囚われの亡者

月夜

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Bloody hood A

計画

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何かしらの計画や、誰かの思想が関わっているのでしょう?
そのくらいわかりますよ。
さぁ、話してみてください。

アテネの話は興味深かった。
僕の世界ができるまでにそんな経緯があったなんて。
でも、それだけだ。
それぐらいしか思わない。
だからといってこちらの考えを話す気なんてない。
メリットが感じられないから。
それと、僕はアテネが嫌いだから。
指輪の話でその思いは更に加速した。
僕の先輩から指輪を贈られたって?
夫婦になったって?
なにふざけた事を言っているんだ。
彼は僕のものなのに。
そんなふざけたことあって良いはずがない。
夢を見るのも大概にしてほしい。
先輩が死んだ理由がわかったのは、感謝するけど。
それだけだ。
それ以外何もない。
今目の前にいるのも許せないし、出来る事なら今すぐにでも殺してしまいたい。
話したくもない。
というか、素直に話すわけないじゃないか。
こんな感情を抱いている事を、こいつは知っているのだろうか。
多分知っているだろう。
だって、結局はこいつも颯太と同じ姿形して声まで一緒だ。
確か元々は颯太に憑いていた呪いが擬人化したものだったか。
颯太に初めから付与されていた呪いが先輩の手によって具現化されたもの。
そうだ。
こいつは初めから先輩から特別扱いされていた。
だから、現実世界の僕は、こいつと光と影のような関係だと思ったんだ。
どちらかが欠けても成り立たない。
アテネは明るく先輩に愛され、僕は暗く澱んだ感情で先輩を染める。
色で例えるならば白と黒。
それが僕とアテネの関係性だった。
そんなことを思っていれば、アテネは口を開く。
「ねぇ、僕ははっきりいって颯太とかどうでも良いですよ?それにいくら人が死のうが興味はありません。やっぱろそこはオリジナルと同じなんだろうなって」
オリジナルは多分、現実世界の颯太のことだ。
「僕が興味あるのは先輩の事だけです。彼が生きていられるなら、僕はそれで十分なのです。だって死んでいたら会えないじゃないですか。それに僕の神域に連れて来られない」
にこりと笑いながら、アテネはそんなことを言う。
僕は少し誤解していたかもしれない。
こいつは狂ってなんてなくて、普通の恋愛感情で先輩を愛していると思っていたけれど、どうやら違っていたようだ。
そうなるのもよく考えてみたら当然のような気がして。
だって、先輩に何年、何十、何百、何千...
そんな気の遠くなるほどの年月触れることが出来ないのだから。
狂ってしまうのも仕方ないじゃないか。
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