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勇者追放編

パーティは重要です

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 結局勝負することにした。といってもかなり手を抜くつもりである。ある程度接戦を演じてやらないと、目立つからね。

 でも負けてあげない。


 俺はマルティネと1vs1で対決すると思ったら向こうはパーティで挑むらしい。なんともせこい。 



 勝負方法は今からクエストをどちらが早くこなすかである。俺に選ばせてくれた。この時点でもう勝ちみたいなものである。

 内心ほくそ笑みながら、ルンルンとしていた。


 勇者パーティは4人で構成されている。
 まずマルティネ。長身で人を見下す嫌なやつ。

 次に茶髪の男。

 さっきから俺の発言の揚げ足ばかりとっては大声で笑っている。

「ギャハハハハ!!」


 時刻は夕暮れ、太陽がゆっくりと落ちていっている。

 俺はさっそく掲示板へ近づき依頼書を確認する。  

 パラパラパラパラ。ペラペラペラペラ。

(どんなクエストがあるかな!)

 これにしよう。定番っぽいし。

 そう、誰もが知っているであろう。

 いわゆるひとつの定番イベント。

「モンスターを討伐してくれ」

 というものだ。ありきたりで多種多様。報酬の額から討伐モンスターまで色々ある。

 だが、その仕事の依頼書を見て、思わずため息が出そうになった。

 理由は単純明快。報酬額がショボすぎだからだ。


 迷子のニーナ探し…………300パラだと!?

                       依頼内容

 化け物です。誰かやっつけといてください。

                            お礼 

             

                        300パラ



  それにしても300パラとは…………。

 他の依頼を受けよう。

 ガシッ。モニュッ!

 すると背後から声をかけられた。

「ちょっと、いいか?」

 振り返るとそこには一人の女がいた。
 年齢は10代後半といったところだろうか? 

 スラリとした体型。フードを被っていて顔はよくわからないが美人であることだけはわかる。

「その依頼だけはやめた方がいい」

「どうして?」
 
 俺はなんともなしに尋ねる。すると隻眼の少女は片膝をついておもむろに手をあげた。




「その依頼はやばいぞ? やばいことにしかならないぞ?」

 俺に語りかける彼女の目つきが変わる。どうやら本気みたいだ。しかし逆にそこまで言われると受けてみたくなった。

「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。でも、きっと俺なら大丈夫じゃないかと思うんだ」

 彼女は少し考え込むと、その辺のテーブルにどかっと座った。

 

 とりあえず考えない。俺は楽観的主義者なのだ、どうせ何とかしてみせるのである。

 依頼書を手に取るとマルティネの方に向かった。マルティネの余裕満々な顔色がやはりむかつくので、圧勝で勝とうと心に決めなおす。

 バン、ドカッ、タタタタ。


 さて、マルティネは早々にギルドを出ていった訳であるが。

 あいそう、一人である。マルティネのせいで冒険者手続きもしていない。

        そこで俺は考えたのだ。 

 装備を整えなければならぬと。


 この世界の常識なんてものは全然知らないが、少なくとも武器の一つくらいは欲しい。

 まず冒険者手続きを終わらせて、次に臨時のパーティを組もう。

 ということで、まずは冒険者手続きを終える。 

「こちらカードになります~」

 そうしてから、ダンジョンでドラゴンから剥ぎ取った尻尾を売りに出す。

「こ、これはドラゴンの尻尾!?
 うそ、ありえない! まさか
 あなた一人で倒したんですか!」

 受付嬢は驚いた様子で俺を見る。しまった、また一般人の範囲を越えてしまっているらしい。気を付けなくては。

「ええ、 まあ一応……」

「すごいですね……では換金額は200万パラとなります。またのご利用をお待ちしております!」

 おお、お金の単位がわからんけど大金持ちになってしまった。やっぱりスキルの使い方が上手いからだね。


 ちなみにさっきの彼女はジーッと俺をみています。やばそうですね、どうしましょうか?




 パーティに誘ってほしいんですかね。
 でも女の子を誘うのは勇気がいるなあ。まあ、いいや。勢いで誘っちゃおう!

「あの、よかったらパーティ組みませんか?」

「もちろんだ、早く二人っきりで冒険にいこう」

 とりあえず、これで二人パーティだ!

 トテトテトテ。

「いやー疲れた疲れた。ねー聞いてカナデ。今日はドラゴンに出会っちゃってさー」

「怪我はないか?  お前の魔法でドラゴンを倒せるとは全然思えないからな」

「あーひどい。ってリュウがどうしてここにいるのよーっ!?」

 マイナがトテトテと華奢な身体を揺らしながら歩いてきた。そしてもたれ掛かるように話しかけているのはカナデと呼ばれる少女だ。 



 謎の美人はカナデというらしい。はっとして、マイナが俺をもじもじしながら見てきました。まいったな、しょうがないからマイナもパーティに入れてあげよう。


 

「リュウ久しぶり。元気?」

「どうしたのマイナ、もじもじして。具合でも悪いの? 」

 ビクッ、ササササ。あらら、カナデの後ろに隠れちゃった。あ、でも横からチラチラと上気した頬で見てきます。

 小動物みたいでとても可愛いです。


「マイナ、まったくお前は無茶ばかりするから」

 剣士のカナデがやれやれとため息をつく。

「そんな事言わないでカナデ、私だって頑張ってるのよ。ねえ、リュウはこれからどこかいく用事あるの?」

「実はーーー」

 事情を説明して、ふむふむと納得するマイナ。パーティの誘いをかけてみよう。



「 私が仲間になってあげるわ!」

「おい、ちょっと待て、こいつはダメだ。絶対トラブルになる」 



 カナデが必死な形相で止めに入る。

 しかし、マイナはお構いなしといった感じで話を続ける。


「大丈夫、もう迷惑かけたりしないわ。だって…………」

「やれやれ。いったいどうしたというのだ?
 ともかくリュウとやら、面倒をかけるやも知れんがよろしくたのむぞ」

「よろしく。ところで依頼はこれなんだけど?」
 
「うん、何でもいいわ。一緒に行きましょう」

 心底幸せそうな笑顔でマイナが俺の胸に飛び込んできたので、優しく抱き止めた。
 
 背中にまわされたマイナの細い指が女らしさを意識させて、俺までドキドキしてきました。


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