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努力追放編
勝つしかない状況
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ここはギルド、一階にはクエストボードがありクエストを貼り出す掲示板がある。
そして二階の酒場兼食堂にて俺達は作戦会議をしていた。
「全部ぶっ壊してしまおうぜ」
高らかに俺は宣言した。アイリが笑えない世界なんてそんなものはぶっ壊してやればいいのだ。
なぜマルティネが辺境の街カイナに来ていたのか、それは『使い捨て魔力タンク』の補充の手伝いをしていたのだろう。
思えば、やたら豪華な勇者パーティーの装備。まるで宝石で彩りを飾っているようだった。
つまりマルティネの装備の資金源はエルフを『使い捨て魔力タンク』として売り払ったものなのだ。
それならばエルフのみんなを助けよう。
当然、マルティネの資金はなくなるし貴族としても没落するだろう。
そうなれば必然的にマルティネも弱体化していくというわけだ。
そうやって一つ一つ潰していけばいい。やがてエルフのみんなは解放されるだろう。
「でも、相手はたくさんの人がいるのですよ? 勝てますでしょうか」
アイリが心配そうに涙混じりに言う。俺達に怪我をしてほしくないようだ。
「大丈夫さ、心配するな」
心配しすぎてしょんぼりしている、アイリの頭を優しくナデナデしながら、俺は自信満々に答えた。
俺は最強なのだ。規格外の強さを持っている。人数差など問題はない。
多勢に無勢など関係ない、全員ぶっ倒してそれで終わりである。
「ねー、リュウ。この護衛任務ってさ、もしかして……?」
依頼主 クルベヘン
依頼内容 護衛(詳細説明不可)
報酬 1000パラ(別途報酬あり)
マイナがこの前受けようと言っていた依頼書を見せる。
間違いないな。
『護衛』とはエルフを王都に連れていくこと。
別途報酬とは『エルフの魔力濃度』の良し悪しで決まるのであろう。
高名な学者といったクルベヘンまで、関わってるとなると王都は当然『使い捨て魔力タンク』について黙認しているのか。
本当なら全部ぶっ壊していきたい。だがそれをやると、エルフたちの身に何が起こるか分からない。
マルティネは権力、財力、暴力の3つを持っているようだ。
俺が潰したはずのマルティネの権力は財力によって封じ込められてしまった。
そして今、マルティネは暴力によってエルフ達を支配し、財力の糧にしている。
やはりまずはエルフたちを救わねば。邪魔する敵はみんな倒してしまおう。
なんせ俺はレベル99で、マルティネは40だ。その他の敵は良くてレベル25くらいだろう。
はっきり言って負けるはずがないのである。ただ、今は人質を取られている状態に近い。
マルティネはとことんまで卑怯になってくるはずなので、そこだけ気にしておこう。
「アイリ。明日、朝一番で出発しよう」
俺はアイリの手を取って言った。
「はいなのです!」
アイリは嬉しそうに返事をした。よかった、元気が戻って。
「リュウ私も当然行くぞ。仲間だからな」
カナデもマルティネの卑劣なやり方に我慢できないようだ。仄かに眉根を寄せて、麗しい顔が怒りに燃えていた。
「私達は仲間よ、助け合わないとね」
マイナもカナデの言葉に続く。金髪のツインテールが激しく揺れている。
「ではこういうのはどうだろうか」
カナデは、俺達を囲んでいる円卓のテーブルの中心にある依頼書を指差しながら提案した。
「あえてこの『護衛任務』を受けてみるというのは」
カナデは真剣な表情で俺達に問いかける。
なるほど、まずは敵の巣を見つけてそこを俺がバコーンと殴るわけである。
そして敵の親玉が出てきたらそいつを倒してしまえばいい。
「いいんじゃないかな」
俺は賛成した。みんなも笑顔でうなずいている。
アイリはジーっと俺を見つめていたが、やがて安心したように微笑んだ。
俺はアイリの頭を優しく撫でてやる。
「アイリは俺が守るからな」
アイリに笑いかけながら、俺はそう約束した。
「はいなのです! 」
アイリも嬉しそうに返事をする。
「私にも何かできることはないの?」
マイナは俺に聞いてきた。お姉さん気質のマイナらしいな。
そうだな……。
俺は顎に手を当てて考えた。
まずは情報収集だな。
「マイナ、王都の位置はわかるか?」
マイナは、
「うん、わかるわ」
と言って地図を広げた。
「ここが王都、それから南東に集落が――」
マイナは地図に印をつけていく。
「このあたりにたくさん集落があるので、多分このどれかにエルフ達が集められてるのよ」
マイナが丸文字で地図に色々と書き込んでいく。マイナって可愛い字書くんだな。
しかし、王都がここから南に半日歩いたところか。
結構遠いな。
でもまぁ、そんなもんか。
俺ならすぐに着くけど、それじゃあ意味ないしな。
情報収集に力を注ぐのはこれくらいにして、明日の準備の為に今日はもう休むか。
俺は護衛クエストを受けるとギルドのお姉さんに伝えた。
