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もう君を絶対に離さない.30
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「そうだね。登場人物が増えれば、もう少し長くできるけど、一人だと長いのは難しいから」
「でも、どんな仕上がりなるか楽しみ・・・」
「気が早いな~。まだ何も撮ってないのに」
「あ、ごめんなさい・・・。つい見る側の気持ちになっちゃった」
自然に笑いが起きた。
映画の話をしているだけで、こんなに楽しい時間が過ごせるなんて。
好きなものがあるって、何て素敵なことなんだろう。
瑠璃子は心が躍って仕方がない。
野崎君が描いた女性の心理描写が繊細な彼らしくて、それをどう表現するか、瑠璃子の頭の中は想像が果てしなく広がっていく。
しかし、ここで瑠璃子はハタとあることに思い至る。
野崎には彼女がいたことに。
「の、の、野崎君!私、この間は、すっかり忘れてたんだけど、彼女いるんだよね。それなのに、あんなことして、う、う、浮気だよね」
「えっ・・・」
「あれ?このあいだ彼女と恋愛映画を見るって言ってなかったっけ」
「ああ、彼女がいた時は見たことがあるって言ったけど、今はいないよ」
「え、そうだったの。よかった~、いや、よくはないけど・・・、やだ、何言ってるんだろう」
「ハハッ・・・、もうこの間のことはいいよ。それより何で急に彼女の話?」
「だって、彼女がいるなら、映画だって彼女で撮った方がいいんじゃないかって思ったから」
「ああ、そういうことね。残念ながら、高校の時の話だから、今はフリー」
「そ、そっか・・・」
野崎のことが妙に気になってしまう瑠璃子にとって、野崎がフリーであることが素直に嬉しかった。
自分の気持ちが恋心まで育っているかは分からないけれど、野崎に彼女がいることにひどく動揺したことは事実で、いないと分かった瞬間、ホッとしたことも事実で。
これはもう完全に恋なのだろうか・・・。
野崎は瑠璃子にとって、今一番気になる異性だが、これまで自分は常に男性を上から目線で見ていたせいで、純粋に異性を好きになった経験が無い。
今の自分は野崎に迷惑をかけた罪滅ぼしをすることが第一だ。
恋かどうかは、きっとそのうち分かるだろう。
分からないものはいくら考えても分からないのだから・・・。
「できたら明日から撮影を始めたいんだけど、セリフも少ないし。笠原さんの都合に合わせて、少しずつ撮りためて行こうかと思うんだ。ただ・・・、部屋が問題で、僕の部屋はどう考えても女の子の部屋っぽくないしな・・・。公園とかで撮ってもいいんだけど、天気に左右されるから・・・」
どうやらプロの撮影のようにお金をかける訳にいかないため、次の問題は場所探しらしい。
「あの、うちでよかったら、使ってもらってもかまわないけど」
「え、ほんと・・・?でも、女の子の家っていうのは、やっぱり・・・」
「大丈夫、実家だし」
だから大丈夫という結論には必ずしもならないのだけれど、取りあえず、独り暮らしよりは何となくハードルが低いのではと瑠璃子は思うのだが・・・。
「親御さんは・・・?嫌がらないかな、そういうの」
「うちの父も母も自営業だから、家にほとんどいないんだ。まあ、変な時間に突然帰ってきたりするから、一応話はしておくね。撮影の邪魔になるといけないから」
「許可とってからじゃなくていいの?」
「いいのいいの。家には基本、寝に帰ってくるだけだから」
「でも、どんな仕上がりなるか楽しみ・・・」
「気が早いな~。まだ何も撮ってないのに」
「あ、ごめんなさい・・・。つい見る側の気持ちになっちゃった」
自然に笑いが起きた。
映画の話をしているだけで、こんなに楽しい時間が過ごせるなんて。
好きなものがあるって、何て素敵なことなんだろう。
瑠璃子は心が躍って仕方がない。
野崎君が描いた女性の心理描写が繊細な彼らしくて、それをどう表現するか、瑠璃子の頭の中は想像が果てしなく広がっていく。
しかし、ここで瑠璃子はハタとあることに思い至る。
野崎には彼女がいたことに。
「の、の、野崎君!私、この間は、すっかり忘れてたんだけど、彼女いるんだよね。それなのに、あんなことして、う、う、浮気だよね」
「えっ・・・」
「あれ?このあいだ彼女と恋愛映画を見るって言ってなかったっけ」
「ああ、彼女がいた時は見たことがあるって言ったけど、今はいないよ」
「え、そうだったの。よかった~、いや、よくはないけど・・・、やだ、何言ってるんだろう」
「ハハッ・・・、もうこの間のことはいいよ。それより何で急に彼女の話?」
「だって、彼女がいるなら、映画だって彼女で撮った方がいいんじゃないかって思ったから」
「ああ、そういうことね。残念ながら、高校の時の話だから、今はフリー」
「そ、そっか・・・」
野崎のことが妙に気になってしまう瑠璃子にとって、野崎がフリーであることが素直に嬉しかった。
自分の気持ちが恋心まで育っているかは分からないけれど、野崎に彼女がいることにひどく動揺したことは事実で、いないと分かった瞬間、ホッとしたことも事実で。
これはもう完全に恋なのだろうか・・・。
野崎は瑠璃子にとって、今一番気になる異性だが、これまで自分は常に男性を上から目線で見ていたせいで、純粋に異性を好きになった経験が無い。
今の自分は野崎に迷惑をかけた罪滅ぼしをすることが第一だ。
恋かどうかは、きっとそのうち分かるだろう。
分からないものはいくら考えても分からないのだから・・・。
「できたら明日から撮影を始めたいんだけど、セリフも少ないし。笠原さんの都合に合わせて、少しずつ撮りためて行こうかと思うんだ。ただ・・・、部屋が問題で、僕の部屋はどう考えても女の子の部屋っぽくないしな・・・。公園とかで撮ってもいいんだけど、天気に左右されるから・・・」
どうやらプロの撮影のようにお金をかける訳にいかないため、次の問題は場所探しらしい。
「あの、うちでよかったら、使ってもらってもかまわないけど」
「え、ほんと・・・?でも、女の子の家っていうのは、やっぱり・・・」
「大丈夫、実家だし」
だから大丈夫という結論には必ずしもならないのだけれど、取りあえず、独り暮らしよりは何となくハードルが低いのではと瑠璃子は思うのだが・・・。
「親御さんは・・・?嫌がらないかな、そういうの」
「うちの父も母も自営業だから、家にほとんどいないんだ。まあ、変な時間に突然帰ってきたりするから、一応話はしておくね。撮影の邪魔になるといけないから」
「許可とってからじゃなくていいの?」
「いいのいいの。家には基本、寝に帰ってくるだけだから」
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