囚われの亡者

月夜

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Bloody hood A

童話の続き

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こうして何百年も争いが繰り広げられたわけですが、そんな醜い争いもある日決着を迎える日がやって来ました。
そう、イレギュラーが誕生したのです。
それは勇者と魔王の子供で、半端な存在でした。
いくら使っても途切れぬ魔力、圧倒的な力と存在感。
異分子という言葉が良く似合う人だと思いました。
もう、その人がついた方が勝利するなんて明白ですよね。
だからこそ人は監禁したのです。
だって、下手に魔族に出逢われたりしたら、こちらが悪だということがバレてしまうでしょう?
だからこそ隠すのです。
外に触れないように、厳重に石の塔に、飽きないように、出てこないように大量の本を置いて。
食糧と水は必要ないので与えず、一応換気の為の穴だけ開けているだけの空間に閉じ込めました。
いくら傷をつけても治り、決して死なない体。
もはや呪いと言っても過言でもないほどの強力な力。
そして、一定の年齢に達すると成長を止めてしまう体。
まるで神のようだと思いませんか?
しかもすごい優しいのです。
聖母のような優しさまで持ち合わせているのです。
なのに、馬鹿な人間どもは唯一傷つけることが可能な心を傷つける事に必死でした。
よって、純粋無垢な存在は人の手によって汚され、どこまでも捻じ曲げられていったのです。
そう、
それが満たされれば何でも良い、なんて思うほどに。


そろそろ眠そうなマリィの為に話はそこで区切る事にしました。
それにしても、この話は誰にも伝えることが出来ないのを知っている癖に、どうして彼女に話そうなんて気が起きたのでしょうか?
誰かに聞いてほしいなんて柄にもなく思ったのでしょうか?
そんなことを思いながら僕は話すのをやめました。
部屋には彼女の寝息が規則正しいリズムで響きます。
そういえば、何か忘れているような気がします。
うーん...と頭を捻っていると、思い出すことができました。
最近日記をつけていないなぁと。
彼女が来る前は毎日のようにつけていた日記。
彼女が来てから色々忙しくて、つい付けるのを忘れていました。
僕は日記帳を取り出して、昨日のことと今日のことを纏めました。
いつか先輩にまた会えたら、その時に見せてあげる為に。
あなたがいなかった間、僕はこうやって過ごしてましたけど、あなたの事を常に恋焦がれていたんですよと伝える為に。
きっと先輩は笑いながら聞いてくれるんだろうな、でもってその場には他の奴らも集まっているんだろうな、各々が話を持ち寄って、そして...
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