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勇者追放編
パーティーは4人くらいがちょうどよい
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この世界にも回復薬はあるらしい。緑色で毒々しているいかにも怪しい薬って感じらしいけど。
それでも少しの怪我なら徐々に治るのだが、せいぜい打ち身程度まで。それ以上は自然治癒に任せるしかない。
血が出るようになると高級回復薬が必要になるのだ。そのお値段一つ10000パラ。
俺はまだ魔力操作ができない。強すぎる魔力で注力してもただカナデを傷つけるだけだ。
一般人レベルまで落とすのはまだ俺には難しいのである。今度王都に行って、そこの学園にでも入学してみてもよいかもしれない。
問題はその学園で一般人レベルに抑えるのが出きるのかどうかだけど。
ヒーラーがいれば、即死でないなら何とかなるらしい。ヒーラーにもランクがある、初級、中級、上級と。
古代文献によると超級まであったらしいが真意は定かではない。
さてと、とりあえず冒険者ギルドに登録しよう。いいヒーラーがくるといいなあ。
「おい、そこのガキ、金出せ。そうしたら回復させてやんよお」
うひょー強そうな兄ちゃんだな。しかも剣構えてるし。
俺はため息を吐いた。あからさまな冷やかしである。そもそも剣構えて交渉とかなに考えてんだよ。
はい却下。次にいこう。
「お主、怪我をしてはいないか?」
次は美しい女性がやってきた。しかもビキニアーマだ。
これはラッキー!
「わしでよければお主のパーティに加わってやってもよいぞ」
ビキニのお姉さんが近寄ってきた。
「どうしようかな……」
でへへと俺が悩んでいると、
「どうするも何もダメに決まってるでしょ!?」
「そうだな」
とカナデとマイナに猛反発されてしまった。何故かと理由を尋ねてみた。
季節は冬。
吐く息も白く、寒さが増してきた今日この頃。
そんな時期にお姉さんはビキニアーマーを着用している。
「それでも可愛いならいいじゃないか!」
「「絶対ダメっ!!」」
意味深にビキニのお姉さんについて語れば語るほど冷たい表情になるマイナは、
「エッチな視線嫌ー、つーん」
「…………ふん」
カナデも不機嫌そうだ。結局丁重にお断りすることにした。去り際の悲しそうな顔色が印象的であった。
それはともかく。もう時刻は太陽が沈みかけて夕暮れ時である。
このままヒーラーが見つからないのは切実にまずい。
冒険者は日銭を稼がねばその日食べるものも困るのである。
ドラゴンを倒した時の報酬200万パラを俺は二人に秘密にしている。
できるならパーティで稼いだもので日々を送りたい。そう思うのは俺のわがままだ。
「まぁまぁ二人共落ち着けって、まだ日は沈んでいないぜ?それにきっと良い人が来るはず」
心配そうなカナデとマイナの気持ちを柔らげたかったので、明るくつとまった。
「うん……。でもそろそろ今日が終わっちゃうよ……」
「そうだな。このさいヒーラーはなしで明日からも3人パーティで頑張っていくとするか」
———私だって、本当はリュウと一緒に戦いたいのに……
ぼそっと呟かれたその声は街の喧騒にかき消された。
そして、夜になった。
今リュウはまだヒーラーが来るのを待っている。
すっかり夜の帳が降り、あたりには星々の煌めきが散りばめられている。
街灯が照らす道を歩く人々の姿はなく、時折吹く風が木々の葉を揺らす音が聞こえるくらい静寂に包まれていた。
そんな中、一人の少女が歩を進めていた。
「……」
無言のままにギルドを目指す少女。
少女の名前はアイリ・リーザ。
エルフ族の生き残りであり、森の民と呼ばれる種族の末裔でもある。
しかし今は、その誇り高き血筋を汚されていた。
アイリは故郷を見殺しにした怒りに震えながらも、冷静さを保とうと必死だった。
「負けるわけにはいかない……」
自分に言い聞かせるようにつぶやく。
アイリは魔法が得意であった。
特に回復魔法の腕はピカイチで神々しいまでの光を放つ回復呪文は、多くの命を救ってきた。
それ故に、回復魔法を使うヒーラーとして軍に利用された。
ようやくアイリはギルドについた。血にまみれた体を、綺麗にするため魔法をかけて、新しい服に身を包む。
そして、アイリはリュウを見つけた。
間違いない。あの人は私が知っているリュウさんだ。伝説は真だった。
故郷を救うためにリュウの力が必要になる。
しかしそれを悟られてはいけない。あくまで少女のように。無邪気な子供のように振る舞わなくては。
「リュウさん!」
「え、君は?」
「リュウさんパーティに入れてくれなのですー」
それでも少しの怪我なら徐々に治るのだが、せいぜい打ち身程度まで。それ以上は自然治癒に任せるしかない。
血が出るようになると高級回復薬が必要になるのだ。そのお値段一つ10000パラ。
俺はまだ魔力操作ができない。強すぎる魔力で注力してもただカナデを傷つけるだけだ。
一般人レベルまで落とすのはまだ俺には難しいのである。今度王都に行って、そこの学園にでも入学してみてもよいかもしれない。
問題はその学園で一般人レベルに抑えるのが出きるのかどうかだけど。
ヒーラーがいれば、即死でないなら何とかなるらしい。ヒーラーにもランクがある、初級、中級、上級と。
古代文献によると超級まであったらしいが真意は定かではない。
さてと、とりあえず冒険者ギルドに登録しよう。いいヒーラーがくるといいなあ。
「おい、そこのガキ、金出せ。そうしたら回復させてやんよお」
うひょー強そうな兄ちゃんだな。しかも剣構えてるし。
俺はため息を吐いた。あからさまな冷やかしである。そもそも剣構えて交渉とかなに考えてんだよ。
はい却下。次にいこう。
「お主、怪我をしてはいないか?」
次は美しい女性がやってきた。しかもビキニアーマだ。
これはラッキー!
