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もう君を絶対に離さない.64
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野崎は何だか釈然としなかったが、これでまたちゃんとした作品が作れることだけは確実になりそうだ。
美子は完璧とはいえないまでも、とりあえず目的を達成でき、満足して帰っていった。
「・・・はぁ。何やってんだろ、俺」
確かに作品は作りたい。
だけどこんな真似をしてまでやるべきなのだろうか・・・。
美子がいくら好意を持ってくれても、恐らく自分はそれには応えられないのに。
自分の欲望のために美子を利用するなんて・・・。
だけど、美子はそれでもいいと言う・・・。
それにしても友達以上恋人未満って。
作品作りができること、それが嬉しくないはずはない。
しかし今夜はすっかり美子に乗せられてしまった・・。
疲れたな・・・。
もうこれ以上難しいことは考えられない。
野崎はそのまま床に寝っ転がると、意識を手放した。
『今夜夕飯一緒に食べない?』
守からは頻繁に誘いの連絡が入る様になった。
その度に瑠璃子は適当な理由をつけて断っている。
しかし、その頻度があまりに多くて、正直もう断るのにも疲れてきた。
『いいよ』
『マジで?じゃあ、店の場所は後で連絡する!』
守はやっと誘いに応じてくれたことに嬉しさを隠せない。
しつこく誘って完全に嫌われてしまう可能性もないわけじゃなかったが、そもそも友人である瑠璃子が守のことを拒絶し続けることはないだろうと踏んだのだ。
「やっと、瑠璃子の顔が見れた」
「こんな顔、これまでにいくらでも見たでしょ」
「そんなひねくれたこと言うなよ」
上機嫌の守とは反対に、瑠璃子の表情は晴れないままだ。
「はぁ~」
「おいおい、あからさまだな・・・」
「だって・・・、今さら守に気を使う必要ないし」
「それにしても、あんまりだろ」
高校の時から友達として付き合ってきた瑠璃子は、一見わがままで自己中なお嬢様といった印象ばかりが目立つ女の子だった。
しかし、それは見せかけであって、本当はその外見に反して真剣になれるものや、本気で愛せる人を求めていると近くにいる守は感じていた。
それを守から言ってもきっと突っぱねられてしまう。
だから、守は時が熟すのを待っていたのだ。
しかし、瑠璃子が真剣に好きになったのは残念ながら自分ではなく他の男だっただけで。
ただ、一度でも瑠璃子の心が動いたら、それはチャンスだと思っていた。
しかも、どうやら野崎とは何の進展もないらしい。
「そんな調子で、ちゃんと大学は行ってるんだろうな??」
守の言葉に、瑠璃子の表情が一瞬固まる。
「え、瑠璃子・・・、もしかして大学行ってないの・・・」
まさかそこまで深刻な状況になっていると思っていなかった。
「・・・仕方ないじゃない・・・。何にもやる気しないんだもん」
「だからって・・・」
子供じゃあるまいし・・・、と言いたかったがやめておいた。
そんなダメ押しの言葉を言っても状況が良くなるはずがない。
美子は完璧とはいえないまでも、とりあえず目的を達成でき、満足して帰っていった。
「・・・はぁ。何やってんだろ、俺」
確かに作品は作りたい。
だけどこんな真似をしてまでやるべきなのだろうか・・・。
美子がいくら好意を持ってくれても、恐らく自分はそれには応えられないのに。
自分の欲望のために美子を利用するなんて・・・。
だけど、美子はそれでもいいと言う・・・。
それにしても友達以上恋人未満って。
作品作りができること、それが嬉しくないはずはない。
しかし今夜はすっかり美子に乗せられてしまった・・。
疲れたな・・・。
もうこれ以上難しいことは考えられない。
野崎はそのまま床に寝っ転がると、意識を手放した。
『今夜夕飯一緒に食べない?』
守からは頻繁に誘いの連絡が入る様になった。
その度に瑠璃子は適当な理由をつけて断っている。
しかし、その頻度があまりに多くて、正直もう断るのにも疲れてきた。
『いいよ』
『マジで?じゃあ、店の場所は後で連絡する!』
守はやっと誘いに応じてくれたことに嬉しさを隠せない。
しつこく誘って完全に嫌われてしまう可能性もないわけじゃなかったが、そもそも友人である瑠璃子が守のことを拒絶し続けることはないだろうと踏んだのだ。
「やっと、瑠璃子の顔が見れた」
「こんな顔、これまでにいくらでも見たでしょ」
「そんなひねくれたこと言うなよ」
上機嫌の守とは反対に、瑠璃子の表情は晴れないままだ。
「はぁ~」
「おいおい、あからさまだな・・・」
「だって・・・、今さら守に気を使う必要ないし」
「それにしても、あんまりだろ」
高校の時から友達として付き合ってきた瑠璃子は、一見わがままで自己中なお嬢様といった印象ばかりが目立つ女の子だった。
しかし、それは見せかけであって、本当はその外見に反して真剣になれるものや、本気で愛せる人を求めていると近くにいる守は感じていた。
それを守から言ってもきっと突っぱねられてしまう。
だから、守は時が熟すのを待っていたのだ。
しかし、瑠璃子が真剣に好きになったのは残念ながら自分ではなく他の男だっただけで。
ただ、一度でも瑠璃子の心が動いたら、それはチャンスだと思っていた。
しかも、どうやら野崎とは何の進展もないらしい。
「そんな調子で、ちゃんと大学は行ってるんだろうな??」
守の言葉に、瑠璃子の表情が一瞬固まる。
「え、瑠璃子・・・、もしかして大学行ってないの・・・」
まさかそこまで深刻な状況になっていると思っていなかった。
「・・・仕方ないじゃない・・・。何にもやる気しないんだもん」
「だからって・・・」
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そんなダメ押しの言葉を言っても状況が良くなるはずがない。
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