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御曹司のやんごとなき恋愛事情.26

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 俊介の社長代理二日目が始まった。

 何とか社員が出社してくる前に社長室に到着することが出来た。

 優子は今日のスケジュールを確認するため、スマホを手にした。



 その中に伊波からのメッセージを見つける。

『明日の夜は空いてる?評判のいい店見つけたんだ』とあった。

 しまった・・・、『今日は急用が入ったからマンションの見学には行けない』と日曜に連絡を入れたっきりだった。



 あまりに色々なことが立て続けに起こったせいで、伊波に詳しい状況を説明するのを忘れていた。

 優子は『社長が入院して今週いっぱい身動きが取れない』という内容のメッセージを送った。

 ほどなく届いたメッセージは、『大丈夫か?あんまり無理しないように』という優子の身体を気遣う内容だった。

 伊波の優しい言葉に、胸がチクリと痛む。

 一週間だけという期限付きの関係とはいえ、伊波を裏切っているのは事実だ。



「どうした?優子、まだ疲れてるのか?」

 俊介は浮かれた様子で優子の顔を覗き込んだ。

「い、いえ・・・、何でもありません。そんなことより、今日のスケジュールを確認してください」

「あ、ああ・・・」



 明らかに様子がおかしかったけれど、今は時間がない。

 俊介は今日も一日、ハードなスケジュールをこなさなければならないのだから。

 目の回るような忙しい一日を終え、俊介と優子はレストランで夕食をとっていた。

 優子のスマホに再び伊波からのメッセージが届いた。



 どうしよう・・・、一日中俊介坊ちゃんと一緒だから、伊波とゆっくり話す時間がない。

 優子が困り顔で画面を見つめていると、すかさず俊介がスマホを奪った。

「伊波の野郎か。優子は俺のものだって言ってやる」

 優子は、通話ボタンを押そうとする俊介の手から、慌ててスマホを奪い返した。



「そんなことおっしゃったら、困るのは取締役です!軽率な行動は慎んでください」

「チェッ・・・。優子は伊波のどこがいいんだよ。俺の方が絶対いい男じゃないか」

 自分に自信があるのはいいことだが、理由が子供じみているのが困ったところだ。



 せっかく昨日はあんなに熱い夜を過ごしたというのに、伊波の名前を聞いたとたん現実を突きつけられて不愉快だ。

 そんなことがあったせいで、俊介はその夜も手加減することなく、優子のことを抱きまくった。

 さすがに二日連続で家に帰れないのは嫌だと言われ、深夜であるにもかかわらず、俊介は優子のことをマンションに送り届けた。



 俊介と一緒に眠るのは幸せだ。

 しかし、一昨日のように死ぬほど疲れていない限り、俊介のことを意識してしまって、よく眠れないのだ。

 そんな訳で、優子は自宅マンションでようやく体を休めることが出来た。

 明日も忙しい一日が待っている。

 俊介に恥をかかせないよう、精一杯サポートしなければならない。



 社長代理三日目の夜、俊介は毎日新しいことの連続でさぞ疲れていると思いきや、本人は至って元気だ。

 むしろサポートする優子の方がなぜか疲れている。

 夕食をとりながら、今日の反省をしようとしても、俊介はすっかりプライベートモードに入っているため、まともに請け合ってくれない。
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