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努力追放編

依頼を受けよう

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 ゴーレムを倒した報酬の総額は100万パラであった。

   勿論アイリ、マイナ、カナデとみんなで山分けする。パーティーなんだから、当然だ。

「こんなに貰えないわよ、結局頑張ったのはリュウだけじゃない」 

「いいって、俺達はパーティーなんだ、そんな事は気にするな」

 遠慮がちなマイナだったが、最後は受け取ってくれた。

 マルティネ達のせいで、マイナやカナデとアイリにあと一歩で迷惑をかけるところだったからね。

 これくらい、なんてことはない。一度モンスターをパンチすれば余裕で賞金が手に入るのだ。

 ▽
  
  明くる日の朝。いつものように俺はギルドの方へ向かう。その道中ですれ違う街の住民たちの様子を見て、

 俺は昨日の出来事を思い出していた。


  俺はこの街カイナに迫った危険なゴーレムを殲滅することに成功した。   

 しかし、防壁が破壊されたり、住宅街が半壊していたりと被害は甚大だ。

 朝早くから懸命に街の人たちは復旧作業に取り組んでいる。

 そんな光景を風景画を見るように通りすぎて行き、おなじみのギルドに到着する。


 俺は中に入り、すっかり日課になってしまったクエストボードの確認をする。

 美味しい依頼がないか、横長の板に貼り付けられた依頼書とにらめっこするが、討伐依頼はなし。

「リュウおはよー! 毎朝早いわねぇ、偉いわ」


「おはようマイナ。今日もみんなで冒険をしたくてね」

「そうねぇ~またみんなでクエスト行きたいわね……あら?」


「どうしたの?」

「この依頼主、王都の高名な教授じゃない!」

 滑らかな金髪をツインテールにまとめたマイナが、興奮気味にクエストボードから一枚の依頼書を外す。

 俺の方がマイナより背が高いからか、上目遣いの潤んだ瞳でお願いポーズされると、心拍数が上がってしまうのは仕方がないだろう。

「ねえ、リュウ。面白そうだからこの依頼受けてみない?」

「もちろん」

 即答で快諾したあとに俺は依頼内容を頭に叩き込む作業に入る。     

 しかし、高名な教授が僻地のカイナにどんな依頼をするというのだろう?

               依頼主  クルベヘン

          依頼内容  護衛(詳細説明不可)
           
        報酬     1000パラ(別途報酬あり)


 なんだ、この胡散臭い依頼は。まず、誰を護衛するのか書かれていない上に説明も聞けないだと。

 それに護衛にしては1000パラは安すぎる。平民が贅沢をしないでごく一般的に1日を過ごすのに必要な額が5000パラである。 
 
  1000パラでは依頼達成しても赤字で、誰もこの依頼を受けていないのも納得である。


 俺もマイナに提案されなければ、受けようとも思わなかったからな。

 そういえば、マイナが来る前に依頼書を舐めるように目で追っていた時もこの依頼あったな。すぐ打ち切ったけど。

 とはいえ、快諾した以上は受けよう。どんな依頼であれ俺が解決できないものなどないのだ。

「おはようございますなのですー、キャー。朝からリュウが見れて嬉しいのですー」
 
 ぴょんぴょんとまるでウサギのように俺の周りをジャンプしているアイリである。非常に可愛い。

 腰まで届くストレートの髪は艶のある銀髪で、キラキラと星のように煌めいていた。

  華奢な体から伸びた白くきれいなアイリの指先からは、淡い光が放たれて、人々の怪我をあっという間に治してしまうのだ。

 本当にどうしてアイリは田舎の街、カイナに来ていたのだろう。


 本来なら王都のギルドで大活躍できるだろうに、不思議な話である。

 もしかしたら、俺の強さを感じ取ってやって来たのかもな。

  たしかマルティネを打ち負かした後に、アイリが仲間になったからあり得る話ではある。

 それはそうと、カナデがまだ来ていないな。

 金髪碧眼の女の子で、マイナとは昔から仲がよいようだ。面倒見がよく、しっかりもので将来は騎士を目指しているらしい。   

「そうだリュウ。カナデが今日はこれないって昨日言ってたわ。騎士になるために師匠の特訓を受けているそうね」

「そうか、分かった。じゃあ今日依頼受けるのはやめよう。また明日みんなでいこう」

「はーい!」

「わかったのですー」

 さてと、暇になった。どうしようか、思案する為に椅子に腰かけると、ぼんやりとギルドの入り口を見つめてみた。


 マイナは立ち去ったが、アイリは戻ってきた。どうやら俺と一緒に遊びたいらしい。

 よし、付き合ってあげよう!








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