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Bloody hood A
望み
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颯太の頬に触れる。
このまま攻撃したら、きっと頭巾が僕を殺すのだろう。
そしたら、僕は凪に殺されるのか。
その時に頭巾も道連れにしたら、前のように取り残してしまうことがなくなるのだろうか?
頭巾へと手を伸ばす。
剥ぎ取ってしまう為だけに。
前は置いていってしまったから、今度こそ連れていってあげるんだ。
僕がちゃんと連れて行ってあげるんだ。
そしたらもう悲しそうな顔をしないよね、なんて思いながら徐々に魔力を込めて奪おうとする。
頭巾に籠った凪の欠片を奪い取ろうとする。
颯太は意図に気づいて反抗しようとする。
僕に敵うと思っているなんて、かわいそうな人間だなと思いながら。
多重に魔法を掛けて抵抗出来ないようにして、僕の望みを叶える為だけに、僕は魔法を使う。
「やめてくださいっ、やめろっ、離れろって!」
颯太は必死にそう声を荒げて抵抗する。
僕が淡々と作業を続ける。
「うるさいです、少し黙ってくださいよ」
颯太は空中に手を伸ばす。
何もないのに何をやっているんだと思っていれば、背中に鋭い痛みが何発も続けて走る。
緩んだ隙を突いて颯太がパッと離れる。
口から血が垂れる。
背中に手を当てれば槍が刺さっていた。
空中に手を伸ばすことで槍を召喚したようだ。
相変わらずそういうのは得意なんだ、なんて思った。
オリジナルとそういうところは一緒なんだなって。
剣は奏多が一番で越えられそうになかったからこそ極めた槍。
魔力で作られたその槍は、ありとあらゆるものを貫き容赦なく命を奪っていく。
その様を近くで何度も見たからわかる。
槍は自らの意志で対象を貫き生き血を啜る。
魔槍とも呼べることだろう。
颯太は感情を一切殺した瞳で槍を召喚し、僕の体を貫く。
この程度なんてことないのだけれども。
はっきり言って颯太のこの行動は全部無駄だ。
表面上の変化が現れたって、僕自身には変化がない。
僕に一切攻撃が入っていないから。
何にも意味がないのだ。
僕に何か害を与えたいのであれば、別の方法を試さなくちゃいけないけれど、きっと颯太は僕の行動に惑わされて効いていると思っているのだろう。
体に刺さった槍を一本一本引き抜いては地面へと投げ捨てる。
颯太は負けじと槍を追加する。
それに対して僕は流れ作業のように槍を抜く。
その繰り返し。
颯太が諦めない限り終わらない。
僕が無理やり終わらせても良いけれど、それでは意味がない。
無理やり終わらせて、その結果頭巾に傷をつけてしまったら凪を殺すことができない。
このまま攻撃したら、きっと頭巾が僕を殺すのだろう。
そしたら、僕は凪に殺されるのか。
その時に頭巾も道連れにしたら、前のように取り残してしまうことがなくなるのだろうか?
頭巾へと手を伸ばす。
剥ぎ取ってしまう為だけに。
前は置いていってしまったから、今度こそ連れていってあげるんだ。
僕がちゃんと連れて行ってあげるんだ。
そしたらもう悲しそうな顔をしないよね、なんて思いながら徐々に魔力を込めて奪おうとする。
頭巾に籠った凪の欠片を奪い取ろうとする。
颯太は意図に気づいて反抗しようとする。
僕に敵うと思っているなんて、かわいそうな人間だなと思いながら。
多重に魔法を掛けて抵抗出来ないようにして、僕の望みを叶える為だけに、僕は魔法を使う。
「やめてくださいっ、やめろっ、離れろって!」
颯太は必死にそう声を荒げて抵抗する。
僕が淡々と作業を続ける。
「うるさいです、少し黙ってくださいよ」
颯太は空中に手を伸ばす。
何もないのに何をやっているんだと思っていれば、背中に鋭い痛みが何発も続けて走る。
緩んだ隙を突いて颯太がパッと離れる。
口から血が垂れる。
背中に手を当てれば槍が刺さっていた。
空中に手を伸ばすことで槍を召喚したようだ。
相変わらずそういうのは得意なんだ、なんて思った。
オリジナルとそういうところは一緒なんだなって。
剣は奏多が一番で越えられそうになかったからこそ極めた槍。
魔力で作られたその槍は、ありとあらゆるものを貫き容赦なく命を奪っていく。
その様を近くで何度も見たからわかる。
槍は自らの意志で対象を貫き生き血を啜る。
魔槍とも呼べることだろう。
颯太は感情を一切殺した瞳で槍を召喚し、僕の体を貫く。
この程度なんてことないのだけれども。
はっきり言って颯太のこの行動は全部無駄だ。
表面上の変化が現れたって、僕自身には変化がない。
僕に一切攻撃が入っていないから。
何にも意味がないのだ。
僕に何か害を与えたいのであれば、別の方法を試さなくちゃいけないけれど、きっと颯太は僕の行動に惑わされて効いていると思っているのだろう。
体に刺さった槍を一本一本引き抜いては地面へと投げ捨てる。
颯太は負けじと槍を追加する。
それに対して僕は流れ作業のように槍を抜く。
その繰り返し。
颯太が諦めない限り終わらない。
僕が無理やり終わらせても良いけれど、それでは意味がない。
無理やり終わらせて、その結果頭巾に傷をつけてしまったら凪を殺すことができない。
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