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勇者追放編
いよいよ直接対決
しおりを挟むしょうがないネッキード、君こそ二度とこの街にいられないようにしてあげよう。
パーティーのみんなを守るためである。
いい加減しつこいからな、温厚な俺でも我慢の限度があるってもんだ。
貴族だからと言い訳しながら殴ってくる。
マルティネ率いる、勇者パーティーは自分こそ正義だと疑っていない。
貴族生まれだから、自分ら以外はクズに違いないと見下しているのだ。
つまりこれは俺への攻撃なんだ。
じゃあ反撃しても問題無いよね。落ちぶれてしまっても自業自得という訳である。
ちなみに、ネッキードの行動は予測済みだ。当然対策してある。
ギルドマスターには当然話を通していて、一部始終を離れた所から見てもらっていた。
わざと俺を一人になったように見せかけて、ネッキードを誘い込んだのだ。
ギルドマスターが見ているというのにいきなり蹴り飛ばすわ、理不尽な言いがかりをつける、かわいそうなネッキード。
「たわわーっ! 疲れたのです。リュウさん見てください、こんなに薬草取ってきたのですよー」
アイリが、持ちきれないほど大量に薬草を持ってきてくれた。
そんな偉いアイリさんを優しく抱き締めてあげると、まるで子犬のように喜んでくれた。
ギルドマスターは事の一部始終を見ていながらも、マルティネを庇うようであった。
「今は何もしていませんので、貴族ですから」
そう言って足早に立ち去るギルドマスターの背を見て、やはり俺がマルティネ達を退《しりぞけ》るしかないと確信した。
カナデも合流して、俺は事の顛末を三人に話した。
マルティネの因縁付けから、ネッキードの傍若無人な振る舞いまで。
やっぱり三人はみんな俺の味方だった、ようしそれなら今からマルティネ達をぶっ飛ばしてやろう!
―――ギルド
「やっときたか、さあ土下座しろリュウ」
ネッキードは、相変わらず俺に土下座を強要させようとしてくる。
「ネッキード、俺がお前に土下座するわけないだろっ」
俺はわざとネッキード挑発してやる。
ネッキードが勇者パーティーにいるのは、そこそこの実力を持っているからだ。 まずは大衆の面前でそれを破壊してやろう。
「……いい度胸だ。貴族の俺にここまで楯突くとはな。一応聞いておいておくが、貴様の出身はどこだ?」
「教えるわけないだろ」
「……そうか、どうせど田舎だから、喋るのが恥ずかしいだけだろ」
自由気ままにスローライフを送りたい俺には、勇者パーティーは邪魔な存在なだけ。
野次馬の集まるギルドでいよいよ決着するのだ!
―――緊急事態、緊急事態!巨大ゴーレム接近中! 巨大ゴーレム接近中!
街中からうるさい警報が鳴り響いた。なんだ、これからネッキードを倒してやろうと思っていたのに。
『警報! 警報です! 南方から巨大ゴーレムを確認。直ちに避難せよ!』
野次馬もどこへやら、まるで蜘蛛の子を散らしたかのように散り散りと逃げていってしまった。
「マルティネ様出番ですよ、今こそ汚名挽回のチャンスです」
蜂蜜色の髪の女性がここぞとばかりに勢い込んでマルティネと側に近寄ってきた。
名前は知らないが、たしか聖女と呼ばれている人だったと記憶している。勇者パーティーのメンバーの一人だ。
『警報、警報! 巨大ゴーレムは街に侵入してギルドに一直線! 付近の住民は避難してください。冒険者の皆さんは討伐お願いします!」
「ふふん、ついに僕の出番のようだな、ここで格好いいところ見せちゃおう」
自信満々にマルティネ達がギルドを出ていってしまう。
……巨大ゴーレムのレベルでも調べてみるか……【鑑定】
巨大ゴーレム 【 ゴーレムの特異種】
レベル 60
スキル 特になし
マルティネのレベル40じゃ勝てないだろ、しょうがない。俺がさくっとゴーレム倒してやりますか。
ゴーレムは、ねばねばした泥を素体に岩や木を組み合わせて作られるのは有名だが、巨大ゴーレムはミスリル金属で作られているのだ。
なので……マルティネの攻撃は一切効かないと思うのだが。気になるので見に行ってみることにした。
俺がその気になればゴーレムごとき瞬殺だからな、マルティネがどのように戦うのか見物といこう。
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