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― 肆 ― Happy HALLOWEEN
Happy HALLOWEEN
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我が領の豊穣祭は大人達が子供達にお菓子を振舞うというものもあって、本来なら子供達は近所やお店に行って「今年もあなたに実りがありますように女神に祈りを捧げましょう」と言ってお祈りをして祈ってもらった大人達からお礼にお菓子をもらうのも楽しみのひとつ、むしろ子供達のメインイベントなのに、昨夜はここにいてもらったから子供達にはお菓子をたくさん入れたカバンをプレゼントする事にしたの。
この『ファーガソン領の豊穣祭』だけど、元々は時期は変わらないけどする事は全然違って、今でも殆どの領で催されていると思うけど昨日までの恵に感謝をし、明日からの実りを願う為に巫女や選ばれた乙女が奉納舞を披露したり豊穣の女神の像を祀った祭壇に供物を捧げたり、後は大人がお酒を飲んで騒ぐようなものだったんだけど、私がアルマーシをぶんどっ…うばっ…譲っていただいた時に、手続きやら何やらのバタバタが落ち着いたのが丁度豊穣祭の準備を始める頃だったので今回の様に領主交代の披露を豊穣祭でしてしまおうということになったのだけど、ここでいつも突飛な提案をするロレインが口を出してきたのよね…。
「この領の名前、変えちゃおうよ!『ディアマン』なんて安直な名前カッコ悪いし…」
カッコ悪い…って、結構昔からそう呼ばれてたはずなんだけど?
「知ってた?お姉様の『元』婚約者のバカ王子、このディアマンの事をず~っと『ダイヤマン』って呼んでたのよ。訂正すると『ダイヤマンのほうが強そうですかっこいいだろ』って。強そうって、カッコいいって、いやいや強そうだとしてもカッコ良くはないからって何回言いそうになったか…」
あぁ、あのバカが認める基準は『強い、カッコいい、自分を褒める』の3つだものね。そう言えばしょっちゅうあのバカにぶら下がってた女生徒はやたらとあのバカを褒めていたわね…。『身分』と辛うじての『顔』以外にあんなに褒める所があったのねと感心したものだったわ。まぁその殆どが別の人の事なんだろうなって思いながら聞いてたんだけど…。
そんな事を思っていると『名称変更』でロレインとキャッキャしながら盛り上がっていたリリアナまでもが突飛な事を言い出したのだったわ…。
「領主も町の名前も変わるんだから今年から豊穣祭はハロウィンみたいにしましょうよ!」
リリアナは普段は大人しく、どちらかと言うと人見知りだし引っ込み思案で家族と一部の使用人以外には一歩引いた位置でしか物が言えないし勿論自分の意見を通す事なんてできない子なんだけど、家族、特に私達姉妹には我儘を言うこともちゃんとある。それは家族としては微笑ましくて我儘を言われると少し嬉しくなるぐらいなんだけど、ロレインと姉妹なのねと実感してしまうことも多く、しかもロレインより突飛な事を思いついたりもするし、なのに実現もさせちゃうような不思議な子なのよねぇ。
「ハロウィンって何?」
ロレインが尋ねたってことはロレインも知らなかったのね。確かに気になる言葉ですわ。
「豊穣祭なんだけど、10月31日にみんな仮装して『トリック・オァ・トリート!』って言いながら各家を周ってお菓子をもらうの!」
何なの?その奇抜なイベント…
「あ、でもこっちの豊穣祭でやってくるのは豊穣の女神や妖精なのよね。悪霊じゃないしその辺はこちらに合わせて、言葉も豊穣祭での挨拶で良いんじゃないかしら」
「リリィ?最初から全部を説明して頂戴」
そうして聞き出したのがリリィが子供の頃から時々話をしていた『夢の世界』での豊穣祭の事だった。
…とは言え、リリィがいた領では豊穣祭としての意味は薄れていて、ただの仮想パーティになっていたそうだけど、夢の世界では《10月31日》には悪霊なんかも地上に出てきて悪戯をするらしく、その悪戯で子供を拐って自分や他の悪霊と交換するらしいわ。だから連れて行かれないように仲間と思わせるために悪霊の格好をして『イタズラ』の為に各家を周るんだって。そこで『トリック・オァ・トリート』の呪文。これって『イタズラされたくなかったらもてなせ!』っていう意味なんだって。リリィの住んでいた領の言葉ではないらしいんだけどリリィの住んでいた領の言葉では『お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!』って言うらしいの。因みに何度か出てきた《10月31日》と言うのはリリィの夢での日付だそうで、1から12までの月がありそれぞれにほぼ30日ずつの日数が振り分けられているんですって。
そして《10月》というのは現実での実り月の前半に当たるらしく、季節の移ろいは似ているみたいだけど月の定まりは現実とは違っていて、でも聞いてみるとなかなか便利だと思えるものでしたわ。
なので当家の領内だけではありますが、リリィの夢の世界での月日を農業・商業共に仕事用として用いることにしましたの。そのおかげで領内での商談はスムーズに、他領との取引の際も『ファーガソン公爵領の』というブランドだけで信用される程になっているとか。まぁ、これは余談でしたわね。
とにかく、リリィの夢の世界での『ハロウィン』という名の豊穣祭を現実の世界に持ち込もうと言い出して、人と変わったことが大好きなロレインが大いにやる気になってしまったのだったわね。まさか10年も続いて、しかも他領にも知れ渡る程の祭事として認められるとは、あの時は思ってもいなかったわ。
しかも今回はアレンさんも乗り気で冬を迎える眠り月には『クリスマス』というイベントをしようよ…なんて二人で話しているのを聞いてしまったのよねぇ。アレンさん、真面目そうな人だと思ってたけどさすが、リリィと気が合うわけだわ。
この『ファーガソン領の豊穣祭』だけど、元々は時期は変わらないけどする事は全然違って、今でも殆どの領で催されていると思うけど昨日までの恵に感謝をし、明日からの実りを願う為に巫女や選ばれた乙女が奉納舞を披露したり豊穣の女神の像を祀った祭壇に供物を捧げたり、後は大人がお酒を飲んで騒ぐようなものだったんだけど、私がアルマーシをぶんどっ…うばっ…譲っていただいた時に、手続きやら何やらのバタバタが落ち着いたのが丁度豊穣祭の準備を始める頃だったので今回の様に領主交代の披露を豊穣祭でしてしまおうということになったのだけど、ここでいつも突飛な提案をするロレインが口を出してきたのよね…。
「この領の名前、変えちゃおうよ!『ディアマン』なんて安直な名前カッコ悪いし…」
カッコ悪い…って、結構昔からそう呼ばれてたはずなんだけど?
