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一章 それから充実した環境を手に入れるまで

間食 6.6食目 レナータサイド

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「閣下、デュソールの第一王女には魔族領、獣人領どちらからも求婚がきているそうです。私達はどういたしましょうか。」
「わたくしとしても、アズレトに求婚させておきたい気持ちはない訳ではないですよ。けれど、寿命と血の問題があるでしょう?」
「そこが悩みどころですね。」
「そうなのよ、本当に。異種族だから仕方がないのですけれど。」
少し疲れた、と思って壁の時計を見やると、わたくしが執務を始めてからすでに720ヴォルタ以上経っていると気づきましたので執務室の隣にある休憩室につながるドアを開けました。
そして、侍女にサンティを用意させます。今日の茶葉はユーズネガラの物でしょうか。甘い匂いがします。
昔と比べても、少し体力が落ちた気がします。年は取りたくないものですわ。
わたくしは被っていたフードを取ります。
日光に焼かれる感触がしました。
まだ日が落ちていなかったのでしょう。わたくしは舌打ちしたくなるのを我慢して、フードを戻します。

突然、けたたましい音が鳴って来ました。
何が起きたのでしょうか。
文官は情報収集に出かけました。

もう一度音がなり、わたくしの目の前にスケルモが現れました。
と同時に、デュソールにいるはずのアンベールの顔が映りました。
「あら、アンベール王。どうなさったのです?いきなり大きな音が鳴ったのでわたくしはもちろん侍女も皆驚きましたもの。一体何事かと思いましたわ。」
「ああ、レナータ女王。今から五ヴォルタ後に緊急の会議を行うので、それの警告だ。」
「何があったのです!」
普段会議など「面倒だ」と言っていたアンベールにしては珍しいことです。
よほどのことなのでしょうが、それでも驚きは隠せません。
「それは会議までは言えない。最も信頼の置ける文官一名と参加していただきたい。」
全く、勝手なのですから。

「マトヴェイ、貴方に会議への同席を依頼するわ。」
マトヴェイはわたくしが王女であった頃からの側近で、わたくし自慢の優秀な文官です。
「ありがたき幸せに存じます、閣下。して、なぜ今いきなりなのでしょう?」
「それはわたくしも聞きたいものだわ。アンベールからの話でしたけれど、『それは秘密だ』ですって。」
「それは、、、、、、」
ええ、黙ってしまいたくなる気持ち、わたくしにも分かりますわ!勝手にもほどがあると大声で叫びたくなります。

スケルモが光り、目の前にアンベールの顔が映ります。
「それでは皆様方。この度はお集まりいただきありがとうございます。早速ですが話題に、、、」
アンベールの言葉は低い声に遮られました。
目の前の映像はアンベールから獣人領ティエナチュールの王、ルイトポルトに変わります。
「アンベール、いくら何でも大きい音をたてる必要はないだろう?」
どうやら、あれもアンベールの仕業だったそうです。再び画像がアンベールに変わります。
「いえいえ、その節は済まなかったと思っております。本題ですが、先程デュソール北部で大きな大気の揺らぎが起きたことの報告です。」
大気の揺らぎ、ですか。
大気の揺らぎは日常的に起こることですが、大きいものとなると大陸などを消滅させてしまうなど大きな影響をもたらすのです。そして、魔力バランスも崩れます。百害あって一利なしなのです。
いきなり映像はヴィチェスラフに変わりました。彼はエルフ領のリカーヴォの王です。
「して、何が起こったのか?」
アンベールが至って冷静な顔でこう言いました。
「現在は、特に何も起こっていない。ただし、揺らぎの中心から私の魔力を超える物体、、、いやが落ちてきた。」
国を治めるにも、スキルを使うにも、何をするにも魔力は必要です。だから、王は魔力を多く持ちます。わたくしもそうです。けれど、仮にも一国の王であるアンベールを超える魔力を持っているということは危険になるかもしれません。
わたくしは少し考え、こう言いました。
「それで、わたくしたちに何をしろと言いたいのです?」
「デュソールと隣接するティエナチュール、リカーヴォ、フィーヴィットには、が移動してくるかもしれないので国境壁の『魔力探知』を使っていただきたい。他の国でも、それはお願いしたい。」
「了解した。デュソールも逃げないように抑えるなどしてくれ」
「分かりましたわ。」
こうして、会議が終わりました。
、、、全く、執務で大変なのに他の業務を押し付けてくるなんて。勝手にもほどがありますわ。




キリトリキリトリ✁ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
このルネイモンドが連合王国であることが分かってくれたでしょうか。
様々な種族が暮らしています。
さて。
レナータは何の種族でしょうか?
「サンティ」(イタリア語)がヒントです。
分かった方は感想欄に書いていただけると幸いです。
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