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エロ.20
しおりを挟む「さあ?」
「さあって・・・。なんかめちゃくちゃ怪しい雰囲気が漂ってた気がする」
「元貴から見たら、美世さんの半径一メートル以内に近づいた男はみんな美世さんに惚れてるように見えるんだろ」
「いや、よく考えたら昨日海で偶然会うのとかもありえなくねぇ?もしかして、ストーカー!」
「バカ、飛躍し過ぎだ」
美世と毎晩のように身体を重ねている自分のことを全く疑っていない元貴の洞察力はあまり高いとは言えないだろう。
しかし、あの男が美世に好意を抱いているという事に関しては、高広も同意見だ。
高広のことを親友だと思っている元貴が、自分を疑うことはないという心理を利用していることについては、良心の呵責がないわけではない。
だが、それについてはもう諦めている。
もし仮に真実が暴かれて、元貴が自分を軽蔑してもそれは甘んじて受け入れる覚悟でいる。
高校生の高広にとって美世はそのくらい高嶺の花なのだ。
「そうか~?俺の思い込みかなぁ」
元貴がブツブツ言っていると、「もうそろそろ十時よ」と美世が告げた。
「え、もうそんな時間か!高広、今日もありがとな」
「ああ、また明日」
元貴と美世に見送られ高広は一旦家に帰った。
風呂に入ると美世のアパートに向かった。
しかし、到着する直前に美世から、『今日は疲れているからごめんなさい』という連絡が入った。
「嘘だろ」
店にいる時はさすがに疲れを見せなかった美世も、実は疲れていたという事だろうか。
いや、やはり昨日、外で無理やりセックスをしてしまったのはやりすぎだったのだろうか。
高広が本当の理由を尋ねてもきっと答えてはくれないだろう。
よほど無茶なこと以外、高広の願いは全て受け入れてくれる美世が断りを入れてくるという事は、それなりの理由があるということなのだから。
美世との関係を失うのが怖いという弱点がある時点で力関係は圧倒的に美世に軍配が上がる。
高広は「分かった」と返事をし、不完全燃焼のまま自宅に帰るのだった。
「高広、やっぱ俺の勘は間違ってなかったかもしれないぞ」
翌日ファミレスで顔を合わすなり、元貴は鼻息荒く話し始めた。
「なんだよ藪から棒に」
「今朝さ、徳馬からこんなメッセージが届いたんだ」
元貴はスマホの画面を高広に見せた。
『昨日の夜、塾のあと同じ塾の奴らと一緒にファミレスに寄ってから帰ったんだけど、そん時駅前で美世さんが海で会ったあの男と一緒に歩いてるの見ちゃったんだ。元貴に言った方がいいのか迷ったんだけど、俺そういうの我慢するの苦手だから、スマン』とあった。
そんな情報を知ったからといって元貴の前で必要以上に驚くわけにもいかず、かといって知らんぷりも出来ない。
「もしあの男と美世さんがデキてるとしても、元貴がどうこう言う事じゃないだろ?」
「はぁ?高広、それマジで言ってんの?あいつ結婚してるんだぜ。俺、姉ちゃんに近づいてくるやつの左手はちゃんとチェックするようにしてるんだ」
「マジか・・・、それはちょっとまずいな」
元貴がそんな観察眼を持っていたとは知らなった。
それとも、それは美世に関する時だけ発動するものなのだろうか。
とりあえず高広はそんなことは知らなったという体で話を進めるしかない。
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