「知ってた?お姉様の『元』婚約者のバカ王子、このディアマンの事をず~っと『ダイヤマン』って呼んでたのよ。訂正すると『ダイヤマンのほうが強そうですかっこいいだろ』って。強そうって、カッコいいって、いやいや強そうだとしてもカッコ良くはないからって何回言いそうになったか…」
あぁ、あのバカが認める基準は『強い、カッコいい、自分を褒める』の3つだものね。そう言えばしょっちゅうあのバカにぶら下がってた女生徒はやたらとあのバカを褒めていたわね…。『身分』と辛うじての『顔』以外にあんなに褒める所があったのねと感心したものだったわ。まぁその殆どが別の人の事なんだろうなって思いながら聞いてたんだけど…。
そんな事を思っていると『名称変更』でロレインとキャッキャしながら盛り上がっていたリリアナまでもが突飛な事を言い出したのだったわ…。
「領主も町の名前も変わるんだから今年から豊穣祭はハロウィンみたいにしましょうよ!」
リリアナは普段は大人しく、どちらかと言うと人見知りだし引っ込み思案で家族と一部の使用人以外には一歩引いた位置でしか物が言えないし勿論自分の意見を通す事なんてできない子なんだけど、家族、特に私達姉妹には我儘を言うこともちゃんとある。それは家族としては微笑ましくて我儘を言われると少し嬉しくなるぐらいなんだけど、ロレインと姉妹なのねと実感してしまうことも多く、しかもロレインより突飛な事を思いついたりもするし、なのに実現もさせちゃうような不思議な子なのよねぇ。
「ハロウィンって何?」
ロレインが尋ねたってことはロレインも知らなかったのね。確かに気になる言葉ですわ。
「豊穣祭なんだけど、10月31日にみんな仮装して『トリック・オァ・トリート!』って言いながら各家を周ってお菓子をもらうの!」
何なの?その奇抜なイベント…
「あ、でもこっちの豊穣祭でやってくるのは豊穣の女神や妖精なのよね。悪霊じゃないしその辺はこちらに合わせて、言葉も豊穣祭での挨拶で良いんじゃないかしら」
「リリィ?最初から全部を説明して頂戴」
そうして聞き出したのがリリィが子供の頃から時々話をしていた『夢の世界』での豊穣祭の事だった。
…とは言え、リリィがいた領では豊穣祭としての意味は薄れていて、ただの仮想パーティになっていたそうだけど、夢の世界では《10月31日》には悪霊なんかも地上に出てきて悪戯をするらしく、その悪戯で子供を拐って自分や他の悪霊と交換するらしいわ。だから連れて行かれないように仲間と思わせるために悪霊の格好をして『イタズラ』の為に各家を周るんだって。そこで『トリック・オァ・トリート』の呪文。これって『イタズラされたくなかったらもてなせ!』っていう意味なんだって。リリィの住んでいた領の言葉ではないらしいんだけどリリィの住んでいた領の言葉では『お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!』って言うらしいの。因みに何度か出てきた《10月31日》と言うのはリリィの夢での日付だそうで、1から12までの月がありそれぞれにほぼ30日ずつの日数が振り分けられているんですって。
そして《10月》というのは現実での実り月の前半に当たるらしく、季節の移ろいは似ているみたいだけど月の定まりは現実とは違っていて、でも聞いてみるとなかなか便利だと思えるものでしたわ。
なので当家の領内だけではありますが、リリィの夢の世界での月日を農業・商業共に仕事用として用いることにしましたの。そのおかげで領内での商談はスムーズに、他領との取引の際も『ファーガソン公爵領の』というブランドだけで信用される程になっているとか。まぁ、これは余談でしたわね。
とにかく、リリィの夢の世界での『ハロウィン』という名の豊穣祭を現実の世界に持ち込もうと言い出して、人と変わったことが大好きなロレインが大いにやる気になってしまったのだったわね。まさか10年も続いて、しかも他領にも知れ渡る程の祭事として認められるとは、あの時は思ってもいなかったわ。
しかも今回はアレンさんも乗り気で冬を迎える眠り月には『クリスマス』というイベントをしようよ…なんて二人で話しているのを聞いてしまったのよねぇ。アレンさん、真面目そうな人だと思ってたけどさすが、リリィと気が合うわけだわ。
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