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もう君を絶対に離さない.27
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「そうですか。また余計なことを言ってすみません・・・」
瑠璃子は自分の気の回らなさに嫌気がさしてくる。
「もう、そんなに謝らなくていいよ。僕からすれば何も不自由してないように見えた君にも色々悩みがあったんだね・・・」
優しい野崎は、この期に及んでまだそんな言葉をかけてくれる。
「そ、そんな・・・、どうして怒らないんですか?私あんなことしたのに」
泣いたりしたら余計に迷惑になる。
瑠璃子は涙を必死で我慢した。
「別に僕は一度も君に対して怒りの感情なんて持ってないよ。だた、ああいうことがあると・・・、やっぱり平気ではいられない。だから、どうせ映画は自分で見ればすむことだから辞めただけで・・・。君はすごく謝ってくれるけど、君が思ってるほど僕はこの間のことで傷ついたりしてない。それに、本気で拒もうと思えば拒めたんだから、僕も君の体の魅力にやられたっていうのが本当のところだ」
「えっ・・・」
「僕だって男だからね。綺麗な女性に迫られたら、理性では抑えられなくなるってだけだ。だけど、恋人同士でもないのに、そういう関係を何度も持つのは僕にはやっぱりできない。だから、君とは距離を取った方がいいと思っただけだ・・・」
野崎がものすごく冷静に話すものだから、瑠璃子も落ち着いて聞くことができた。
「だけど、僕も君と映画の話が出来たのは楽しかったよ。特に女性とそういう話をする機会が今までなかったからね。女性の視点が分かるのも興味深かった」
あくまで大人な発言はありがたいのだが、瑠璃子は自分が空っぽなうえに、子供っぽい考え、行動しか出来ないことがますます恥ずかしくなる。
「そうですか・・・。野崎さんみたいな方と短い間でも楽しい時間を共有できたこと、私にとっては一生の宝物です」
「そんな大げさなもんじゃないよ」
野崎は少し恥ずかしそうに、またうつむいた。
「すみません、長々と。もう会うこともないと思いますが、野崎さんの活躍、遠くから応援してます。あの、迷惑でなければ、いつか、作品を見に行かせていただきたいです。それでは、失礼します」
瑠璃子は、これ以上いてはもっと迷惑になると思い立ち上がった。
「あの・・・」
「えっ・・・」
なんだろう、やっぱり一発殴りたいとか言われるのだろうか。
瑠璃子が身構えていると、野崎は言った。
「笠原さんが迷惑じゃなかったら、僕の作品に出てもらえないかな」
「えっ・・・」
どうして?
私、あんなことしたのに・・・。
近寄りたくないんじゃ・・・。
「ただ、もうあういうことはしないでもらいたいけど」
野崎は少し顔を赤らめながらうつむいた。
「わ、私なんかでいいなら、いくらでも使ってください」
瑠璃子は即答していた。
「で、でも、わたしなんか・・・いいんですか?」
「ごめん、その、失礼な言い方になっちゃうけど、みんな演者を探すのにほんと手こずってるんだ。誰でもそんなに顔が広いわけじゃないし、お金はないしね」
「そ、そうなんですか・・・」
「だから、僕も自分の好きなことのために君を利用する図々しいやつなんだけど、それでもいいかな」
「野崎さんは図々しくなんかありませんよ。本当に図々しい人はわざわざ相手に了解なんてとりませんから」
「そっか・・・」
瑠璃子は自分の気の回らなさに嫌気がさしてくる。
「もう、そんなに謝らなくていいよ。僕からすれば何も不自由してないように見えた君にも色々悩みがあったんだね・・・」
優しい野崎は、この期に及んでまだそんな言葉をかけてくれる。
「そ、そんな・・・、どうして怒らないんですか?私あんなことしたのに」
泣いたりしたら余計に迷惑になる。
瑠璃子は涙を必死で我慢した。
「別に僕は一度も君に対して怒りの感情なんて持ってないよ。だた、ああいうことがあると・・・、やっぱり平気ではいられない。だから、どうせ映画は自分で見ればすむことだから辞めただけで・・・。君はすごく謝ってくれるけど、君が思ってるほど僕はこの間のことで傷ついたりしてない。それに、本気で拒もうと思えば拒めたんだから、僕も君の体の魅力にやられたっていうのが本当のところだ」
「えっ・・・」
「僕だって男だからね。綺麗な女性に迫られたら、理性では抑えられなくなるってだけだ。だけど、恋人同士でもないのに、そういう関係を何度も持つのは僕にはやっぱりできない。だから、君とは距離を取った方がいいと思っただけだ・・・」
野崎がものすごく冷静に話すものだから、瑠璃子も落ち着いて聞くことができた。
「だけど、僕も君と映画の話が出来たのは楽しかったよ。特に女性とそういう話をする機会が今までなかったからね。女性の視点が分かるのも興味深かった」
あくまで大人な発言はありがたいのだが、瑠璃子は自分が空っぽなうえに、子供っぽい考え、行動しか出来ないことがますます恥ずかしくなる。
「そうですか・・・。野崎さんみたいな方と短い間でも楽しい時間を共有できたこと、私にとっては一生の宝物です」
「そんな大げさなもんじゃないよ」
野崎は少し恥ずかしそうに、またうつむいた。
「すみません、長々と。もう会うこともないと思いますが、野崎さんの活躍、遠くから応援してます。あの、迷惑でなければ、いつか、作品を見に行かせていただきたいです。それでは、失礼します」
瑠璃子は、これ以上いてはもっと迷惑になると思い立ち上がった。
「あの・・・」
「えっ・・・」
なんだろう、やっぱり一発殴りたいとか言われるのだろうか。
瑠璃子が身構えていると、野崎は言った。
「笠原さんが迷惑じゃなかったら、僕の作品に出てもらえないかな」
「えっ・・・」
どうして?
私、あんなことしたのに・・・。
近寄りたくないんじゃ・・・。
「ただ、もうあういうことはしないでもらいたいけど」
野崎は少し顔を赤らめながらうつむいた。
「わ、私なんかでいいなら、いくらでも使ってください」
瑠璃子は即答していた。
「で、でも、わたしなんか・・・いいんですか?」
「ごめん、その、失礼な言い方になっちゃうけど、みんな演者を探すのにほんと手こずってるんだ。誰でもそんなに顔が広いわけじゃないし、お金はないしね」
「そ、そうなんですか・・・」
「だから、僕も自分の好きなことのために君を利用する図々しいやつなんだけど、それでもいいかな」
「野崎さんは図々しくなんかありませんよ。本当に図々しい人はわざわざ相手に了解なんてとりませんから」
「そっか・・・」
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