囚われの亡者

月夜

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Bloody hood A

討伐

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目の前にいるのは、何かの実験の失敗作のような、黒く澱んで泥ついた液体を纏い、人の姿を保てなくなった哀れな生き物がいました。どうやら悲しい事に、そいつはようです。悲しい事に資質がなかったようなのです。哀れだなぁ、なんて思いました。自分だって一歩間違えればああなっていたのに、不思議ですね。そいつの足元には多くの人の魂を吸った事で一際美しく輝く結晶が落ちていました。まるで守るように、そっと上に覆いかぶさっているようにも見えます。多分こいつを殺してその結晶を奪え、と言う事なのでしょう。この程度の事なら彼1人で事足りるはずなのに、僕も呼んだのはなぜでしょうか...よく見てみると奥の方で何かが蠢いています。ここでようやく僕が連れてこられた理由がわかりました。僕は奥に潜むボスを倒せばいいと言うわけなんですね。なかなか骨が折れそうな仕事だなぁなんて思いました。だって大きいですからね。捕まったら逃げるのだけでも苦労しそうです。まざ、殺すのは簡単ですが。でも、それでも結局、こいつ一人で事足りるような気がしました。時間は僕と二人でやるよりは絶対にかかりますけど。だって今はこんな状態ですもの。そんなことを思っていれば手前にいた化け物がこちらに手を伸ばしてきました。ベタついた手が僕を捕らえようと追いかけてきます。気持ち悪いな、なんて思いながら僕はマントの中から取り出した槍で切り落としました。
「ギャァァァァァァアアアアアッッッッッッッッッッ」
「五月蝿いですよ。それと、僕に触れないでください」
そのまま化け物の横を通り過ぎます。それでもまだ僕に手を伸ばす化け物。僕に救いなんてものを求めているのでしょうか?そんなもの僕は与えることが出来ないのに。丁度通り過ぎたところで、ガチャン、と音がします。カヒュ、と言う化け物の最後の声と共に、あたり一面に赤い血が流れ落ちました。甲高い金属音とともに流れ落ちる血は、化け物が人間だった最後の証でした。奥のボスの元につけば、そこには半分だけ先ほどと同じ化け物のような容姿になった少女がいました。
「ア...アノコハ...?ワ..ワタ、シノ...ダイジナ...」
「あぁ、先ほどの化け物ですか?もう殺しましたけど」
そう言い切った瞬間、少女を覆う液体は一気に少女を包み込みました。きっと、さっきの化け物はこの少女の恋人か何かだったのでしょう。
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