そしてギルドを出て、皆に声をかける。
「それじゃ明日はマルティネの巣を破壊するってことで!」
そして二階の酒場兼食堂にて俺達は作戦会議をしていた。
「全部ぶっ壊してしまおうぜ」
高らかに俺は宣言した。アイリが笑えない世界なんてそんなものはぶっ壊してやればいいのだ。
なぜマルティネが辺境の街カイナに来ていたのか、それは『使い捨て魔力タンク』の補充の手伝いをしていたのだろう。
思えば、やたら豪華な勇者パーティーの装備。まるで宝石で彩りを飾っているようだった。
つまりマルティネの装備の資金源はエルフを『使い捨て魔力タンク』として売り払ったものなのだ。
それならばエルフのみんなを助けよう。
当然、マルティネの資金はなくなるし貴族としても没落するだろう。
そうなれば必然的にマルティネも弱体化していくというわけだ。
そうやって一つ一つ潰していけばいい。やがてエルフのみんなは解放されるだろう。
「でも、相手はたくさんの人がいるのですよ? 勝てますでしょうか」
アイリが心配そうに涙混じりに言う。俺達に怪我をしてほしくないようだ。
「大丈夫さ、心配するな」
心配しすぎてしょんぼりしている、アイリの頭を優しくナデナデしながら、俺は自信満々に答えた。
俺は最強なのだ。規格外の強さを持っている。人数差など問題はない。
多勢に無勢など関係ない、全員ぶっ倒してそれで終わりである。
「ねー、リュウ。この護衛任務ってさ、もしかして……?」
依頼主 クルベヘン
依頼内容 護衛(詳細説明不可)
報酬 1000パラ(別途報酬あり)
マイナがこの前受けようと言っていた依頼書を見せる。
間違いないな。
『護衛』とはエルフを王都に連れていくこと。
別途報酬とは『エルフの魔力濃度』の良し悪しで決まるのであろう。
高名な学者といったクルベヘンまで、関わってるとなると王都は当然『使い捨て魔力タンク』について黙認しているのか。
本当なら全部ぶっ壊していきたい。だがそれをやると、エルフたちの身に何が起こるか分からない。
マルティネは権力、財力、暴力の3つを持っているようだ。
俺が潰したはずのマルティネの権力は財力によって封じ込められてしまった。
そして今、マルティネは暴力によってエルフ達を支配し、財力の糧にしている。
やはりまずはエルフたちを救わねば。邪魔する敵はみんな倒してしまおう。
なんせ俺はレベル99で、マルティネは40だ。その他の敵は良くてレベル25くらいだろう。
はっきり言って負けるはずがないのである。ただ、今は人質を取られている状態に近い。
マルティネはとことんまで卑怯になってくるはずなので、そこだけ気にしておこう。
「アイリ。明日、朝一番で出発しよう」
俺はアイリの手を取って言った。
「はいなのです!」
アイリは嬉しそうに返事をした。よかった、元気が戻って。
「リュウ私も当然行くぞ。仲間だからな」
カナデもマルティネの卑劣なやり方に我慢できないようだ。仄かに眉根を寄せて、麗しい顔が怒りに燃えていた。
「私達は仲間よ、助け合わないとね」
マイナもカナデの言葉に続く。金髪のツインテールが激しく揺れている。
「ではこういうのはどうだろうか」
カナデは、俺達を囲んでいる円卓のテーブルの中心にある依頼書を指差しながら提案した。
「あえてこの『護衛任務』を受けてみるというのは」
カナデは真剣な表情で俺達に問いかける。
なるほど、まずは敵の巣を見つけてそこを俺がバコーンと殴るわけである。
そして敵の親玉が出てきたらそいつを倒してしまえばいい。
「いいんじゃないかな」
俺は賛成した。みんなも笑顔でうなずいている。
アイリはジーっと俺を見つめていたが、やがて安心したように微笑んだ。
俺はアイリの頭を優しく撫でてやる。
「アイリは俺が守るからな」
アイリに笑いかけながら、俺はそう約束した。
「はいなのです! 」
アイリも嬉しそうに返事をする。
「私にも何かできることはないの?」
マイナは俺に聞いてきた。お姉さん気質のマイナらしいな。
そうだな……。
俺は顎に手を当てて考えた。
まずは情報収集だな。
「マイナ、王都の位置はわかるか?」
マイナは、
「うん、わかるわ」
と言って地図を広げた。
「ここが王都、それから南東に集落が――」
マイナは地図に印をつけていく。
「このあたりにたくさん集落があるので、多分このどれかにエルフ達が集められてるのよ」
マイナが丸文字で地図に色々と書き込んでいく。マイナって可愛い字書くんだな。
しかし、王都がここから南に半日歩いたところか。
結構遠いな。
でもまぁ、そんなもんか。
俺ならすぐに着くけど、それじゃあ意味ないしな。
情報収集に力を注ぐのはこれくらいにして、明日の準備の為に今日はもう休むか。
俺は護衛クエストを受けるとギルドのお姉さんに伝えた。
そしてギルドを出て、皆に声をかける。
「それじゃ明日はマルティネの巣を破壊するってことで!」
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