だった! 人材業界へと転職した高井綾香。 そこで彼女を待ち受けていたのは、エリート街道まっしぐらの上司、加藤涼介からの厳しい言葉の数々。 綾香は年下の涼介に対し、常に反発を繰り返していた。 ところが、ある時自分のミスを助けてくれた涼介が気になるように……? 「あの……私なんで、壁ドンされてるんですか?」 「ほら、やってみなよ、体で俺を誘惑するんだよね?」 「はあ!?誘惑!?」 「取引先を陥落させた技、僕にやってみなよ」

花嫁は忘れたい

基本二度寝
恋愛
術師のもとに訪れたレイアは愛する人を忘れたいと願った。 結婚を控えた身。 だから、結婚式までに愛した相手を忘れたいのだ。 政略結婚なので夫となる人に愛情はない。 結婚後に愛人を家に入れるといった男に愛情が湧こうはずがない。 絶望しか見えない結婚生活だ。 愛した男を思えば逃げ出したくなる。 だから、家のために嫁ぐレイアに希望はいらない。 愛した彼を忘れさせてほしい。 レイアはそう願った。 完結済。 番外アップ済。

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

お兄ちゃんはお医者さん!?

すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。 如月 陽菜(きさらぎ ひな) 病院が苦手。 如月 陽菜の主治医。25歳。 高橋 翔平(たかはし しょうへい) 内科医の医師。 ※このお話に出てくるものは 現実とは何の関係もございません。 ※治療法、病名など ほぼ知識なしで書かせて頂きました。 お楽しみください♪♪

溺愛なんてされるものではありません

彩里 咲華
恋愛
社長御曹司と噂されている超絶イケメン 平国 蓮 × 干物系女子と化している蓮の話相手 赤崎 美織 部署は違うが同じ会社で働いている二人。会社では接点がなく会うことはほとんどない。しかし偶然だけど美織と蓮は同じマンションの隣同士に住んでいた。蓮に誘われて二人は一緒にご飯を食べながら話をするようになり、蓮からある意外な悩み相談をされる。 顔良し、性格良し、誰からも慕われるそんな完璧男子の蓮の悩みとは……!?

わたしの旦那様は幼なじみと結婚したいそうです。

和泉 凪紗
恋愛
 伯爵夫人のリディアは伯爵家に嫁いできて一年半、子供に恵まれず悩んでいた。ある日、リディアは夫のエリオットに子作りの中断を告げられる。離婚を切り出されたのかとショックを受けるリディアだったが、エリオットは三ヶ月中断するだけで離婚するつもりではないと言う。エリオットの仕事の都合上と悩んでいるリディアの体を休め、英気を養うためらしい。  三ヶ月後、リディアはエリオットとエリオットの幼なじみ夫婦であるヴィレム、エレインと別荘に訪れる。  久しぶりに夫とゆっくり過ごせると楽しみにしていたリディアはエリオットとエリオットの幼なじみ、エレインとの関係を知ってしまう。

【R18】兵士となった幼馴染の夫を待つ機織りの妻

季邑 えり
恋愛
 幼くして両親を亡くした雪乃は、遠縁で幼馴染の清隆と結婚する。だが、貧しさ故に清隆は兵士となって村を出てしまう。  待っていろと言われて三年。ようやく帰って来る彼は、旧藩主の娘に気に入られ、村のために彼女と祝言を挙げることになったという。  雪乃は村長から別れるように説得されるが、諦めきれず機織りをしながら待っていた。ようやく決心して村を出ようとすると村長の息子に襲われかけ―― *和風、ほんわり大正時代をイメージした作品です。

私の心の薬箱~痛む胸を治してくれたのは、鬼畜上司のわかりづらい溺愛でした~

景華
恋愛
顔いっぱいの眼鏡をかけ、地味で自身のない水無瀬海月(みなせみつき)は、部署内でも浮いた存在だった。 そんな中初めてできた彼氏──村上優悟(むらかみゆうご)に、海月は束の間の幸せを感じるも、それは罰ゲームで告白したという残酷なもの。 真実を知り絶望する海月を叱咤激励し支えたのは、部署の鬼主任、和泉雪兎(いずみゆきと)だった。 彼に支えられながら、海月は自分の人生を大切に、自分を変えていこうと決意する。 自己肯定感が低いけれど芯の強い海月と、わかりづらい溺愛で彼女をずっと支えてきた雪兎。 じれながらも二人の恋が動き出す──。

処理中です...