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14 トゥヤル聖十二同盟連邦王国
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嘘でも何でもない。
真面目に、あの氷の目の教育係(バシリアと言う名前だったのを今思い出したのだが)がいなければ、わたしは絶対にこのアホ王子に対して「は?」と言っていた。絶対。
それでも、わたしの顔は驚きが絶対分かるほどに変わっていたのだろう。王子はさらに説明した。
「世界を作り、維持する神であるアイベルク神により授けられた聖典にはそう書いてあります。『全ての者は、皆平等である』と。私はあくまで、それを実行しただけです。」
この王子の国の宗教だろう。わたしが昔、まだノヴォメアにいた頃、隣国のハルムボリの王子がやって来た時にあった晩餐会が酷いことになったと聞いた。原因は、そっちで信仰される宗教で禁忌とされる食物が料理に入っていたことだったらしい。もっとも、わたしはその場にいなかったから不確かなんだけど。
とにかく、宗教の違いがあると分かった。それについては、触れないようにしよう。あの晩餐会の時も、戦争の一歩手前まで行ったらしいから。
「あ、そうですか。では、仕方ないです。その国へ向かいましょう。ところで、その貴方の国はなんて名前ですか?」
この王子の出身国の名前が分かれば、もしかしたら知っている国だったということもあるのかもしれない。そう思って、わたしは聞いた。
「トゥヤル。正式名称はトゥヤル聖十二同盟連邦王国と言います。私は第一王子のヒュセインと言います。」
薄々、こんな大掛かりなことをするのは王子だろうと思っていたけれどやはりそうだった。
ついでに、この国についてはわたしは何も知らない。聞いたこともなかった。
、、、どこよ、それ。
乏しい記憶力を探っても、聞いたことがないとはっきり言える。
「やっと承諾して頂けましたか。衣食住は保証します。貴女には、私の国で働いて頂きたいのですよ。今から帰りのカナットを手配するので、それまでに準備を全て終わらせてくださいね。」
まーた新しい言葉が出て来たよ、もう。
わたしは、言われたとおりに家の物をわざわざアナログな方法、つまり手で片付けていった。王子含むその一派にわたしが聖呪を使えることをなるべく分からせないようにすると言う意味を込めている。
、、、でもさ、最初に腕引っ張られた時に一回使ったよね?バレてないといいけど。
そんな気づきはおいておく。
やっと荷物を片付け終えたとき、外から巨大な鳥の鳴き声がした。
、、、また厄介ごと?いい加減に、、、
そうわたしが心の中で毒づいた瞬間、それまで黙ってわたしの後ろにいた王子の従者と思われる男性に手を引っ張られた。
「ちょ!」
「行くぞ。殿下がお待ちだ。待たせるわけには行かないのだ、元ノヴォメアの聖女殿。」
わたしは不本意にも(?)、引っ張られて外へ連れ出された。
、、、ちょっと待って、この人何でわたしの素性知ってるの?
すいません、久しぶりの更新です。不定期更新になりますが、これからもよろしくお願いします。
真面目に、あの氷の目の教育係(バシリアと言う名前だったのを今思い出したのだが)がいなければ、わたしは絶対にこのアホ王子に対して「は?」と言っていた。絶対。
それでも、わたしの顔は驚きが絶対分かるほどに変わっていたのだろう。王子はさらに説明した。
「世界を作り、維持する神であるアイベルク神により授けられた聖典にはそう書いてあります。『全ての者は、皆平等である』と。私はあくまで、それを実行しただけです。」
この王子の国の宗教だろう。わたしが昔、まだノヴォメアにいた頃、隣国のハルムボリの王子がやって来た時にあった晩餐会が酷いことになったと聞いた。原因は、そっちで信仰される宗教で禁忌とされる食物が料理に入っていたことだったらしい。もっとも、わたしはその場にいなかったから不確かなんだけど。
とにかく、宗教の違いがあると分かった。それについては、触れないようにしよう。あの晩餐会の時も、戦争の一歩手前まで行ったらしいから。
「あ、そうですか。では、仕方ないです。その国へ向かいましょう。ところで、その貴方の国はなんて名前ですか?」
この王子の出身国の名前が分かれば、もしかしたら知っている国だったということもあるのかもしれない。そう思って、わたしは聞いた。
「トゥヤル。正式名称はトゥヤル聖十二同盟連邦王国と言います。私は第一王子のヒュセインと言います。」
薄々、こんな大掛かりなことをするのは王子だろうと思っていたけれどやはりそうだった。
ついでに、この国についてはわたしは何も知らない。聞いたこともなかった。
、、、どこよ、それ。
乏しい記憶力を探っても、聞いたことがないとはっきり言える。
「やっと承諾して頂けましたか。衣食住は保証します。貴女には、私の国で働いて頂きたいのですよ。今から帰りのカナットを手配するので、それまでに準備を全て終わらせてくださいね。」
まーた新しい言葉が出て来たよ、もう。
わたしは、言われたとおりに家の物をわざわざアナログな方法、つまり手で片付けていった。王子含むその一派にわたしが聖呪を使えることをなるべく分からせないようにすると言う意味を込めている。
、、、でもさ、最初に腕引っ張られた時に一回使ったよね?バレてないといいけど。
そんな気づきはおいておく。
やっと荷物を片付け終えたとき、外から巨大な鳥の鳴き声がした。
、、、また厄介ごと?いい加減に、、、
そうわたしが心の中で毒づいた瞬間、それまで黙ってわたしの後ろにいた王子の従者と思われる男性に手を引っ張られた。
「ちょ!」
「行くぞ。殿下がお待ちだ。待たせるわけには行かないのだ、元ノヴォメアの聖女殿。」
わたしは不本意にも(?)、引っ張られて外へ連れ出された。
、、、ちょっと待って、この人何でわたしの素性知ってるの?
すいません、久しぶりの更新です。不定期更新になりますが、これからもよろしくお願いします。
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