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エロ.41
しおりを挟む「俺、姉ちゃんに聞いてみたよ」
高広は元貴の顔を黙って見つめた。
果たして美世は元貴に何と言ったのだろう・・・。
実の弟だから本当のことを言うのだろうか。
だけど、元貴に話せばおのずと高広も知ることになることは容易く想像できることだ。
「姉ちゃん、徳馬の話は他の誰かのことじゃないかって。逸子さんと服部さんのことは嘘じゃないって」
「そう・・・」
「疑うつもりはないけど、姉ちゃん何か大事なものを守るためには俺にだって平気で嘘つくからな。この間みたいに」
元貴は正月の高広と美世のことを言っているのだろう。
「・・・そうだな」
自分のことを引き合いに出されるとひどく気まずい。
「だから俺、今日服部さんが店を出たら直接聞いてみようと思うんだ」
「えっ!」
「だって、姉ちゃん人がいいからさ、変なことに巻き込まれてるかもしれないじゃん。俺、心配なんだよ」
「そ、そうか・・・」
「なんて偉そうに言ったけど、やっぱ一人でっていうのは心細くて、高広も一緒に来てくれないか?」
「お、俺?」
「頼むよ、徳馬じゃ上手くいくものも上手くいかなさそうだし、こんなこと頼めるの高広しかいないんだよ」
これは高広が最も望んでいたことでもある。
だが、元貴と一緒では言いたいことも言えない可能性がある。
それでも、何もせず手をこまねいているより、少しでも確かな情報が得られるなら、その場に一緒にいることは価値があるかもしれない。
「わかった」
高広が答えると、元貴はホッとした表情でソファの背に体を預けた。
「だけどな、服部さんって一筋縄では行きそうにないよな」
「それは俺も同感だ」
「毎日店に来てるのにさ、姉ちゃんとだけしか会話してないし、何か人を寄せ付けない雰囲気あるよな」
二人は今日のおすすめランチで空腹を満たしたあと、美世の店が開くまで久しぶりのゲームセンターで時間をつぶした。
「いらっしゃい」
美世はいつものように高広を迎えた。
食後の勉強タイムがないため店で粘るわけにはいかず、二階の元貴の部屋へと移動した。
「服部さん今日も来るよな?」
「来るだろう」
何しろ二人が受験勉強をしていた期間、土日を除いたほぼ毎日、服部は店にやって来ていたのだから。
二階でネットゲームをしながら服部が来るまでの時間をつぶした。
そろそろ来ているだろうと、店に続く階段を降りていった。
「来てる来てる」
服部の来店を確認した元貴が二階に上がってきた。
「いつ店を出ていくか分からないから、俺階段下の扉のところで見張ってる」
「わかった」
しばらくして元貴が階段を駆け上がってきた。
「今、店を出たから、行こう」
「ああ」
二人は階段を降りて勝手口から外に出た。
駅の方に向かって歩いて行く服部の後姿を見つけると全速力で走った。
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