囚われの亡者

月夜

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Bloody hood A

愛の形

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恋人が殺されたら憤るのも仕方ないですよね。それくらいわかりますよ。それに、
「ごめんなさい、貴女の獲物を奪ってしまって。でも、きちんと仕留めない貴女も悪いと思いますよ」
そう言うと、目の前の少女は目を見開いて震えました。
「愛する人は自分の手で仕留めたいって気持ちはよくわかりますから」
「...アナタハ...クルッテル...」
そんなの、自分が一番わかってる。誰よりもイカれてる事なんて。でも、これが僕の愛の形だから仕方ないじゃないか。もうこれ以外思いつかないから。凶暴化する前に、槍で突き刺して殺します。痛ぶって殺すのが好きだとか言うやつもいるらしいですが、そんなの時間の無駄としか思えません。僕とあいつも、こんな風に化け物になる未来もきっとあったのでしょう。だって、これは才能のようなものなのですから。僕達は運が良かっただけなのかもしれませんね。少女の断末魔を聴きながらそう思いました。だから、こんな風に血を撒き散らしながら無惨に散りゆく未来を歩んでいないのです。化け物に成り果てた人たちを狩る立ち位置となった。ただ、それだけの話なのです。そう言う運命だったのです。頬に飛んだ血を袖で拭って後ろを振り向きます。珍しく笑顔を浮かべて、こちらを見つめる瞳。それは無邪気な子供のようで...足元に転がる死体の内臓を踏み付けている点を除けば子供のようでした。元は人間だったのに、力を得ようとして化物となった者たち。きっと叶えたい欲望があったのでしょう。彼らの血はしばらく経てば結晶へよ姿を変え、死体は灰となり跡形もなく世界から消え去ります。結晶は僕らが回収して、あいつに渡します。それも僕らの欲望を叶えるために利用されるのです。だから、僕は心の中でこいつらのことを生贄と呼んでいました。だってそうでしょう?僕らに殺されて、死体すら残らず、唯一残った物も捧げ物として利用されてしまうのですから。
「ねぇ理久、もし貴方は自分が化け物達と同じ末路を迎えたとして、その時自分を殺そうとする奴をどうしますか?」
そう聞けば、笑いながら処刑道具の中でも有名な鉄の処女アイアン・メイデンを出現させました。多分、これで殺すということでしょう。まぁ、ただでこいつが殺されるわけないですもんね。一応魔王だったのですから、そう簡単に死んでもらっちゃあ困ります。
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