白い結婚のはずなのに、なぜ私を殺そうとしたのですか？ など、恋愛小説短編集

白い結婚のはずなのに、なぜ私を殺そうとしたのですか？

１０

　爺やが、専門の機関に手紙を送り、調べてくれたらしい。私の体を蝕む毒がフェリクスであると分かった。

　時間はかかるが、原因が分かれば治療できる。
　しかし、毒抜きの治療には、凄まじい全身の痛みをともなう。
　あとは、私が耐えられるかどうかだ。

　投薬は一日に三度。先生がやって来て、血管に針を刺し、治療薬を流し込む。
　まるで、火の中に身を投げ出したかのよう。
　あまりの激痛に精神が耐えられず、すぐに気絶してしまう。
　しかし、体は痛みに慣れてくる。
　そうなると、気を失うことができない。
　地獄のような苦しみだった。
　
　そんな毎日を一年も続けると、ようやく動けるようになり、先生からは完治したと言ってもらえた。
　私の髪は全て真っ白になってしまったけれど。