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努力追放編
勇者と使い捨て魔力タンク
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ギルドを出た俺達は、大通りに向けて足を運ぶことにした。
清々しい朝の空気は、俺がギルドに出入りした所で変わりはしない。
まだ時間は早いはずだが、もう街は賑わいを見せている。
露店が多く出ており、野菜を売っている者や魚屋などの食材を売る店が多く見られる。
歩いている人は人間が多かったが獣人も見かけた。もふもふの尻尾をゆらりと揺らして歩く姿を見ると心が和むのだ。
「まずは、朝ごはんだな」
「はいなのですっ!」
俺は朝から元気いっぱいなアイリを見て微笑ましく思った。
アイリは可愛くて素直だしいい子だと思う。
「リュウーどうしたのです?」
不思議そうに首を傾げて問いかけてくるアイリ。
「いや、なんでもないよ」
そんな彼女を両腕で抱えると、俺は彼女の頭を撫でながら答えた。
「えへへ、嬉しいのです」
嬉しそうにする彼女を抱きかかえたまま、通りにある食堂へと入る。
店内に入ると、そこは賑やかな雰囲気だった。
朝食を求めてお客さんも多く来ているようである。
俺達が中に入っていくとすぐに店員がやってきた。
おっ可愛いケモ耳だ。その耳を見た瞬間に俺はもふもふしたくなる衝動に駆られる。
しかし、ここは我慢だ。俺は今、アイリと一緒にいるのである。
ここで仲間であるアイリのことを最優先にしなくてどうするというのか。
アイリと一緒に朝食を食べる、ただそれだけで俺は幸せな気分になれるのだ。
メニューが決まり店員が来て俺達が注文をする、ほんのわずかな数秒間の猶予。
…ちょうどそんな時だった―――
ガシャーンッ!! 俺の耳に激しい音が聞こえてきた。
それはガラスが割れるような音である。
一体何事かと思って音の鳴った方へ顔を向けると、どうやら一人の男が店の窓ガラスを雷魔法《サンダー》で粉砕したようである。
わざと注目を集めようとしているようだ。
「我の名はフラハイである。王都北方軍において司令官で対魔王、特殊作戦を指揮しておる」
フラハイと名乗った男は、二十代前半くらいだろうか? 長身で筋肉質、長い青髪と鋭い目つきをした美男子である。
年齢は若いかもしれないが、歴戦を感じさせる雰囲気がある。
ちなみに、男が北方軍の司令官であるのは、俺にとってどうでもいい。
しかし、窓ガラスを割られてしまっては他の場所で食事を取った方がよいだろう。
店の外へ出て、フラハイに背を向けて、俺はアイリの好きそうな食べ物屋を探す事にした。
「この街には『勇者』がいるはずだ! 英雄として我々の軍にぜひとも入り悪逆非道の魔王を倒してもらいたい! 」
フラハイの怒声が街に響き渡った。それは悲鳴にも聞こえるほど、大きな声だった。
まさか、俺に話しかけてきてないよな。
俺一人で魔王倒せるけど、束縛されるのは嫌なので軍に誘わないでくださいね。
それとも、フラハイは俺が追放したマルティネの関係者か? もしマルティネがこの街に残っていたなら、勇者として颯爽と登場してフラハイの軍に入っていたのだろう。
俺が追放したから、勇者いませんけどね。
できればもう二度とマルティネとは関わらないでいたい。マルティネは馬車で王都に帰ったので、まさかまだカイナにいるはずがない。
「リュウ……あの人好きになれないです。 危ない人なのです……」
アイリが俺の袖をしきりに引っ張って早くフラハイから離れたそうにしている。 よほど嫌らしいな。
「俺もああいう奴は苦手だなぁ」
俺達は朝食を食べる為と、ついでに今晩の宿屋を探すべく大通りから裏口へと歩き始める。
「店を破壊したのはここの店主が『使い捨て魔力タンク』の情報について嘘をついた疑いがあるからである! 我が軍はいかなる不正も断固として許さない! 魔王討伐に全力を挙げて――」
嫌でも聞こえてくるフラハイの演説を聞き流しながら、ふと気になって俺は振り返った。
やはり、誰もフラハイを逮捕できるはずがないか。中世ヨーロッパのこの時代では、軍に逆らう市民などいるはずもない。
ただ、俺はアイリやカナデやマイナと楽しく過ごせればそれでいいのだ。フラハイをぶん殴っても意味がないので、やめることにした。
その後、街の女の子に人気のヘルシー料理店にしようかと提案したら、アイリは個室で柔らかいパンを一個だけ食べて、元気なくベッドに横たわってしまった。
