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勇者追放編
貴族に逆らうな
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一つに薬草といっても様々な薬草があり、それぞれに値段が違う。
そして、その中には当然のように毒草も存在する。
毒草の中にはバーグ草のように傷薬の材料になる物があり、さらに麻痺毒の材料となる毒草もある。
それを見分けられるかどうかで採取出来る量は変わってくるのだが、それを見分ける為の道具がある。
それが銀製の腕輪で、これには魔法がかけられており薬草の種類を識別できるようになっていた。
これはギルドから貸し出されるもので、これを身に着けている者はギルド会員である証でもある。
そういうわけで、俺達はギルドのために薬草採取を続けるのである。
慎重に薬草を採取していると突然誰かが俺を突き飛ばしてきた。
俺を突き飛ばしたのにも関わらず、謝りもない。
「いててて……」
最近戦闘用の服をやっと買い揃えたばかりだったのに、もう泥だらけになってしまった。
「ギャハハハハ、おめえにはその泥だらけの姿がお似合いだぜ! 」
振り帰るといつか俺を笑ってバカにした茶髪の男が、またもや見下した目付きでニヤニヤしていた。
「な、なにするんだいきなり失礼じゃないか」
正論をぶつけたはずなのに、続いて殴りかかってきた。
パシッ、クルーン、ドシャ。
パンチの勢いを殺さずに利用するように茶髪の男を一回転させて、地面に打ち倒してやる。
何が目的なのかきいてみよう。また面倒なことじゃないといいけどなぁ。
茶髪の男はネッキードというらしい。貴族生まれの超エリートだと何度も自慢してきた。
「俺はAランクの冒険者なんだぞ、お前みたいな装備もろくに買えないカスに負けるわけがない。どうせ何かイカサマやったんだろう。」
「イカサマって、正々堂々と勝負したじゃないですか」
「いーや、あんなの認めない。というより俺が【負ける】というのがダメなんだ。お前、不正しましたと街のみんなに土下座しろや」
ネッキードの言い分がめちゃくちゃすぎて笑えてきた。
ネッキードはちょうど俺が一人で採取している時に狙って話しかけている。 貴族だから、出生も分からない俺に負けるなんて許せないのだろう。
ネッキードはイライラしてまたパンチを繰り出してきた。今度は蹴りまで。
力で俺に敵わないと分からないのかな? 鍛え方が違うんだよ。
ネッキードは俺を殴るのが無理だとやっと理解すると、ふと俺の顔を見て動きを止める。
そして、ニヤリと笑った。……こいつ、まさか。
「そうだいいこと考えた、ギルドを使えなくしてやる。王都にお前が嘘つきで貴族に楯突く犯罪者だと報告書を書こう。そうすりゃ二度と王都のギルドは勿論、この街のあらゆる公共機関から締め出しを食らうだろうよ」
「お前、まさか……!」
「さあ土下座しろ、おっとここではないぞ、街中の到るところで頭を擦り付けて許してくださいって俺の靴を舐めるんだ。
そしたら許してやるからさぁ!? ぎゃははははははは!!」
ネッキードが笑いながら去っていくのを見送り、俺はため息を吐きながら薬草採取に没頭する。
このままだと仲間達まで迷惑がかかってしまう。それだけは絶対に避けたい。
それに、ネッキードも本気で俺をギルドから追放する気かもしれない。
あのマルティネが、俺を追放する為に根回しをする可能性だってある。
そんな風に考えていると、マイナが
「見てみてーリュウ。こーんなに薬草取ってきたんだよ、すごいでしょ。誉めて誉めて」
大量の薬草の入った大きなかごを一生懸命持ってきた。俺の近くにくると心配そうに下から覗きこむ。
「どうしたの元気ないよ?」
大丈夫、その言葉は喉に突っかかって出てこなかった。
力があろうと貴族様には逆らえないのか、どうすればよいのか俺は途方にくれるのでした。
そして、その中には当然のように毒草も存在する。
毒草の中にはバーグ草のように傷薬の材料になる物があり、さらに麻痺毒の材料となる毒草もある。
それを見分けられるかどうかで採取出来る量は変わってくるのだが、それを見分ける為の道具がある。
それが銀製の腕輪で、これには魔法がかけられており薬草の種類を識別できるようになっていた。
これはギルドから貸し出されるもので、これを身に着けている者はギルド会員である証でもある。
そういうわけで、俺達はギルドのために薬草採取を続けるのである。
慎重に薬草を採取していると突然誰かが俺を突き飛ばしてきた。
俺を突き飛ばしたのにも関わらず、謝りもない。
「いててて……」
最近戦闘用の服をやっと買い揃えたばかりだったのに、もう泥だらけになってしまった。
「ギャハハハハ、おめえにはその泥だらけの姿がお似合いだぜ! 」
振り帰るといつか俺を笑ってバカにした茶髪の男が、またもや見下した目付きでニヤニヤしていた。
「な、なにするんだいきなり失礼じゃないか」
正論をぶつけたはずなのに、続いて殴りかかってきた。
パシッ、クルーン、ドシャ。
パンチの勢いを殺さずに利用するように茶髪の男を一回転させて、地面に打ち倒してやる。
何が目的なのかきいてみよう。また面倒なことじゃないといいけどなぁ。
茶髪の男はネッキードというらしい。貴族生まれの超エリートだと何度も自慢してきた。
「俺はAランクの冒険者なんだぞ、お前みたいな装備もろくに買えないカスに負けるわけがない。どうせ何かイカサマやったんだろう。」
「イカサマって、正々堂々と勝負したじゃないですか」
「いーや、あんなの認めない。というより俺が【負ける】というのがダメなんだ。お前、不正しましたと街のみんなに土下座しろや」
ネッキードの言い分がめちゃくちゃすぎて笑えてきた。
ネッキードはちょうど俺が一人で採取している時に狙って話しかけている。 貴族だから、出生も分からない俺に負けるなんて許せないのだろう。
ネッキードはイライラしてまたパンチを繰り出してきた。今度は蹴りまで。
力で俺に敵わないと分からないのかな? 鍛え方が違うんだよ。
ネッキードは俺を殴るのが無理だとやっと理解すると、ふと俺の顔を見て動きを止める。
そして、ニヤリと笑った。……こいつ、まさか。
「そうだいいこと考えた、ギルドを使えなくしてやる。王都にお前が嘘つきで貴族に楯突く犯罪者だと報告書を書こう。そうすりゃ二度と王都のギルドは勿論、この街のあらゆる公共機関から締め出しを食らうだろうよ」
「お前、まさか……!」
「さあ土下座しろ、おっとここではないぞ、街中の到るところで頭を擦り付けて許してくださいって俺の靴を舐めるんだ。
そしたら許してやるからさぁ!? ぎゃははははははは!!」
ネッキードが笑いながら去っていくのを見送り、俺はため息を吐きながら薬草採取に没頭する。
このままだと仲間達まで迷惑がかかってしまう。それだけは絶対に避けたい。
それに、ネッキードも本気で俺をギルドから追放する気かもしれない。
あのマルティネが、俺を追放する為に根回しをする可能性だってある。
そんな風に考えていると、マイナが
「見てみてーリュウ。こーんなに薬草取ってきたんだよ、すごいでしょ。誉めて誉めて」
大量の薬草の入った大きなかごを一生懸命持ってきた。俺の近くにくると心配そうに下から覗きこむ。
「どうしたの元気ないよ?」
大丈夫、その言葉は喉に突っかかって出てこなかった。
力があろうと貴族様には逆らえないのか、どうすればよいのか俺は途方にくれるのでした。
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