「わしでよければお主のパーティに加わってやってもよいぞ」
ビキニのお姉さんが近寄ってきた。
「どうしようかな……」
でへへと俺が悩んでいると、
「どうするも何もダメに決まってるでしょ!?」
「そうだな」
とカナデとマイナに猛反発されてしまった。何故かと理由を尋ねてみた。
季節は冬。
吐く息も白く、寒さが増してきた今日この頃。
そんな時期にお姉さんはビキニアーマーを着用している。
「それでも可愛いならいいじゃないか!」
「「絶対ダメっ!!」」
意味深にビキニのお姉さんについて語れば語るほど冷たい表情になるマイナは、
「エッチな視線嫌ー、つーん」
「…………ふん」
カナデも不機嫌そうだ。結局丁重にお断りすることにした。去り際の悲しそうな顔色が印象的であった。
それはともかく。もう時刻は太陽が沈みかけて夕暮れ時である。
このままヒーラーが見つからないのは切実にまずい。
冒険者は日銭を稼がねばその日食べるものも困るのである。
ドラゴンを倒した時の報酬200万パラを俺は二人に秘密にしている。
できるならパーティで稼いだもので日々を送りたい。そう思うのは俺のわがままだ。
「まぁまぁ二人共落ち着けって、まだ日は沈んでいないぜ?それにきっと良い人が来るはず」
心配そうなカナデとマイナの気持ちを柔らげたかったので、明るくつとまった。
「うん……。でもそろそろ今日が終わっちゃうよ……」
「そうだな。このさいヒーラーはなしで明日からも3人パーティで頑張っていくとするか」
———私だって、本当はリュウと一緒に戦いたいのに……
ぼそっと呟かれたその声は街の喧騒にかき消された。
そして、夜になった。
今リュウはまだヒーラーが来るのを待っている。
すっかり夜の帳が降り、あたりには星々の煌めきが散りばめられている。
街灯が照らす道を歩く人々の姿はなく、時折吹く風が木々の葉を揺らす音が聞こえるくらい静寂に包まれていた。
そんな中、一人の少女が歩を進めていた。
「……」
無言のままにギルドを目指す少女。
少女の名前はアイリ・リーザ。
エルフ族の生き残りであり、森の民と呼ばれる種族の末裔でもある。
しかし今は、その誇り高き血筋を汚されていた。
アイリは故郷を見殺しにした怒りに震えながらも、冷静さを保とうと必死だった。
「負けるわけにはいかない……」
自分に言い聞かせるようにつぶやく。
アイリは魔法が得意であった。
特に回復魔法の腕はピカイチで神々しいまでの光を放つ回復呪文は、多くの命を救ってきた。
それ故に、回復魔法を使うヒーラーとして軍に利用された。
ようやくアイリはギルドについた。血にまみれた体を、綺麗にするため魔法をかけて、新しい服に身を包む。
そして、アイリはリュウを見つけた。
間違いない。あの人は私が知っているリュウさんだ。伝説は真だった。
故郷を救うためにリュウの力が必要になる。
しかしそれを悟られてはいけない。あくまで少女のように。無邪気な子供のように振る舞わなくては。
「リュウさん!」
「え、君は?」
「リュウさんパーティに入れてくれなのですー」
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