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Bloody hood A
夜の村
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「わかったわ…お願いだから夜には戻ってきてね」
はぁい、なんて返事をして僕は民家を後にしました。
あとからこの家の住民が来たらどうするのかって?
どうもしません。
だってこの家の住民は二度とこの家に帰ってくることがないのですから。
そんな心配は必要ないのです。
村のなかはすっかり暗くなり、夜の静けさに村は支配されていました。
もう夜です。でも、それはこの村だけ。
町ではまだ夕暮れ近くだとかそのくらいの時間のはずです。
だからまだ夜ではない。
そう思うことにしましょう。
夜になるまでの時間はあと二時間。
二時間で出来る限りの事を終わらせなくちゃ、なんて思いました。
この村で流れる時間が違うことに最初に気づいたのは、僕じゃありません。
そもそも僕はこの村とあの森のなかしか知りません。
僕は村から一度も出たことがないのです。
街でのことも、外の世界のことも、大好きな先輩に教えてもらいました。
先輩は自由に村を出入りできましたから。僕にとって先輩は憧れの存在です。
この村を訪れた旅人は、この村の時間軸の歪みに毎回驚きますから、きっとマリィも今外に出たら驚くのでしょう。
そんなことを思いながら僕は村長の家へと向かいます。
村長の家に行くのは宿泊の許可を貰うためではありません。
別にこの村で泊まるには許可なんて入りませんし。
それに僕は一応村長と同等の権利は持ち合わせていますから。
じゃあ何故村長の家に行くのか。
それは用事があるからです。
今日中に済ませなければいけない用事が。
村長の家はいつ見ても立派です。
門をくぐり抜けて、村長の家の扉を開きます。
金具の軋む音とともに扉が開きます。
いつも思うのですが、この家の扉は開き辛いです。
もう少し開きやすくして欲しいところですね...
今度油でも挿してみましょうか。
僕は薄暗い家の中に入りました。
少し生臭い匂いがしますが、今更それは気にしません。
この匂いはもう嗅ぎ慣れましたから。
流石は村長の家、と言うべきなのでしょうか。
どこもかしこも金で修飾されています。
趣味の悪い成金主義者。
村人から金を巻き上げ富を築く村長。
昔まではそうではなかったみたいです。
倹約家で、村人のために働く良い村長。
ですが、今の代の村長にそんなものはありません。
ただの害獣です。
人の言葉を介するだけの。
部屋の奥には、豪華な机があります。
その机の下の絨毯の下に地下室への入り口が存在するのです。
赤の絨毯をどかして、地下室の扉を出します。
はぁい、なんて返事をして僕は民家を後にしました。
あとからこの家の住民が来たらどうするのかって?
どうもしません。
だってこの家の住民は二度とこの家に帰ってくることがないのですから。
そんな心配は必要ないのです。
村のなかはすっかり暗くなり、夜の静けさに村は支配されていました。
もう夜です。でも、それはこの村だけ。
町ではまだ夕暮れ近くだとかそのくらいの時間のはずです。
だからまだ夜ではない。
そう思うことにしましょう。
夜になるまでの時間はあと二時間。
二時間で出来る限りの事を終わらせなくちゃ、なんて思いました。
この村で流れる時間が違うことに最初に気づいたのは、僕じゃありません。
そもそも僕はこの村とあの森のなかしか知りません。
僕は村から一度も出たことがないのです。
街でのことも、外の世界のことも、大好きな先輩に教えてもらいました。
先輩は自由に村を出入りできましたから。僕にとって先輩は憧れの存在です。
この村を訪れた旅人は、この村の時間軸の歪みに毎回驚きますから、きっとマリィも今外に出たら驚くのでしょう。
そんなことを思いながら僕は村長の家へと向かいます。
村長の家に行くのは宿泊の許可を貰うためではありません。
別にこの村で泊まるには許可なんて入りませんし。
それに僕は一応村長と同等の権利は持ち合わせていますから。
じゃあ何故村長の家に行くのか。
それは用事があるからです。
今日中に済ませなければいけない用事が。
村長の家はいつ見ても立派です。
門をくぐり抜けて、村長の家の扉を開きます。
金具の軋む音とともに扉が開きます。
いつも思うのですが、この家の扉は開き辛いです。
もう少し開きやすくして欲しいところですね...
今度油でも挿してみましょうか。
僕は薄暗い家の中に入りました。
少し生臭い匂いがしますが、今更それは気にしません。
この匂いはもう嗅ぎ慣れましたから。
流石は村長の家、と言うべきなのでしょうか。
どこもかしこも金で修飾されています。
趣味の悪い成金主義者。
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昔まではそうではなかったみたいです。
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ですが、今の代の村長にそんなものはありません。
ただの害獣です。
人の言葉を介するだけの。
部屋の奥には、豪華な机があります。
その机の下の絨毯の下に地下室への入り口が存在するのです。
赤の絨毯をどかして、地下室の扉を出します。
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