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この度、お茶会に出席することになりました。②

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「マティルデ、貴女の婚約者が見つかったそうで?お相手は誰かしら?」
「ふふっ、、、やはり気になられますよね。」
「それでそれで、誰なのかしら?」
現在、私は友人達とテーブルに座り話をしている。
私達は貴族学園入学前だが、早いうちから婚約者は決まりやすい。早い者身分順だからだ。
「わたくし、ヘルモルト公爵が娘のマティルデは、クレーデル伯爵の息子のアルブレヒトを婿として迎える事になりました。」
宣誓でもするかのように、小さく片手を上げてそう言ったマティルデに、私達は驚いた。
ヘルモルト公爵家には、マティルデの四つほど下の男児がいたはずだ。随分前からどちらが公爵家を継ぐのかということは話題になっていたが、マティルデが公爵位を継ぐことになったらしい。
「マティルデ、おめでとう。私もよい婚約者を見つけるように頑張るわ。」
私の右手にいるライザー侯爵令嬢のエデルガルト、その隣のシュタルケ辺境伯令嬢マルガレーテ、さらにフォイルゲン伯爵令嬢のコリンナなど、私の友人は揃っておめでとうを伝えた。
私と彼女らは、すでに身分も何も名前で呼び合う仲だ。

ビーネンシュティッヒ(甘いイースト生地を焼き上げた物)を食べながら、語り合う。幸せの時間だが、それを悪魔がいた。
「クラウディア様~!わたくしもお仲間に入れてくださいませ!」
そう、マティアスとナターリエである。
ナターリエは、許可もされていないのにいきなりどこからか椅子を持ってきて空いていた場所に座った。
ナターリエをよく知らない、ヴューラー侯爵令嬢のキルステンはおっとりとした笑顔でこう聞いた。
「貴女はどちらの方かしら?殿下を名前で呼ぶのですから、相当のご友人であると見受けられますが?友人でもないなら不敬行為に当たりますよ。」
「あら、ご存じなかったのかしら?わたくし、シュヴァ、、、いえ、ベルツ男爵令嬢のフィ、、、じゃなくてナターリエですわ。クラウディア様の婚約者、ルードルフ様の護衛のマティアス様の婚約者です。」
あ、キルステン怒った。笑顔がちょっと深まったよ。
と言うより。どこかでナターリエを見たことのある気がしたのはだった。

「あら、マティアス様の婚約者はヴィンフリーデ様ではなかったのですか?」
うん、そう思うよね。その場にいるマティアスに、キルステンが聞いた。
「ああ。そうです。けれど、あのヴィンフリーデは優しくないし、美容や服に全くと言っていいほど興味がないので、近いうちに婚約破棄しようと思っています。準備が整えば今日にでも。」
「今日にでも、ですって?!」
先程話は聞いたが、今日にでも婚約破棄をというのは初めて知った。
むしろ、私が一番驚いている。
、、、いけない。
「もっと話を聞かせてくださいませ。」
キルステンは更に問い詰める。
が、しかし。
その場にマティアスの従者と思われる男性がやって来てマティアスをどこかへ連れて行ってしまったので問い詰めることはならなかった。
従者は、マティアスの耳になにか囁く。するとマティアスはナターリエを連れて少し嬉しそうに、どこかへと去っていった。

その後、私達は暫く話をしていたが、途中でやめた。王妃様の使いがやって来て、私達に至急来るようにと伝えられたからだ。
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