と思ったら直後に決心したように、
「リュウ、街の外にデートしにいくです」
そわそわしながらアイリが言った。
清々しい朝の空気は、俺がギルドに出入りした所で変わりはしない。
まだ時間は早いはずだが、もう街は賑わいを見せている。
露店が多く出ており、野菜を売っている者や魚屋などの食材を売る店が多く見られる。
歩いている人は人間が多かったが獣人も見かけた。もふもふの尻尾をゆらりと揺らして歩く姿を見ると心が和むのだ。
「まずは、朝ごはんだな」
「はいなのですっ!」
俺は朝から元気いっぱいなアイリを見て微笑ましく思った。
アイリは可愛くて素直だしいい子だと思う。
「リュウーどうしたのです?」
不思議そうに首を傾げて問いかけてくるアイリ。
「いや、なんでもないよ」
そんな彼女を両腕で抱えると、俺は彼女の頭を撫でながら答えた。
「えへへ、嬉しいのです」
嬉しそうにする彼女を抱きかかえたまま、通りにある食堂へと入る。
店内に入ると、そこは賑やかな雰囲気だった。
朝食を求めてお客さんも多く来ているようである。
俺達が中に入っていくとすぐに店員がやってきた。
おっ可愛いケモ耳だ。その耳を見た瞬間に俺はもふもふしたくなる衝動に駆られる。
しかし、ここは我慢だ。俺は今、アイリと一緒にいるのである。
ここで仲間であるアイリのことを最優先にしなくてどうするというのか。
アイリと一緒に朝食を食べる、ただそれだけで俺は幸せな気分になれるのだ。
メニューが決まり店員が来て俺達が注文をする、ほんのわずかな数秒間の猶予。
…ちょうどそんな時だった―――
ガシャーンッ!! 俺の耳に激しい音が聞こえてきた。
それはガラスが割れるような音である。
一体何事かと思って音の鳴った方へ顔を向けると、どうやら一人の男が店の窓ガラスを雷魔法《サンダー》で粉砕したようである。
わざと注目を集めようとしているようだ。
「我の名はフラハイである。王都北方軍において司令官で対魔王、特殊作戦を指揮しておる」
フラハイと名乗った男は、二十代前半くらいだろうか? 長身で筋肉質、長い青髪と鋭い目つきをした美男子である。
年齢は若いかもしれないが、歴戦を感じさせる雰囲気がある。
ちなみに、男が北方軍の司令官であるのは、俺にとってどうでもいい。
しかし、窓ガラスを割られてしまっては他の場所で食事を取った方がよいだろう。
店の外へ出て、フラハイに背を向けて、俺はアイリの好きそうな食べ物屋を探す事にした。
「この街には『勇者』がいるはずだ! 英雄として我々の軍にぜひとも入り悪逆非道の魔王を倒してもらいたい! 」
フラハイの怒声が街に響き渡った。それは悲鳴にも聞こえるほど、大きな声だった。
まさか、俺に話しかけてきてないよな。
俺一人で魔王倒せるけど、束縛されるのは嫌なので軍に誘わないでくださいね。
それとも、フラハイは俺が追放したマルティネの関係者か? もしマルティネがこの街に残っていたなら、勇者として颯爽と登場してフラハイの軍に入っていたのだろう。
俺が追放したから、勇者いませんけどね。
できればもう二度とマルティネとは関わらないでいたい。マルティネは馬車で王都に帰ったので、まさかまだカイナにいるはずがない。
「リュウ……あの人好きになれないです。 危ない人なのです……」
アイリが俺の袖をしきりに引っ張って早くフラハイから離れたそうにしている。 よほど嫌らしいな。
「俺もああいう奴は苦手だなぁ」
俺達は朝食を食べる為と、ついでに今晩の宿屋を探すべく大通りから裏口へと歩き始める。
「店を破壊したのはここの店主が『使い捨て魔力タンク』の情報について嘘をついた疑いがあるからである! 我が軍はいかなる不正も断固として許さない! 魔王討伐に全力を挙げて――」
嫌でも聞こえてくるフラハイの演説を聞き流しながら、ふと気になって俺は振り返った。
やはり、誰もフラハイを逮捕できるはずがないか。中世ヨーロッパのこの時代では、軍に逆らう市民などいるはずもない。
ただ、俺はアイリやカナデやマイナと楽しく過ごせればそれでいいのだ。フラハイをぶん殴っても意味がないので、やめることにした。
その後、街の女の子に人気のヘルシー料理店にしようかと提案したら、アイリは個室で柔らかいパンを一個だけ食べて、元気なくベッドに横たわってしまった。
と思ったら直後に決心したように、
「リュウ、街の外にデートしにいくです」
そわそわしながらアイリが言った。
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