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昭和48年編

ボウリング大会からの事件

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 ボウリング大会 開幕です。
「投球順はどうしますの?ちょっとお待ちに。今スコア表に名前を.....」

「さゆりさん、手書きなんですか?!」

「そこにあるでしょ、計算機も」
......謎の横向き電卓?計算機。

「その前にレディに投げ方教えるタイム~とかないのー?ちょっとそこのメンズたちぃ」
マッチャンの呼びかけはスルーされた。

「私は投げ方とか大丈夫です!」

一投目!
亮 ストライク
ぼっち ストライク
真由 ストライク
マッチャン G
さゆりさん 3 - 

マッチャンはG連発
「やぁねっ溝ばっかりお掃除よっ」
フォームはキマってるさゆりさんも、あまりスコアは伸びない。投げ終わった時の右手を直角に上げてしばら~く止まるスタイルに笑いをこらえるマッチャンと私。
すんごい右足も左後ろ方向へ引いてる。

亮さんとぼっちはストライクにスペアを挟むもかなりのハイスコアに届きそう。
「真由.....」

「真由ちゃん?!」
へへへっ。現代で職場ボウリング大会優勝者はこの私であった。ストライクを最初から3回とった。

しかし後半になると亮さんは、スプリットの真ん中通過させ8/Gとか出してしまう。
ぼっちはせっかく何度か続いたストライクに溝掃除で終止符をうった。

「はぁい!結果発表よっ―――――優勝者は真由ー!はいっ。選んでよ。景品!」

私の前にカードがならぶ。

「なんだか私達まるで、おいらんね。気分はおいらんよ。ふぅ~緊張するわぁ」
マッチャン、なんの興奮状態ですか......。

選べない.....みんなの目がこわい。
さゆりさん選んでも、マッチャン選んでもブーイングだろう。
私は亮さん.....亮さんが......いい。
私は一枚のカードをマッチャンが目を輝かせて手を出すので渡した。

「出ましたよ!ご指名!―――――ぼっちー!!」

私はいつもそう......怖がりなんだ。
この時代の亮さんがただのプレイボーイだったら.........私、亮さんを拒む自信無いから。
ぼっちが立ち上がってきょとんとした顔で私に言った。
「僕でいいの?」

ぼっちの後ろに明らかに機嫌を損ねた亮さんがいた。
クールな横顔から放たれるキツイ視線が突き刺さる......。

私達は揃って縁日の屋台が出るという日に浅草へ。

ホコ天のエリアで、ロン毛サングラスの人が弾き語りをしている。その周りでノリノリの人達。
楽しそう。みんな深い茶色のデカめサングラス。
少し肌寒くなり、ジャケットの人も。ジャケット肩に引っ掛けてる男性がやたらと多い。おしゃれ?の為だろうか。


「さて。デートタイムと致しますか?お嬢さん」

ぼっちがつぶらな瞳を平にして私に手を差し伸べた。
私達は手を繋ぎあるき出す。

「ほんとは亮としたかったんじゃないの?デート」

ぼっちはお見通しのようだ。

「ん~亮さんがプレイボーイだったら怖いから......」

「ははは。たしかに真由ちゃんならコロッともってかれちゃいそだね」

 コロッと?私そんなにちょろそうですか.....ショック。
ん?背後に人影が。
私達をしっかり尾行していたのは残るあの3人。

「亮がさ、食い下がったんだよ。俺だっておまえと同じスコアなんだから俺もデートしたいって。あんな亮初めて見たよ。」

 スコアの問題では.....私はあの夜、亮さんが不思議なくらい接近してきたからまともに、亮さんの目も見れないのでした。

「真由ちゃん何したい?お寺みたい?それか店ぶらぶら?」

ぐ―――――きゅるきゅるきゅるきゅるっ

さっきから時々鳴る私のお腹。ついにぼっちにも聞こえるくらい鳴り響いた。

「ふっ。軽くなんか食べよっか!」
「うん。お腹なっちゃった」

私達はおでん屋さんへ。テント張ったみたいな屋台。
中へ入ると忙しそうにおばちゃん二人が木の枠の厨房らしき中に居た。
「いらっしゃい。そこ座りな~」
木の長椅子に座った私に、ぼっちがチョイスしたおでんが盛られたお皿を渡される。
ぼっちがビールもね!と頼んで座り直した瞬間、

「わ―――っ!!!」

私の方の長椅子がドンっと落ちた。
私は地面に尻もち....私の座っていた方だけ椅子の足が壊れていてバケツに乗せてあったらしい。

「―――ひゃははははははは」

ぼっちが大爆笑。たしかに笑える。おでんの屋台で尻もち。しかも、私はしっかりおでんのお皿は手に持ったまま。

おでん屋を出て、浅草のメイン通りへ。
夜店が出てちょうちんが灯り幻想的な景色。とにかく人が多い。人 人 人

 急にぼっちが私の手を強く握った。

「おっ久しぶりだな。けーすけ」
あれ、ぼっちがなんだか、いつもと違う.....ぼっちの手の汗で私の手もじとっとする。
如何にもたちの悪そうなパンチパーマのこの兄ちゃん。

「なにいっちょまえに女の子連れてんだよ。こんな可愛い子よっ」

パンチパーマが私の顔に手を伸ばしてきた、ぼっちがその手を払うように押し返した。

「お前やんのかこの俺と?」

待ってましたと言わんばかりの絡み方。パンチパーマは知り合い?けーすけって呼ぶんだからそうだよね。なんでやんのかになるのかサッパリ。

大した本気じゃないと勝手に思い込んでた私は度肝を抜かれた。
そう、いきなりぼっちは殴られた....。

「いきなり何なんですか!」

私はそう叫び座り込んだぼっちに寄り添った。野次馬が周りに集まる。

「真由ちゃん行って。近くに亮がいるはず。僕はいいから。こんな人だかりでやられないから。大丈夫。」

無理して微笑むぼっちを放って立ち去るなんて、私には出来ない。亮さんどこにいるの?マッチャン!
野次馬たち見てないでなんとか.....

―――――――う うそでしょ。私はつるつるの趣味の悪いジャンパー着たパンチパーマに連れ去られる。

「やめろ!離せその子は離せー!!!」
ぼっちの声だけが聞こえた。誰も止めてくれない。私は涙で景色がぼやける。幻想的な景色が、トチ狂った景色に見えた。

ふとパンチパーマの反対側の手に光るものが.....刃物。だから誰も止められなかったのか.....もう刃物は勘弁。

これでどうにかなったら、現代でも死んじゃうとか?あまりの恐怖に涙も止まった。
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